越後村上うおや直営の和食処【海鮮一鰭】でいただく塩引御膳と「醤油名匠」のはらこ|村上市
せっかく県北の城下町・村上の三面川で鮭漁を見学したのですから、お腹が空いて食べたくなるのはやっぱり、秋の村上ならではの鮭料理でした。

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今年も県北の城下町・村上の三面川で「居繰網漁(いぐりあみりょう)」と呼ばれる伝統的な鮭漁がはじまったと知り、お天気下り坂だった休日の午後に見学に行ってきました...
これまでも、郷土料理はらこ茶屋(サーモンハウス)、朝日みどりの里(道の駅朝日)、おもてなしの宿 石田屋、千年鮭 井筒屋と、秋の鮭漁の頃に度々村上にお邪魔しては鮭料理を食べ歩いてきた我が家。
居繰網漁の見学を終えて村上市内に戻って来たのが午後2時のことだったので、この時間まだ食事を提供している初めてのお店ということで、「越後村上うおや」が営む和食処「海鮮一鰭」を訪ねてみました。
鮭と共に200年余の越後村上うおやが営む「海鮮一鰭」
平安時代に京都の貴族たちへ献上されていたと伝わる村上の鮭。その鮭のまちに寛政年間(1,800年)の頃、初代である助五郎氏が鮭の元売業を起こしたのが「越後村上うおや」のはじまりといわれています。
以来、鮭とともに200年余。現在の「越後村上うおや」は9代目が切り盛りされ、村上名産の鮭加工品をはじめ、真鱈やサクラマス、夏には天然岩牡蠣と、日本海の旬の魚介類や素材の良さを活かした手作りの切身加工品や干物、総菜などを取り揃える老舗魚屋です。
記憶に新しいところでは、2022年2月に開催された北京五輪のスノーボード男子ハーフパイプ決勝で地元・村上出身の平野歩夢選手が登場した際、営業時間中にも関わらず平野兄弟を応援する従業員さんたちの姿が全国放送されたお店…というと、ピン!と来る人も多いでしょうか。(笑)
そんな人情のまち村上らしいエピソードも心和む「越後村上うおや」本店のすぐお隣に2013年9月にオープンしたのが、うおや直営の和食処である「海鮮一鰭」です。

食事処「海鮮一鰭」
店名にもなっている
鮭一尾から二つしかとれない一鰭は塩引きにしても一番身の締まった貴重部位となるため、村上の人たちは一鰭を神様にお供えしたあと、一家の大黒柱しか食べることを許されなかったのだとか。
そんな鮭の大切な部分の名がそのまま店名となった和食処です。

海鮮一鰭では、越後村上うおやならではの鮮度抜群の魚介を使ったお刺し身や海鮮丼、老舗の技が詰まった焼き物や蒸し物などの数々が、比較的リーズナブルにたのしめます。
大町文庫となっている店内
海鮮一鰭の営業は午後4時までですが、ラストオーダーが午後3時。その30分前の飛び込みでしたが、気持ち良く迎えられてすぐさま店内に案内されました。
最初の扉を入ると目の前には、大きな本棚が印象的でした。

大町文庫一階(海鮮一鰭入口)
こちらに置かれた本の数々は、市内の開業医であった人が生前、恩師の蔵書を貯蔵するために私設した図書館「大町文庫」です。店舗の一階、二階あわせて一万冊が収容できる図書館は越後村上うおやが運営を引き継ぎ、訪れた人がお茶を飲みながら本を手にすることも可能になっています。

海鮮一鰭店内
一階フロアはテーブル席のみで32席。私たちが案内されたテーブル席の後ろにも、大きな本棚にビッシリとハードカバーの本たちが収められていました。
中に、開いたら閉店時刻までに帰れなくなりそうな(笑)村上や新潟の歴史に関するものもありました。
あと、私が背にした側の壁には新村上城下の鳥瞰図(江戸期)も掲げられていて、資料館で古いバージョン(戦国期)しか見たことが無い私にはとても興味深かいものでした。(今回は時間と場所の関係で遠目にしか拝見できませんでしたが…)
白いご飯がモリモリ食べられる塩引御膳

午後2時を回った時間帯にも関わらず、店内にはまだお食事中の人たちの姿が数組ありました。
案内されたテーブル席はすでに卓上が整っており、10分ほど待ったところで私たちの料理が運ばれてきました。
うおや塩引御膳は、塩引き鮭、刺身盛り合わせ、小鉢、ご飯、お吸い物が付いたセットメニューです。
プラス500円で醤油はらこ(いくらの醤油漬け)を追加できるというので、せっかく秋のこの時期に村上にいることもあり、我が家は迷わず醤油はらこ付きでお願いしました。
ちなみに▲写真をクリックorタップすると、ご飯とお吸い物がオープンしますよ。

お吸い物の中にも鮭の切り身入り

魚屋ならではの活きの良いお刺身盛り合わせ
主役は勿論「うおや」ご自慢の塩引き鮭

平安の昔、京の貴族も舌鼓を打ったであろう塩引き鮭は村上が誇る最高の美味で、秋に遡上してきた雄鮭に塩をすり込んで磨き上げ、寒風の中に干してつくられるスローフードです。
最近のスーパーでは減塩の鮭の切り身が多く出回っていますが、昔ながらの製法で手作りされる保存食「塩引き鮭」は、子どもの頃に食べた少し塩気の強い焼物に仕上がっています。
そして、冷たい冬の風に当てて干すことで熟成し、旨味がギュッと凝縮するため、パリッと焦げ目が付くまでしっかりと焼かれた皮の味が特に濃厚で美味しいのです。皮はモグモグしているうちにモチモチとした弾力のある食感になり、この皮だけでご飯一杯、鮭の身の部分で一杯、お刺身でまた一杯食べられそうな塩引御膳でした。(笑)
「醤油名匠」の醤油はらこを追加

プラス500円で醤油はらこ付きにグレードアップ
越後村上うおやは2007年(平成19年)に、日本醤油協会より「醤油名匠」を受賞しているお店です。
「醤油名匠」とは醤油本来の価値を引き出し、創意工夫をこらして醤油を使いこなしている料理人を顕彰するという制度です。初回の2003年(平成15年)は日本料理一般、第二回は和食専門店、第三回は和食以外の料理店、第四回は醤油を使った加工食品を対象に実施されていました。うおやさんが受賞した2007年は第五回目の開催年で、和食一般、和食専門店、和食以外の料理店など全ての料理人を対象として行われています。
今回のはらこだけ取り上げていうと、淡口醤油と酒だけで味付けされたはらこ独自の色や味。香りを損なわないように工夫してあることが評価されての受賞でした。
勝手にはらこ丼

勝手に鮭はらこ丼
鮭もはらこもどちらも白いご飯との相性は抜群ですから、箸を持つ手が止まらず、ただひたすらに至福の時!
ご馳走様でした。
お土産は「越後村上うおや本店」または「うおや塩引館」で
ちょっと余談ではありますが、当ブログに入っていただくと、三種類のヘッダー画像がランダムで切り替わる仕組みになっています。そのうち、パソコン閲覧で切り替わる画像の一つが、2017年の町屋の人形さま巡りの際に撮影した【こちら】の写真で、今回の話の舞台となっている越後村上うおやの本店前で撮影した今は無き風景です。
うおやさんはコロナ禍の2020年にお店を大規模リニューアルされています。まずは7月に本店真向かいに明治の洋館を再現した「うおや塩引館」をオープンさせ、続いて11月に越後村上うおやの本店がリニューアルオープン。これによって好きだった当時の風景は、また別のものとなっているのです。
これもひとつの時代の流れですので仕方ないのですけどね。

うおや塩引館
越後村上うおや本店の左隣に、今回食事をした「海鮮一鰭」があります。
食べて美味しかった料理が鮮魚や惣菜なら「越後村上うおや本店」で、加工品なら「うおや塩引館」で探すとお土産にできると思います。
食事処 海鮮一鰭
- 場所:新潟県村上市大町4-5(越後村上うおや本店隣)※Google Map
- 時間:11:00~16:00(15:00LO)
- 定休日:木曜日(人形さま巡り等のイベント期間中は定休日なし)
- 備考:2013年9月OPEN
Sunday, November 13, 2022
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