【北五百川の棚田2023春】折れた桜と雨後のカタクリと粟ヶ岳|三条市
三条市
三条市にある北五百川の棚田

北五百川の棚田から望む残雪の粟ヶ岳(1292m)
新潟県三条市と加茂市の境に聳える粟ヶ岳(日本三百名山)の裾野に位置する下田地区(旧下田村)の北五百川の棚田。1999年(平成11年)7月に農林水産省の「日本の棚田百選」に、さらに2022年(令和4年)2月には同省の「つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来へ~(ポスト棚田百選)」にも選ばれている景勝地です。
遠く守門を望み、大久保の清水(新潟県の名水)が流れ込む北五百川の棚田は、古くから地元の人たちの手によって守られ、春には桜やカタクリ、初夏には三条市の花であるヒメサユリが咲き、実りの秋には黄金色の風景が広がります。
春の風景が三条市のPRポスターに使用されて以来棚田を訪れる人が増え、今では三条市を代表する春の名所となっています。

駐車場付近から見上げる北五百川の棚田
確か2018年春に訪れた時だったと記憶していますが、麓には新たにトイレや駐車場が整備され、近年はさらに行きやすい場所になりました。
桜、カタクリ、粟ヶ岳のトリプルコラボの風景

麓の駐車場から5分ばかり細道を登ってくるとある棚田一角の高台が、春の絶景がたのしめるポイントです。
この場所は50年近く前、棚田の所有者Sさんが雑木林を伐採・整備していたところ、それまで茂っていた笹などに代わってカタクリが自生し始めたとのこと。さらに2004年になって4本の桜を植えると、多くの人たちが春の里山の風景を求めて訪れる名所となりました。

あっ、折れてる!

この冬の県内は一時大雪になり、積雪の多い地域は各所で被害が出ました。中でもあちこちで目立ったのが、雪の重みによる倒木です。
棚田の高台に植えてある4本の桜のうち1番最初に目にする1本はもともと弱く、2017年の大雪で幹に亀裂が入った状態でも何とか毎年花を咲かせていました。しかし、10年に1度といわれた寒波が襲ったこの冬の豪雪には耐えられなかったようで、細かった枝が折れ、ほぼ花のない状態でそこにありました。

残りの3本は咲いて良かった!

しかし、咲いた3本も▲この状態…。
桜は枝を切っただけで弱ってしまう場合もありますから、次の春までの間に回復して欲しいものです。

山里の桜も今年は早く、4月8日の時点ですでに散り初め。昨年は4月17日の訪問時に満開でしたから、やはり10日ほど開花が早かったのだと思います。
望む粟ヶ岳の残雪も例年に比べて少なめ。足元のカタクリは6日に満開を迎えたといいますが、朝までの雨に濡れて下を向き、花びらも閉じたものが多めでした。
それでも北五百川の棚田ならではの春の景色をたのしもうと、ウグイスの声に混じってカエルの合唱がすでに始まっていた棚田の高台は切れ目なく、見学や撮影に訪れる人の姿がありました。

ドーン太も毎年の定位置で記念撮影。

粟ヶ岳・桜・カタクリ

雨に濡れた妖精

びっしり(笑)

春色コラボ
カタクリが地上に出ているのは、花を咲かせる春先から葉を茂らせる夏までのほんの数ヶ月だけ。残りの時間は静かに地下で過ごす植物です。「春のはかないもの」「春の短い命」というような意味で、「春の妖精」や「

時々花吹雪

終わりと始まり
10万分の1の奇跡を今年もご一緒に

カタクリの撮影をしていると…
今年もありました!純白のカタクリの花が目の前に一輪。🙌
白いカタクリは10万本に1本ともいわれ、幸福をもたらす花とされています。
棚田の高台にある群生地はカタクリの花数が多いので、毎年必ず1本は見つけられるのもお得感があります。
…というか、毎年ここに足を運べるということが、もう幸せの始まりなのだと思います。

そしてちょっと欲を出して、斜面にも無いかと探してみると…
斜面に2本、白い花が見えるではありませんか!
「今年はやけに多いな」と、とりあえずカメラに収めてみましたが、パソコンに取り込んで拡大してみると、斜面の2本は白いキクザキイチゲだったようです。あしからず…(汗)。
棚田山頂の桜の木へ

カタクリの群生地で春のトリプルコラボをたのしんだ後は、棚田のてっぺんに咲く桜の木を目指してさらに山道を歩いてみました。

棚田の所有者であるSさんも70代半ばになり、田んぼ仕事をやめるとかやめないとか。
「小型重機も入らない小さい田んぼは埋めてしまったのか…。」と独り言をつぶやきながら写真を撮って再び歩き出すと偶然、裏山で山菜を採った帰りだったらしいSさんが小型バイクで現れ、「こんにちは」と挨拶だけ交わして下りて行かれました。

てっきり自宅に戻るのかと思いきや、サービス精神旺盛な方なのでそのまま高台にバイクを走らせ、カタクリの見学に来ていた人たちの姿を見つけて案内されていたのだと思います。
棚田の最高部付近にある東屋では先輩ご夫婦が仲睦まじく、▲この風景を眺めながらランチタイムでした。

間近に見る高台の桜も良いものですが、遠くから眺める高台の桜もまた良い風景です。

程なくして到着した棚田最高部の桜の木。

この木の下での記念撮影も、毎年恒例になっている我が家です。

仏頂面のモデルさん(笑)

桜越しの守門岳
おしまいに

雨の後でカタクリの花はうつむき加減でしたが、桜がもう散り始めていたので、この日に今年も春ならではの光景を見ることができて何よりでした。
折れてしまった桜の木が心配ですが、強い生命力を信じて!

そして今年も、北五百川の棚田に美味しいお米が実りますことを祈っています。

麓の駐車場に着いて車に乗り込むと間もなく、また雨が降り出してきました。
Saturday, April 8, 2023|ドーン太 生後2,966日