えちご雪割草街道「本山村田妙法寺」で出会った春の妖精たち2023|長岡市
雪がとけたら何になる?
きっと一般的な回答は「水になる」でしょうが、雪国に暮らす人の多くは「春になる」…と答えが返ってくるのかも知れません。
週末はまた雨予報だったので、この日を逃しては今年は春の妖精(スプリングエフェメラル)たちに出会えないかも!?と、彼岸の中日の墓参りを済ませたあと、ここ15年ほどお邪魔している城山に雪割草を求めて出掛けてきました。
えちご雪割草街道
厳しく長い雪国の冬を耐え抜き、春の訪れを告げる花として愛好家も多い雪割草。新潟県は雪割草の品種の一つ「オオミスミソウ」の国内最大の自生地であり、雪割草は2008年(平成20年)に「新潟県の草花」に指定されています。
えちご雪割草街道は、雪割草の自生地を保護・公開している長岡市内4つの花場(大崎雪割草の里・雪国植物園・国営越後丘陵公園・本山村田妙法寺)を結んだもので、国内最大クラスと称される群生地での開花リレーをたのしむことができます。
我が家は今年もこの中から、鑑賞ルートが整備されて犬連れでもOK、軽いトレッキング感覚で散策できる長岡市村田に位置する妙法寺裏手の城山にお邪魔してきました。
村岡城址に自生する雪割草
村田にある法王山妙法寺は、徳治元年(1306年)に大成弁阿闍梨日昭上人を開祖とし、越後南朝方の武将として活躍した風間信濃守信昭公によって開創された日蓮宗のお寺です。
妙法寺の裏手には南北朝時代の初め頃に築かれた「村岡城」があり、城主は風間信濃守信昭公の弟・村岡三郎氏でした。和島地域周辺を領した村岡三郎氏は妙法寺の檀那でもありましたが、次第に南朝軍(新田氏)が劣勢となって村岡城も廃城となります。廃城後の安永5年(1776年)になると、麓にあった妙法寺を城址の中腹に移して現在に至ります。
妙法寺裏山の村岡城本丸周辺や、日蓮上人が佐渡に流罪になった際に寺泊まで通られたという道には、およそ30万株という雪割草をはじめとした春の妖精(スプリングエフェメラル)が自生しており、寒さで縮んだ私たちの心身をパッと解きほぐしてくれます。

ドーン太が立っているのは、実城直下にある往時の大手道です。
写真左側の斜面上が現在「山王台」とも呼ばれる実城部になりますが、今シーズンは見頃の良い時期に訪れたため、花のある場所にロープが張られて保護されていました。

山王台に向かう前にもう、こんなにも様々な雪割草が群生しているのを見ることができるのです。

違う花も咲いてるよ
大手道に残る土塁跡付近では、こちらも春の妖精といわれる花の一つ「キクザキイチゲ」が群生していました。
開花の時期が読めずに悔しい思いをする年も少なくないのですが、今年ばかりは色々とドンピシャだったようです。
山王台(村岡城本丸)にて

本丸跡には城址碑と、日本海を望む場所に東屋が設けられています。

山王台に自生する雪割草

山王台に咲いていたキクバオウレン
お天気も抜群に良かったので、山頂部からは日本海と佐渡、残雪の金北山までがクッキリと望めました。
山頂でドーン太の記念撮影をしていると、何だか東屋の中が賑やかで…
妙法寺cafeと素敵な出会い
実は私たち、ここに至る山道の途中で一人の男性を追い抜いて来ていたのですが、その男性が山頂部に到着して間もなく東屋にオープンしたのが「妙法寺cafe」でした。
「これから用意しますから、どうぞお茶を飲んで行ってください。」と声をかけていただいたので話を聞くと、Yさんと仰っしゃるその男性は地元和島の方で、妙法寺の雪割草を守っておられるボランティアのお一人とか。お天気も良くて花見客も多いので、ご自分がおもてなしをするからと山を登って来られたのだそうです。
まさかここでお茶をご馳走になるなら、息を切らしながら登っていたYさんの手にあった、重たい水の入った容器を持ってあげたのに…。
「和島の水は日本一美味しいですよ。」と言いながら、Yさんが淹れてくださったお茶で一服。
眺めの良い場所で、温かい人情に触れながらいただくお茶は格別でした。
そしてお茶飲み話の中で、これまで行ったことの無かった方面にも雪割草が群生しているという、地元住民ならではの有り難い情報を教えていただきました。

お茶を飲み終わったら
新しいポイント目指してもう少し歩くよ!
Yさんオススメの群生地へ

「ここから10分くらい歩くと…」とYさんが仰っていた群生地に向かう道のあちこちにもう、山王台周辺よりも多くの雪割草の姿があってビックリでした。
似ているように見えて花色や花びらや葉の形、雄しべの色合いや形など、みんな個々に違っているのも雪割草ならでは。

園芸種ではないのに、八重っぽく見えるのは目の錯覚?…と思いながら歩いていたら

明らかに八重の雪割草を発見。これは嬉しい変異株…ですね(笑)。

そして、再び出会ったキクザキイチゲは淡いブルーの色合いでした。

カタクリ

カタクリとキクザキイチゲ

雪割草とカタクリ
ショウジョウバカマ
キクザキイチゲ、カタクリ、ショウジョウバカマ。これらも雪割草同様に代表的なスプリングエフェメラルです。

Yさんに教えていただいたポイント周辺からは、また保護用のロープがありました。

花は遠くなってしまうのですが、人が足を踏み入れない場所にひっそりと咲く雪割草は、まさに妖精のようでした。

今まであまり見たことの無かった花色に出会いました。

軽く1時間半の山歩き。
今年も春の妖精たちの自然のままの姿を、心ゆくまで堪能しました。
おしまいに

地元にお住まいのYさんのお陰で、15年来通う山で新しい発見のあった今回の妙法寺散策。以前は人に教えたくない雪割草の自生地でしたが、今は長岡市が春の観光スポットとして積極的にPRしているので、この時期の登山客も随分と増えましたね。
日蓮宗の我が家がお彼岸の日に、妙法寺から聞こえてくる馴染み深いお経を聞きながら雪割草を愛でることで、思いっきり春を実感できた日になりました。

私たち飼い主はYさんとの出会いで充実した山歩きになりましたが、ドーン太の新しい出会いは私たちよりも先で、山に入る直前に出会った、他犬の空似でまるで合わせ鏡のような3歳♂のボーダーさんでした(笑)。
また何処かで再会できるといいね、そっくりさん!

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