漆黒のイカスミ麺【たんぽぽラーメン】上越市|酒蔵×愛麺会「雪むろ酒かすラーメン第五章」Part3
現在、上越市を舞台に20店舗の飲食店が13の酒蔵とコラボして開催している「雪むろ酒かすラーメン」のため、上越妙高駅西口にあるコンテナ商業施設「フルサット(FURUSATTO)」を訪ねてみると、そこにあったはずの蒲公英拉麺YAMATO店が閉店し、代わってこの日目的だった麺屋風花がオープンしていたという事実を知りました。
YAMATO店の閉店理由は何となく想像がついたものの、そんなこんながご縁となって、同市内にある「たんぽぽラーメン三和本店」を訪ね、本店が提供する「雪むろ酒かすラーメン」を3年ぶりに味わってみることにしました。
【酒蔵×愛麺会】雪むろ酒かすラーメン第五章
今シーズンで5回目の開催となる、上越市内20店舗の飲食店と上越・妙高地域13の酒蔵がコラボした「雪むろ酒かすラーメン」については、初回訪問記に詳細がありますのでそちらをご覧ください。

酒かすかんずりみそラテ【食堂ニューミサ】上越市|酒蔵×愛麺会「雪むろ酒かすラーメン第五章」Part1
上越市の新名物として、毎年冬から春にかけて登場する「雪むろ酒かすラーメン」。2022年度は12月3日(土)から販売がスタートしています。 このイベントも今シーズンで5回目の開催となり、これまでで最多となる同市内20店舗の...
提供店のひとつ、あの有名映画が店名になった三和区「たんぽぽラーメン」

この度お邪魔したのは上越市三和区にある、創作ラーメンでも有名な「たんぽぽラーメン」です。
「たんぽぽラーメン」は初代が還暦を過ぎた頃に突如はじめようとしたお店だったため、それを説き伏せるために見せたのが映画「タンポポ」でした。結局、映画を観たことが逆効果となり(笑)、そこから30年近くの歴史を刻んでここに存在します。
2020年6月末閉店してしまった「蒲公英拉麺YAMATO」は三和区にある「たんぽぽラーメン」の2号店として、上越妙高駅近くのコンテナ商業商業施設「フルサット」開業と同時の2016年6月17日にオープンした店でした。前回本店を訪ねた時には2代目ご夫婦がお店を切り盛りされていたのですが、今回訪ねてみると厨房の中が一気に若返っている…。多分、代替わりのためのYAMATO店閉店だったのではないかと思われました。
店内の様子

「これはラーメン・ウエスタンだ!」の額が掲げられた店内は以前のまま。
だけど、厨房内のカウンターにキッチリと並べられた色とりどりのスパイス類やコカ・コーラの冷蔵庫など、以前とはまた違った印象が席に着いた直後から感じられました。
私の席から良く見えたのは、お店の看板メニューであるトマトチーズ麺の色鮮やかな額。
いまだコロナ禍でもあり、卓上には何も出ていない状態でした。
メニュー
「たんぽぽラーメン」の初代女将が生み出したのが、今も人気の定番メニュー「みそラーメン」。
そしてご家族は富山ご出身のようで、「富山ブラック」を新潟の人たちにも親しみやすい味にアレンジした「ブラック醤油ラーメン」もまた看板メニューのひとつです。
さらに、現在お店を切り盛りする3代目がYAMATO店時代に生み出した「トマトラーメン」が評判となり、三和本店でも提供を始めると人気となって新らたな客層が広がり、他店には無い創作ラーメンが揃う店としても有名になりました。
「雪むろ酒かすラーメン」の第一章で三和本店が提供した「元祖雪室酒粕みそラーメン」、3代目がYAMATO店時代に生み出して今も人気の「トマトチーズ麺」「トムヤムクンラーメン」は現在、お店公式のオンラインショップから購入できます。

期間限定の創作メニュー
よしかわ杜氏の郷×たんぽぽラーメン「漆黒のイカスミ麺」

漆黒のイカスミ麺(1,050円)|1日15食限定

たんぽぽラーメンが提供する「雪むろ酒かすラーメン」は、地元杜氏の伝統を受け継ぎ1999年誕生の酒蔵「よしかわ杜氏の郷」とコラボした真っ黒な一杯。
トッピングには自家製せんべいをはじめ、イカ、豚チャーシュー、メンマ、味玉、玉ネギ、カイワレ、糸唐辛子。
特別お願いしたわけではなかったのですが、黒い紙エプロンを添えて提供してくださいました。

真っ黒な見た目がインパクトあるスープ。この中に「よしかわ杜氏の郷」の酒かすが使われています。
レンゲで掬ってみると、思う以上に香油がたっぷりと使われているのが見て取れます。
一口飲めばほど良い塩味の中に、イカスミ特有のコクと甘みが口いっぱいに広がります。
アミノ酸豊富なイカスミ自体が旨味の塊ですから、それがダイレクトにやって来る感じでこれは凄い。その後ほのかに感じるチーズのような風味は、酒かす由来のものではないかと思いました。
地元上越産の米と米麹で醸す「よしかわ杜氏の郷」の酒は、その副産物である酒かすもそのまま食べて美味しい逸品です。スープに旨味をプラスするだけでなく、生臭さが苦手という人もあるイカスミの弱点まで消し去り、スープ全体をまろやかな味わいに仕上げていました。

国産小麦を使用した中太麺には独特のコシと風味があり、後半になってもあまり湯のびした感じにならずに食べ進められます。
真っ黒なスープはイカスミ特有の粘度も上手く利用されており、麺にスープが良く絡む。

野菜と一緒に炒めた具材としてでなく、イカがそのままラーメントッピングとして使われているのも珍しい。
そしてこれもイカスミ効果なのか、松笠切りのイカが非常に柔らかに仕上がっていたのが印象的でした。
トッピングの中でも目を引く自家製せんべいは、酒かすとイカの塩辛入りの発酵食品二重奏。
そのまま食べてもスープに浸してから味わってもOKとのことでしたが、私には少々しょっぱ過ぎて、その良さが最後まで分かりませんでした(汗)

そして一見白っぽく見える、たんぽぽラーメンオリジナルの豚チャーシュー。
実は、常時提供されているラーメンにも使われているこのチャーシューも、発酵パワーによって完成しているものなのです。
一般的な醤油ダレに肉を漬け込んで作るのではなく、麹による乳酸発酵によって3日掛かりで完成した発酵チャーシューは、上品な味わいで肉の旨味が強いのが特徴です。
番外編ですが、こちらも発酵食品満載の一杯

発酵ホタテの豆乳ラーメン(1,050円)|1日15食限定
さてこの日、同じテーブルのパーティションの向こうで丼父さんが食べていたのが、2021年秋に初お目見えし、その後も定期的に登場しているらしい期間限定・数量限定メニュー「発酵ホタテの豆乳ラーメン」でした。
発酵ホタテの豆乳ラーメンのスープには豆乳のほか、上越市にある株式会社丸山酒造場の「雪中梅」の酒粕が使われており、豆乳が練り込まれたオリジナルの細麺が使われています。炙ってから提供されているチャーシューは、ワイン酵母で発酵させたもの。スープだけ少しもらって味見してみましたが、ポタージュのような味わいで、黒バージョンも白バージョンも甲乙つけがたい出来栄えになっていました。
こちらは「雪むろ酒かすラーメン」参加メニューではありませんが、たんぽぽラーメンでは常日頃から発酵食品を取り入れたラーメン作りをされ、発酵のまち上越を発信しておられます。
おしまいに

3年前の雪むろ酒かすラーメン第二章でたんぽぽラーメンを初訪問した日、「オマール海老のブラック醤油ラーメン」を作ってくださったのは2代目ご店主でした。それがこの度の「漆黒のイカスミ麺」は3代目の手によるもの。
正直、蒲公英拉麺YAMATOの閉店を知った時には酷くガックリしてしまいましたが、引き継ぎ手がなくて閉めてしまう飲食店も多い昨今にあって、2代にわたってイベントメニューを味わえるお店は数少なく、三和本店で3代目のラーメンを味わいながら「たんぽぽラーメン安泰」を実感しました。
創作系はたんぽぽラーメンの真骨頂!
次回もまた、一ひねりも二ひねりもある、たんぽぽラーメンの「雪むろ酒かすラーメン」をたのしみにしています。
ご馳走様でした。(Sunday, February 19, 2023)

たんぽぽラーメン
- 住所:新潟県上越市三和区神明町1290-56 ※Google Map
- 備考:1996年創業

【雪むろ酒かすラーメン】三和区のたんぽぽラーメンで「オマール海老のブラック醤油ラーメン」いただきました|上越市
二週続けて訪ねた「糸魚川あんこう祭り」のあとは、これまた二週続けて上越の新名物「雪むろ酒かすラーメン」探訪というワンパターンな我が家(笑) 近年は創作ラーメンも人気という、上越市三和区にある初めてのラーメン店を訪ねました。...
-
【味乃家 魚野川】冬季限定の天然カモそばと春の味覚ふきのとう天ぷら|魚沼市
2023/04/26 -
【かも新】自家製乾麺と鴨だしご飯がおいしい和テイストのラーメン店|新潟市中央区
2023/04/18 -
酒粕塩白湯 雅 -ミヤビ-【GOGO宝来軒】上越市|酒蔵×愛麺会「雪むろ酒かすラーメン第五章」Part5
2023/03/23 -
ローストビーフの贅沢まぜそば【麺屋あごすけ】上越市|酒蔵×愛麺会「雪むろ酒かすラーメン第五章」Part4
2023/03/14 -
発酵味噌らぁめん【麺屋風花】上越市|酒蔵×愛麺会「雪むろ酒かすラーメン第五章」Part2
2023/03/06 -
酒かすかんずりみそラテ【食堂ニューミサ】上越市|酒蔵×愛麺会「雪むろ酒かすラーメン第五章」Part1
2023/03/02 -
らーめんたな華の「マーボー麺」|新潟市中央区
2023/02/25 -
燕背脂中華と二郎系のいいとこどり【麺豪 織蔵】ボリューム程よい塩二郎「織蔵しおラーメン」|燕市
2023/02/20