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山形県あつみ温泉街に湧く名水「大清水」と老舗そば処で名水グルメ|ドーン太と名水Part77

2022年12月01日

ドーン太と行く名水の旅
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山形県 名水 老舗 そば 7歳8ヶ月

先の記事、村上市山北地区で行われている「大川のコド漁」を見に行った日のこと。
家から近い浜辺で先にドーン太を走らせてガス抜きし、そこから海沿いを横長県北へと移動しているので、目的の大川に着いた時には昼を大きく回っていました。当然、そんな日の高い時間帯に鮭漁は行われておらず…。仕方ないので時間潰しを兼ね、最寄りの「道の駅あつみ」でトイレ休憩となりました。

トイレをお借りした後に道の駅内の物産館をウロウロしていると、地元あつみ温泉街のそば屋で作られたという干しそばが目に留まり、商品に添えられていたPOPの謳い文句に釘付けになりました。
「お店の隣に湧き出る名水」「名水で打ったそば」「老舗そば処」…

Google先生に尋ねてみれば、お店の閉店時刻は残り1時間無い午後3時。(2022年11月現在)
すぐさま道の駅周辺でドーン太と散歩していた丼父さんを探して名水とそば屋の情報を伝え、ダメ元でいいからと向かってみました。

山形県の名水に選定されている「大清水」

道の駅のお陰で急遽見つけた目的地その一は、「里の名水・やまがた百選」に選定されている「大清水」です。

道の駅あつみ前を走る国道7号から温海温泉を目指し、温泉街の案内に従って県道44号(余目温海線)に入ってからは温海川に沿ってひた走ります。開湯1,200年の歴史ある温海温泉街を抜けてさらに100mほど行ったところに「大清水公園」として整備された名水と、そのお隣には同名のそば処があるので初めてでもわかり易かったです。

大清水公園に立つドーン太

ポケットパークとして整備されている大清水

山形県では地域の人々に育まれてきた優れた湧水を「里の名水・やまがた百選」として選定し、地域の活性化や観光誘客につなげています。

2021年(令和3年)10月の時点において、最上地域10箇所、置賜地域11箇所、庄内地域21箇所の計66箇所が「里の名水・やまがた百選」に選出されており、この度の「大清水」もそのうちの一箇所です。

大清水の説明板

名水 大清水
この清水は、昭和天皇が「雨けむるみどりの山はしづかにて庭の山かと思いけるかも」とお詠みになられた温海岳を源流とし古来より大樹の根元よりこんこんと湧き出ています。この清水を詠んだものとして建部山比子碑と枕流碑があり、地元住民をはじめ遠方より名水を求めるお客様にも親しまれています。
平成十三年に大清水公園としてお堂、植栽、ベンチ等を整備しました。

現地案内板より
温海温泉街にある大清水の前に立つドーン太

大清水は温海岳の伏流水で、祠の下から湧き出しています。
江戸時代後期の庄内藩士であった安倍親任が記した筆濃余理ふでのあまりの中には「平清水」とあり、酒井のお殿様が湯治に来た際にもこの水を飲んだと伝えられ、昔から名水として親しまれた歴史ある湧水です。

祠の横には歌人・建部山比子が大清水を詠んだ「夏かけて 消えぬ氷もあらなくに 冬より寒き 山の井の水」の歌碑が見られます。

大清水の標柱
大清水が湧く場所に建つ祠
祠の下から湧く大清水
大清水の祠と歌碑
大清水の清らかな流れ
大清水

平成27年度「里の名水・やまがた百選」選定

  • 場所:山形県鶴岡市湯温海乙
  • データ:水量 毎分100L|硬度 22㎎/L|PH 7.4|水温 11.5℃
大清水を飲むドーン太

祠に守られ、今は無き大樹の根元からこんこんと湧き出す水量は豊富。水温は通年11℃程度なので、秋のこの時期に流水口に手を差し入れても外気温と同じくらいに感じられました。

味は無味無臭。名水らしい、まろやかな軟水でした。

温海川と余目温海線と大清水

周囲は温海岳の急峻な山肌が迫り、県道44号(余目温海線)の下方には温海川が流れています。

江戸時代創業の老舗そば処「大清水」

道の駅あつみのお陰で急遽見つけた目的地その二は名水「大清水」に隣接してあり、名水グルメがいただける老舗そば処「大清水」です。名水「大清水」へ向かうきっかけともなった道の駅の物産館で発見した干しそばは、こちらのそば処「大清水」が提供しているものだったのです。

▲上の写真の県道脇にすでに店舗が見えていますが、大清水公園のすぐ隣に同名のそば処があり、名水を使った生そばが味わえるというのでたのしみにやって来ました。

そば処大清水外観

創業は江戸時代末期の文政年間という老舗中の老舗。
「新そば」の文字も嬉しく、昼時を大きく外した午後2時半の初入店です。

店内の様子

そば処「大清水」は山形の親戚の家に遊びに来たような、そんな錯覚さえ感じる落ち着きある隠れ家的な一軒家でした。まず玄関に入って靴を脱ぐと左手に厨房があり、その反対にある二間続きのお座敷が客間となっていました。

私たちが座った窓際のテーブル席
窓際に掲げられた絵額
窓側のお座敷の様子
セルフサービスのお茶
床の間側のお座敷の様子
卓上セッティング
大清水公園が見えるお一人様席

奥の座敷は座卓、道路に面した座敷は低いテーブル席で、どちらの部屋も畳みの縁が「いろはにほへと」と遊び心ある仕様。大清水公園を眺めながら食事ができるお一人様席もありました。

ご夫婦で営む店なので、お茶などはセルフサービスになります。
私が座った窓側の座敷には温かいお茶が置かれていたのでそちらを利用しましたが、奥の座敷には冷たい飲み物が用意されていたようでした。中身は未確認でしたが、これが先ほどの名水であったら嬉しい限りですね。

メニュー

大清水のメニュー表側 大清水のメニュー裏側

メニューは、せいろそば、天せいろそば、とろろそば、そねそば。サイドメニューは天ぷら、にしん棒煮。裏面は温かいそばとなっていました。

山形県の中でも温海温泉周辺ならではなのが「そねそば」ですが、そそっかしい私は値段を1万1,700円と勘違いしてしまい、今回は注文するのを見送ってしまいました。
よく見れば、本来の値段は2,700円で(汗)3人前程度のそばが「そね」と呼ばれる器に入って提供されるそうです。新潟でいうところの「へぎ」のようなものなのだろうと思われました。

大清水の名水グルメを堪能

大清水の大きなそば猪口

しばらく待ったところで運ばれてきたそばツユや薬味など。
所変われば…で、老舗が提供するそば猪口が大きくて独特な形をしていたのが少々ビックリでしたけど。

店内貸し切り状態の時だったので、席に座って10分ほど待ったところで我が家の料理が運ばれてきました。

大清水の天せいろそば

天せいろそば(1,550円)

大清水の手打ち生そば

江戸時代から受け継がれている看板の品は、店の隣に湧く「大清水」仕込みの二八そば。
打つ、茹でる、冷やしてしめるという行程において使われる水は、全て名水「大清水」というこだわり様。そして、あまり水気を切らずに盛り付けられるのも、まろやかな名水あっての成せる技だと思います。

使われているそば粉は国産だそうで、新そばもあって香りが良く、しっかりとしたコシと適度なざらつきを持つ食べ応えあるそばでした。道の駅あつみに売られていた干しそば「大清水そば」の原材料を見ると、そば粉と小麦粉、山いも粉末が主原料と書かれているので、生そばのコシは山芋つなぎ由来のものだったかも知れません。

大清水そばとツユ

ツユは甘さ控えめで、醤油の風味と鰹節や昆布の旨味がそばの味を引き立てます。
醤油や味醂のバランスが食べ慣れた越後のそばツユとも良く似た感じで、いつもしているようにそばをツユにどっぷりとつけてから口に運ぶと、噛むほどにそばの甘みが増して美味しかったです。

地元野菜を使った天ぷら

天ぷらには地元の野菜が使われているそうです。この日はエビ、カボチャ、ピーマン、ナス、シメジの五品。
野菜も美味しかったですが、エビがとにかく大きくて食べ応えありました。

大清水のそば湯

〆のそば湯はサラッとしたタイプ。新そば時期は良いですね。そば湯を飲んでもふんわりとそばの香りがたのしめます。

温海かぶら漬けは冬季限定の味

温海のかぶらづけ

かぶらづけ(200円)

メニュー表にはなく、店内の壁や柱に貼ってあった「かぶらづけ」は冬季限定の温海の味。伝統野菜である「温海かぶ」を甘酢に漬けた、庄内が誇る伝統的な漬物だそうです。

最初、かぶの梅酢漬けなのかと思って食べていましたが、梅酢ほど酸っぱくないマイルドな酸味で食べやすかったのです。温海かぶは赤かぶなので、かぶ本来の赤い色素が甘酢によって発色しているんですね。
ほんのりとしたかぶの苦みもまた美味しい、新しい地元野菜との出会いとなりました。

ご馳走様でした。

そば処大清水の外観

大清水

  • 住所:山形県鶴岡市湯温海乙131 ※Google Mapリンクアイコン
  • 備考:文政年間創業

おしまいに

道の駅は地元情報発信の有難い場。たまたまトイレ休憩で立ち寄った道の駅あつみのお陰で新たな名水に出会え、美味しい名水グルメを堪能することができました。

庄内地方には「麦切り」という郷土食が存在しますが、そばに関しても美味しい店がたくさんあるというのも今回の発見になりました。特に、良質な水は食材の持ち味を存分に引き出してくれますから、新そばの時期に、ずっと変わらぬ製法で提供する老舗の味は格別でした。

お腹も膨れたところで、滞在時間わずか1時間で山形の温海から新潟の山北へと戻り、夕方の大川のコド漁をたのしみました。

Saturday, November 19, 2022|ドーン太 生後2,826日

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そふぃあ
Posted by そふぃあ
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コメント(14)

There are no comments yet.

徳川たぬこ  

2022/12/01 (Thu) 13:36

こんにちは

すごい˖✧
駄目もとでお出かけなさったのに素晴らしい名水やお蕎麦に巡り合われるとは˖✧
持っておられますねーー(*´艸`*)
お見せの佇まいも落ち着きがあって良いですね
二階に下宿したいです笑

そふぃあ  

2022/12/01 (Thu) 15:17
そふぃあ

To 徳川たぬこさん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

コロナになってから時短営業されているお店も多くて、過去のネット情報もあてにならない場合が多いですよね。
午後3時閉店もラストオーダー2時半という場合もあるし、だけどせっかくここにいるので、とりあえずお店の前まで行ってみようと。
結局、この日の最終客が私たちでしたが、温かく迎えてくださり、美味しいお蕎麦を味わえました。

日本海からもそう遠くない場所ですが、山間なのでお店や清水が日陰になる時間も早かったです。
だけど落ち着ける雰囲気があり、川のせせらぎや清水の流れる音に癒される場所でした。

さえき奎(けい)  

2022/12/01 (Thu) 23:12

温海温泉には何度も泊まっているんですが、この公園に寄ったことはないんです。
ということで「大清水」も知りませんでした。
大変残念です(笑)。
山形県でも一番気に入っている温泉街なんですが、宿泊するとなると意外とバタバタ通り過ぎるだけになってしまうものなんですね(笑)。

かぶらづけが実に美味そうです。
次回訪れる機会があれば、是非寄ってみたいと思いました。

もふもふミッフィー  

2022/12/01 (Thu) 23:30

お蕎麦、美味しそうですね~(≧▽≦)
私は、お財布が許せば毎日でもお蕎麦食べたいくらい好きなので、これはそそられますね(´▽`*)
天ぷらもお蕎麦に合いますよね。

あ~、こんなの見たら、また食べたくなりましたぁ。。。
でも、お蕎麦って結構お高いんですよね。
だから、庶民の私は滅多に行けません(;_:)
こちらには、立ち食いそば屋さんとかないから残念です。
富士そば、こないかな~

そふぃあ  

2022/12/02 (Fri) 09:50
そふぃあ

To さえき奎さん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

流石さえきさん、行動範囲が広いですね。
私は県境には度々立ち寄りますが、温海でゆっくり観光したことがなく、温泉もまだ未体験です。
道の駅の存在が無ければ、清水も名水そばにも気が付かないままだったと思います。

温泉街から少し外れた静かな場所にあるお店でした。
地元のものを大切にそば作りをされている様子でしたので、機会がありましたら是非。

そふぃあ  

2022/12/02 (Fri) 09:54
そふぃあ

To もふもふミッフィーさん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

新そばの時期なので、味も香りも良くて美味しかったです。
新潟県民はそばに天ぷらはテッパンなんですが、お隣県でも同じスタイルで味わえて良かったですよ。
地元の野菜は新鮮で美味しいですから。

若い頃(まだ二十代の頃)、お蕎麦って贅沢品だと思いました。
引っ越しの時に手伝ってくれた両親たちに振舞ったら、今でいう諭吉さんがさよならして行きましたから(笑)
今はたまの贅沢に。
やっぱり小市民です(笑)

駐在おやじ  

2022/12/02 (Fri) 11:28

うんうん お出かけすると 思いがけず 良いところ見つけたりしますよね ^^
お蕎麦いいな~~~~ すっごくおいしそうです

家にもう少し蕎麦あるし 蕎麦食べたくなってきました。
ぶっかけばっかりやってましたが、 普通のザル蕎麦も良いですね
(天ぷらは・・・・・・・ 自分では ^^)

  駐在おやじ

そふぃあ  

2022/12/02 (Fri) 13:08
そふぃあ

To 駐在おやじさん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

ぼんやりとお出掛けしているんですけど(笑)時々ブログの神様が降りてくる時がある気がします。
行った先で新しい発見があるのは楽しいですし、それが知識の乏しい県外だとなおさら。

寒くても、お蕎麦はやぱり冷たい方が美味しいと思います。
新そばの時期にお水とお店を発見できて、凄くお得感ありました。

おやじさんの料理はどれも美味しそうだしプロ並みですもんね。
ザルもアレンジでお願いします!

やぴこ  

2022/12/02 (Fri) 21:17

名水と聞けば、、、

「お店の隣に湧き出る名水」「名水で打ったそば」
これを読んだだけでもう食べたくなりました( ´艸`)
閉店時間に間に合って良かった!

お店で食べる天ぷらはどうしてあんなに上手く揚がるんでしょう。
天ぷらにした旬のお野菜って美味しいですよね~
お店の雰囲気や接客次第でも、美味しさが増すような気がします。

ドーン太くん、普段あまりお水を飲まないそうですが感想はいかに!?
飲んでます、、、よね?
もしやクンクンだけ?

NOB  

2022/12/03 (Sat) 05:57

出先で思いがけずに見つけた!って、何か得した気分になりますよね。
名水で作ったお蕎麦ってひかれるし天ぷらも美味しそう!

あぁ~蕎麦食べたくなってきたな!(笑)

そふぃあ  

2022/12/03 (Sat) 11:41
そふぃあ

To やぴこさん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

閉店時間ギリギリでしたけど、閉店時間までに入れば食事のできるお店で助かりました。
道の駅の情報のお陰で、良い時間潰し(食事時間)になりました。

料理店…とくに
お蕎麦屋さんの天ぷらって美味しいですよね。
ウチの県ではそばと天ぷらがセットみたいなもので、単品でも皆さん一緒に頼むんですが、カラッと揚がっているし、旬の食材が味わえるので大好きです。
お店の人も親切で、名水散策の間も車を停めさせていただきました。

隊長…ね(汗)
いきなり車から降ろされて撮影甲斐だったので、あまり気乗りしなかったみたいです。(汗)

そふぃあ  

2022/12/03 (Sat) 11:42
そふぃあ

To NOBさん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

偶然の出会いっていうのも、計算されていない旅の醍醐味ですね。
しかも入ったお店が当たりとあれば、これはもう何かに呼ばれていたとしか思えないです。

新そばだし、名水仕込みだし。
文句なしのお昼になりました。

うしかい座  

2022/12/03 (Sat) 20:07

こんばんは。

名水にソバ、体に良さそうですし、心の健康にもよさそうです。
きれいな水が湧くところは、心もワクワクです。
調べてすぐに行動できるのが凄いと思います。
こういう出会いはいつまでも印象に残りそうです。

そふぃあ  

2022/12/05 (Mon) 09:02
そふぃあ

To うしかい座さん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

美味しい水は全ての根元に思います。
飲む人の心を豊かにし、生命を育む。
それで調理することで、さらに食材が美味しくなりますね。
名水の新そばは、秋のご褒美のようで美味しかったです。

今はスマホやカーナビがありますから、少しの情報で行動できて有難いです。
幸い、お店が道の駅からすぐだったので、営業時間内に辿り着けましたし、閉店時間ギリギリまで入店OKなお店だったのも幸いしました。
いつもざっくりとした予定しかない気まま旅なので、こういう思い付きの行動も思い出になりますね。