【味乃家 魚野川】冬季限定の天然カモそばと春の味覚ふきのとう天ぷら|魚沼市
春休みもあって帰省していた鴨好きな末っ娘に食べさせたいと、新潟市内にあって鴨をウリにしたラーメン店にお邪魔してみたものの、これが「鴨どこ?」の状態で不発だったという…(汗)
なのでこの日は、魚沼市内で遅い春を感じる雪上桜を愛でたこともあり、その帰路途中にある「味乃家 魚野川」で、鴨好きも満足する鴨肉たっぷりな蕎麦をいただいてきました。
昭和から続く老舗ドライブイン「味乃家 魚野川」
この度お邪魔したのは、新潟県魚沼市(旧堀之内町)の国道17号沿いにあり、1967年(昭和42年)にドライブインとして開業した「味乃家 魚野川」です。

実はこちらのお店、幾度もの苦難を乗り越えて現在の姿があります。
その初めは2004年(平成16年)の7.13水害でした。浸水被害に遭った店舗の片付けが終わろうとしていた同年秋には中越地震が発生し、震源地からほど近い激震ゾーンであったため店舗は全壊してしまいました。翌年1月に規模を縮小して営業再開したのの、深夜に発生した火災によって店舗を焼失。2005年(平成17年)夏に新装オープンした現店舗も、2011年(平成23年)夏に発生した新潟・福島豪雨の際にはまた浸水被害に遭っているのです。
幾度もの困難に直面しながらその度に立ち上がってきた不屈の精神を持ち、まるで飲食業界の「おきあがりこぼし」のような味乃家 魚野川は、その料理からも元気がもらえる店です。
ドライブインからの流れを汲み、和食堂としての利用の多かった味乃家 魚野川も、近年はパン職人である息子さんも店に入り、2014年からは店内一角に石窯ピザの店「アブラッチャ・トット」と、「うさぎ畑のパン屋さん(パン工房 魚野川)」が併設され、テイクアウト用のメニューも揃うようになりました。
店内の様子

店内は食堂を思わせる大きめなテーブルが並んだ広めな空間。50名程度の宴会も可能な広さがあります。
間もなく午後3時になろうかという時間だったので他に客の姿はなく、ご店主が片隅のテーブルでまかないランチを召し上がっている最中でした。
ご店主の「いらっしゃいませ」の声に迎えられて入室すると、選び放題の中から今回も、お気に入りの位置にあるテーブル席を利用させていただきました。

これから魚沼の地は雨が雪に変わる予報だったので、店内は時計型薪ストーブが稼働中でした。

店内の大きな窓からは、自然豊かな魚沼の姿が眺められます。
私のお気に入りは山々を望む最奥の席。空いていると迷わずここに陣取ります。
メニュー
定食、麺料理、丼もの、カレーライス、パン、一品料理、飲み物と、メニュー豊富な味乃家 魚野川。各種お惣菜(季節の天ぷらなど)や、息子さんが石窯で焼くピザや自家製酵母を使ったパンは、お持ち帰りも可能となっています。
そしてよく見て欲しいのは、メニューのあちこちに魚沼ならではの四季の食材が散りばめられていること。他では味わうことのできない珍しい食材が提供されるところも、何度も訪れてしまう大きな魅力の一つになっていると思います。
味乃家 魚野川でいただく魚沼の冬と春
冬季限定のジビエ十割そば

天然カモそば(1,800円)
冬季限定メニューの天然カモそば。使われているのは真鴨(青首)です。
魚沼に住んでいた親戚も猟をした人でしたが、狩猟が解禁になる11月中旬頃から僅か3ヶ月間余の自然の恵みの逸品ですね。
4月上旬が冬季に含まれるのか?が微妙なところで、フロア係のお姉さんに提供可能か尋ねてみると、厨房まで確認に行ってくださってのOKサインでした。

本来は温かいかけそばのスタイルで提供されるのですが、フロア係のお姉さんが気の利く人で「つけそばスタイルにもできますが…」と仰って下さったので、せっかくの十割そばが伸びてしまわぬよう、私はそばとツユを別盛りで提供していただきました。

見てください、この鴨肉!大きな切身がゴロゴロ入っています。
脂身の少ない肉なので少々噛みごたえを感じますが、じっくり噛んでいると野性味溢れる旨味が口の中にじわじわと広がって何とも濃厚。
つけ汁にもしっかりとした鴨の風味が出ていて、実に滋味深い味わいです。

自家製石臼挽きの竜光十割手打ちそば
別盛りにしていただいた十割そばは、いつ食べても安定の美味しさ。そのまま食べても美味しいそばは、力強い鴨のつけ汁にも負けません。
味乃家 魚野川が提供する竜光十割手打ちそばは看板メニューの一つなので、たとえそばが無くなった中途半端な時間帯の訪問でも、また時間をかけて打ち立てで提供してくださるので有り難いのです。

そばの名にある「竜光」はお店脇を流れる魚野川の対岸にある魚沼市竜光地区のことだと思うのですが、中越地震の時には100世帯あったうちの3割が大規模半壊したところです。また、当時の山古志村の芋川流域にできた堰止湖(何度もテレビに映し出されていた)の決壊で、上流からの土石流や洪水がくる危険にさらされた地域でもあります。
震災から時が経ち、誰の話題にもならなくなった今もその名を残す十割そばは、私にとってかけがえのない味の一つになっています。
春の息吹を丸ごといただく

ふきのとう天ぷら(300円)
メニューに見える「地野菜天ぷら」にも、春のこの時期は魚沼の山菜が入るのですが(以前食べた時は根曲竹、ふきのとう、タラの芽入りでした)、今回は特にふきのとうが食べたかったので、そばのお供にこちらを選んでみました。が…。
300円の価格なので、せいぜいでふきのとう3~4個程度だろうと思っていたら、実際には8個のふきのとうが天ぷらになっててんこ盛り(笑)。苦いのが苦手な丼父さんは食べないので、末っ娘が1個だけ食べ、あとは全て私がいただきました。

今年1年のふきのとうをここで食べた感じはありましたが、途中で飽きることもなく、もたれることもなくて、柔らかでホロ苦い春の味覚を満喫できて大満足でした。
おしまいに

福山峠の雪上桜で冬と春を一緒にたのしんだ日、味乃家 魚野川でのランチでも同じように、冬と春の味覚を1度に堪能することができました。
半世紀にわたって地元民や観光客に愛される味に間違いなし!次回はまた、魚沼芝桜まつりの後にでもお邪魔したいと思います。
ご馳走様でした。(Saturday, April 8, 2023)

味乃家 魚野川(パン工房 魚野川)
- 住所:新潟県魚沼市下島70-1 ※Google map
- 備考:創業昭和42年/中越震災後の平成17年8月新装開店
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