蕎麦割烹まるいち【四季の彩り山本山そば】おぢや麺フェス2022
たまたま長岡方面まで買い物に出た日のこと。今年も小千谷市で恒例となっている「おぢや麺フェス」が開催されていたこともあり、さらに足を延ばして小千谷市
実に5年ぶりの再訪。お邪魔しない間に少々店名が変わっていた「蕎麦割烹まるいち」での、おぢや麺フェス2022体験記です。
今年で第4回目の開催となる「おぢや麺フェス」
錦鯉発祥の地として有名な小千谷市は山河に恵まれた文化の香り豊かな町で、江戸時代から続く伝統工芸「小千谷縮」や「小千谷紬」の町としても知られています。
今や小千谷縮は国の重要無形文化財でありますが、その織物の染色に欠かせないのが海藻由来の「布海苔」です。織物が盛んな土地に身近にある布海苔を繋ぎとしたそばが「布海苔そば」であり、これを「へぎ」と呼ばれる器に盛り付けたものが越後で有名な「へぎそば」になります。
小千谷地域のへぎそばは「小千谷名物へぎそば」として商標登録もされておりますが、実はラーメンにおいても激戦区であり、私も度々通うお気に入りのお店が集中しているのも小千谷市です。
そんな麺のまち小千谷市で、2019年(令和元年)より毎年開催されている一大麺イベント「『おぢや麺フェス」。第4回を数える2022年度は小千谷市内10店舗のへぎそば店とラーメン店が参加し、期間限定でご当地食材を使った小千谷ならではのオリジナルメニューを提供しました。

開催期間:2022年11月11日(金)~同年12月11日(日)
参加店
- へぎそば店:わたや本店、わたや平沢店、元祖小千谷そば角屋、小千谷そば和田、蕎麦割烹まるいち
- ラーメン店:手打ち麺処暁天、手打らーめん勝龍、麺やようか、麺やつるり、ラーメンつり吉小千谷店
※2022年度はフードデザインなどを学んでいる小千谷高等学校の生徒とコラボレーションした期間限定メニューを各店で提供。スタンプラリーや「○×クイズ」といった催しも同時開催。
参加へぎそば店の一つ「蕎麦割烹まるいち」

おぢや麺フェス2022のそば店代表として私が選んだのは、以前は「真人そばまるいち」というのが正式名だったと記憶している、創業50年の老舗店「蕎麦割烹まるいち」さんです。
場所は小千谷市街地から十日町市に向かう県道49号沿いの中山間地「真人地区」にあり、地産地消に拘ったそばを雰囲気の良い古民造りの店舗で味わえるお店です。

夜営業は午後5時から。暖簾が出たところで車から降りて店舗へと向かうと、入口には新そばの案内とともに麺フェスの案内もあって期待大。ワクワクしながら一番乗りの入店でした。
店内の様子

開放的な高い天井に雪深い地ならではの太い梁。客席は二間続きのお座敷です。
以前は向かって左半分が低いテーブル席で右半分には座卓が並んでいたものでしたが、現在は入口の一箇所を除いて殆どが低めなテーブル席になっていました。前回は床の間前の一等席に座らせていただきましたが、今回の我が家は、あえて遠くから床の間が眺められる席に陣取りました。

店内も麺フェスと新そばの案内に溢れていていつも以上に賑やかな感じ。座卓席にはスタンプラリー参加ノベルティの手ぬぐいも飾られていました。
四季折々の山本山をテーマに作り上げた、まるいち「おぢや麺フェス」参加メニュー
小千谷高校生徒からの提案
- メニューテーマ:山本山
- お題:小千谷の彩り野菜を使用
青いガラスの器は信濃川を、ホウレン草に裏ごし卵黄を散りばめて春の菜の花を、クチナシで黄色く色付けしたサツマイモは夏のひまわりを、高校生の意見から紅葉おろしと麩で秋を、それぞれイメージし、そばには冬の山本山に見立て豆乳のメレンゲをトッピングしました。そのほか、高校生から『小千谷の彩り野菜を』とのことでブロッコリーを使用。季節柄、温かいつゆ、冷たいつゆをお選びいただけるメニューにしました。
蕎麦割烹まるいち
四季の彩り山本山そば

四季の彩り山本山そば(1,300円)

小千谷市内を流れる信濃川をイメージした器に山本山を表現
信濃川をイメージした青いガラスの器には、ほうれん草菜の花仕立てで春を、サツマイモのレモン煮で夏を、紅葉おろしで秋をと、移り変わる山本山の季節がそれぞれに表現されていました。ピリ辛ソースは味変にお好みで!
ひまわりの黄色を再現したサツマイモのレモン煮にも、ドーン太と行った思い出の山本山高原のひまわり咲いた。

メインプレートにも盛り込まれた山本山の四季
メインプレートには高校生からのリクエストである「小千谷の彩り野菜」として茹でたブロッコリーと、秋をイメージした紅葉麩を使用。さらに、冬の山本山に見立てた豆乳のメレンゲをトッピング、その手前に見える紫色は食用菊である「かきのもと」で新潟の秋を感じさせます。そのほか温泉卵、自家製軟骨入りつくね、むきエビ天ぷらと盛りだくさん。

秋のこの時期なので、そばはもちろん新そばです。
小千谷産一番粉十割に布海苔で繋いだ小麦粉の入らないまるいち独自製法のそばは、コシの強さと歯切れの良さが際立ち、喉を通ったあとに何ともいえない上品な新そばの香りが余韻となって追いかけてくるのが特徴です。
そばに紅葉おろしをのせても美味。鶏つくねは食べ応えもありました。
小千谷高校の生徒さんの意見を取り入れたというピり辛ソースは、神楽南蛮に自家製のあま酒を加えて作られたもの。程よい辛さのなかに柔らかな甘さが隠し味になっていて、紅葉おろしの辛さとも違うのでそばの味変にも良かったのですが、私的はプリッと揚がったむきエビ天ぷらに付けて食べるのがより好みでした。
醤油名匠が生み出すそばツユ
まるいちさんの通常メニューの中にもぶっかけスタイルがありますが、今回の山本山の四季を表現したイベントメニューもぶっかけスタイルになっており、私は冷たいそばツユでいただきました。
実はまるいちさん、日本醤油協会が2003年(平成15年)に日本料理一般を対象に行った第1回醤油名匠において、そこに名を連ねるお一人なのです。

そばツユは地元産の醤油2種類をブレンドし、昆布や削り節の風味と合わせたまろやかで角が無いもの。そのまま飲めるくらいにやさしく上品な味わいに仕上がっていました。それが力強い新そばの風味に負けることも無く、だからといって主張し過ぎることも無く、程よい感じでそばの旨味を引き立てます。
雪の山本山に見立てて使われた豆乳メレンゲがそばに合うのかが心配でしたが、醤油に豆乳が凄くマッチして美味しいというのも、今回の食イベントでの新発見になりました。そうですよね、どちらも大豆製品ですから、使い方次第で合わないわけがないのですよね。
〆の濃い濃いそば湯

そばも新そばらしい濃厚な風味をたのしめましたが、〆のそば湯がまた濃い!
地元産のそば粉だというのだからきっとあの辺のそばなのだろうと、秋に小千谷で見た白いそばの花など思い出しながら、甘みの強いそばの味をそば湯でも堪能できて大満足でした。
おしまいに
会計に向かうと女将さんから、まるいちさんのスタンプが押された麺フェスのスタンラリーカードをいただきました。ついでに、豆乳とそばツユの味がマッチして美味しかったと伝えつつ、話の流れから「近くの豆腐屋さんの豆乳ですか?」と尋ねてみました。しかし答えはNOだったのです。
以前のまるいちさんには「真人の味セット」という地元密着のメニューがあったのですが、今回はそれが無くなっていて不思議だったのです。奥様からのお答えを聞いて過疎化地域の時の流れを感じるとともに、同じ真人にあるお店同士の繫がりが薄れてしまったようにも感じられて非常に残念に思いました。まるいちさん自体「真人」を名乗らず、「蕎麦割烹」と改められたことも何か理由があるのでしょうしね。
細かい事情は分かりませんが、まるいちさんの味が確かなことは今も昔も変わりなく、老舗そば店に行ったら決まってへぎと天ぷらを頼んでしまいそうなところ、華やかなイベントメニューで真人そばを味わえたのも良かったのではないかと思います。
ということで、まるいちさんの安定的な腕の良さを再確認した「おぢや麺フェス2022」の1杯目でした。
ご馳走様でした。(Sunday, November 27, 2022)

真人商品が並ぶまるいち玄関先

蕎麦割烹 まるいち
- 住所:新潟県小千谷市真人町乙794-1 ※Google Map
- 備考:創業から50年余

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