【弥彦菊まつり2022】今年の大風景花壇は白川郷|弥彦村
新潟県弥彦村に秋の訪れを告げる恒例の県菊花展覧会「弥彦菊まつり」が、今年も11月1日から11月24日まで開催されました。
いまだ県外遠征するのをためらう世の中なので、今年は数年ぶりに弥彦の菊をたのしもうと開期序盤に一度出掛けています。ところが、向かう道は途中から渋滞して初詣並みの混雑ぶり。あまりの人の多さに車すら停められそうになく、諦めて引き返した経緯があります。
それでも開期終盤なら少しはマシかも…と、あまり予報の良くなかった勤労感謝の日の午前中、再び弥彦へと向かってみました。
正式名称を新潟県菊花展覧会という弥彦菊まつり
弥彦村の秋の風物詩である弥彦菊まつりは、越後一宮彌彦神社境内で開催される新潟県菊花展覧会です。
その始まりは昭和3年(1928年)のこと。有志によって長年行われてきた奉納切花大会がその元となっています。「彌彦神社奉納菊花会」と改められたのは昭和36年(1961年)のことで、花のでき栄えを競う会として第1回新潟県菊花展覧会が11月1日から同月24日まで開催され、県内外から2,600点あまりの出展があって境内を飾りました。現在もこれに従い、毎年時を同じくして弥彦菊まつりが開催されるのです。
近年は県内外の愛好家が丹精込めて育てた多種多彩なる菊花およそ4,000鉢の出品作品の中から48部門、約1,500鉢が厳しい審査を受けます。品目数や出品数では全国一の規模を誇り、クオリティーの高さはまさに日本一!であると、新潟県民なら皆そう思っていると思います。

弥彦菊まつりも、いよいよ明日が最終日という前日の訪問。
今年の秋は気温の高い日も度々ありましたので、正直なところ随分くたびれてしまった花もありました。しかしそこは丹精込めて育てられたものばかり。数週間を経てなお綺麗に咲き誇っているものも多かったです。
そんな2022年勤労感謝の日の彌彦神社境内の様子です。
厚物咲き誇る表参道
彌彦神社一の鳥居から続く表参道には毎年、大輪で見応えのある厚物が並びます。1つの鉢に1本仕立てのものから、5本、7本と咲くもの、競技花と様々展示されていました。

30cmはあろうかという大菊厚物

大菊七幹立厚物
【見どころⅠ】白川郷を模した大風景花壇

菊花展覧会の中でも多くの人がたのしみにしているのが、全国各地の名勝・景勝地を再現した「大風景花壇」ではないでしょうか。
この大風景花壇は、昭和49年(1974年)から制作されているもので、2022年度のテーマは岐阜県の白川郷。山々に囲まれた大自然の中に、小菊で再現された茅葺屋根も可愛らしい大作となっていました。
大花壇は広さ64畳分あり、1本1本手作業で挿した小菊3万本と500鉢の菊花によって、田園風景と合掌造りの集落が表現されています。
菊人形は全国各地で見られますが、菊花で全国の景勝地を造園する「大風景花壇」は弥彦ならではだと思います。
菊花の奥深さを知る二の鳥居から随神門
彌彦神社二の鳥居から随神門に至る参道には、大菊管物や中菊の古典菊など歴史ある種類が展示されていました。あわせて、菊の栽培技術を伝承してくれる(かも知れない)子どもたちの作品も並んでいて、見所の多い展示コーナーでした。
菊花いろいろ

大菊管物
大菊 実用花

大菊 一文字
【見どころⅡ】古典菊
大菊は中国から伝わったものといわれていますが、古典菊は日本が原産の種になります。
いずれも江戸時代に栽培が流行したものですが、まとまった形で展示されるのは全国でも珍しく、これもまた弥彦菊まつりならではです。
伊勢菊

中菊 伊勢菊
伊勢の狂菊ともいわれ、伊勢神宮周辺で盛んにつくられてきた菊です。細い花弁がよれて絡み合い、狂って垂れ下がるように咲くのが特徴です。
嵯峨菊

中菊 嵯峨菊
古来より京の宮廷で栽培され、現代では京都嵯峨野大覚寺を中心としてつくられています。清らかな花の姿を好まれ、お茶席用の花として茶人にも重用されています。
肥後菊

中菊 肥後菊
江戸時代中期の武士道が盛んだった頃、細川藩士の教養の一つとして熊本地方で盛んに栽培された種です。明治天皇が非常に好まれたと伝わります。
江戸菊

中菊 江戸菊 十一管
徳川時代中期より、江戸の上・中流階級の人たちによって盛んに栽培されました。最盛期は江戸時代末期から昭和のはじめにかけてで、江戸菊のほか狂菊、芸菊などとも呼ばれます。
福助作り
大菊 福助の厚物と管物
一見するとどちらも大菊の厚物と管物のように見えますが、実は福助作りは一般的な大菊よりも草丈が35cm程度とずっと低いのに対し、咲いた花は大人の顔ほどもある巨大で豪華なもの。福助さんのように頭でっかちな見た目が名の由来になっています。
弥彦作り

中菊 弥彦作
大菊部門で技を見せたのが「福助作り」なら、中菊部門ではそれが三種混合の植え込みである「弥彦作り」になります。
創意工夫で独自のスタイルをあみ出し、年々内容を充実させていった結果が、弥彦菊まつりを全国有数レベルへと押し上げていったわけです。
児童・生徒の作品

加茂農林高校生物工学科の生徒作品
弥彦小学校の児童作品
地元・弥彦村の弥彦小学校の児童、農業生産や生命科学を学べる新潟県立加茂農林高校の生徒作品は、いずれも愛好家たちの作品に引けを取らない玄人はだしの出来栄えだと関心しました。
弥彦小学校の児童作品には菊を育てる過程での苦労話などが書き添えてあり、見事に咲いた花と照らし合わせながら、その一つ一つを読んでいくのもたのしかったです。
力作揃いの本殿・拝殿前

随神門を潜って彌彦神社の神聖な場所へと向かえば、そこにある菊の全てが受賞作品であるといっても過言ではありませんでした。
【見どころⅢ】大菊 大数咲

寬仁親王賞が下賜された最優秀作品の大菊大数咲

数ある作品の中から、2022年度の最優秀作品である「寬仁親王賞」に選ばれたのは、こちらの大菊大数咲でした。
大数咲は1年半の歳月をかけ、たった1本の茎から300輪以上の花を咲かせるもので、これも全国的にみても珍しい仕立て方であり、弥彦菊まつりの特徴の一つとなっています。

こちらは300輪以下の大菊数咲
【見どころⅣ】小菊盆栽
小菊を盆栽のように仕立てた「小菊盆栽」。
境内中央に設けられた特別賞の他にも、さまざまな仕立て方の小菊が境内を半周するように多数展示されていました。
【見どころⅤ】大懸崖

1.5m以上もある大懸崖
先の大数咲と共に弥彦菊まつりを象徴するものの一つが、この「
大きなものになると長さ2m横80cmほど。ハート型の骨組みに、1本の茎から無数に伸びた小菊の枝が1㎝四方の細かさで結びつけられてできています。
小菊 文人懸崖
おしまいに
ここ数年、観光地の情報がネットでリアルタイムに拾えることもあり、良い時期に訪ねようとすると辿り着くことすらできなくなってしまった弥彦菊まつり。イベントの最終盤に行っても、見方によっては十分にたのしめることが分かりました。
境内でたくさんの菊をたのしんだ後は車内待機だったドーン太も連れて、もう少しブラブラと久しぶりの弥彦の街を散歩してみようと思います。
つづく。

Wednesday, November 23, 2022
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