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三面川の伝統漁法【居繰網漁】今夏の豪雨被害にも負けずに実施中|村上市

2022年11月22日

お出掛け
12
伝統 イベント 7歳8ヶ月

今年も県北の城下町・村上の三面川で「居繰網漁いぐりあみりょう」と呼ばれる伝統的な鮭漁がはじまったと知り、お天気下り坂だった休日の午後に見学に行ってきました。

実は三面川は、2022年8月3日から降り続いた新潟県北部豪雨で被害があったと報道された場所の一つでした。
それでも今年は10月21日から鮭漁がはじまったそうで、地元ニュースや新聞などで「初日から62匹と順調な出だし」と聞いて安堵はしていたのですが、実際にはどんな状態なのだろう?という気持ちもずっと頭の片隅にありました。

そんな私が見た、2022年度の三面川の鮭漁の様子です。

全長が半分になってしまったウライ

三面川のウライと臥牛山

三面川の秋の風物詩といえば、川幅いっぱいに設置された鮭漁の仕掛け「ウライ」ではないでしょうか。
それに加えて私は、そのバックに見える城山・臥牛山(村上城跡)とのコラボが、何よりも秋の村上らしくて好きな風景なのです。

ウライはアイヌ語で「上がりヤナ」という意味をもち、産卵のために遡上してきた鮭の行く手をこの柵で阻み、二箇所に開いている落し柵と呼ばれるカゴの中に誘導して一括採補しようとするものです。

ウライの先に設置される落としかご

落し柵

捕らえた鮭から採卵し、人工ふ化させて稚魚を放流すると4年後には大きくなり、再び生まれた三面川に戻ってくるという母川回帰の習性を利用し、鮭の増殖を目的としたウライ漁が再び昭和52年(1977年)から行われているのです。

川幅半分に土嚢が積み上がった三面川

クリックorタップで土のう部拡大

ところが、今年8月の記録的な豪雨によって川底にある土台ブロックが倒壊してしまい、鮭を捕獲するための柵であるウライが川幅の半分程度しか設置できないという事態になりました。(例年ならウライの延長は187mあります)

左岸側は土のうを積んでの応急処置がされていましたが、二箇所設けられるはずの落し柵も左岸側の設置は無理なので、今年は右岸側の一箇所のみとなっていました。

ウライと落し柵と三面川

変化していた河道

三面川右岸の様子

ウライより下流には大きな中州ができていて、これも今まで見た三面川とは違うところでした。

しかも、漁場のすぐ脇を走っていた県道583号村上朝日線が▲このような状態になっていたので、三面川はどれほどの被害だったのか…と思ったら

一般県道村上朝日線の工事案内板

一般県道村上朝日線の工事は前々から予定されていたもので、夏の豪雨とは直接関係の無いものでした。

道路工事の完了は令和7年(2025年)7月の予定。道路が拡張され、路面もこれまでより高くなって道路の冠水が解消されるそうですが、あと数年は漁場周辺の川幅が少し狭くなったままなのでしょうね。

鮭漁を見学できる場所に設置された椅子の上に立つドーン太

鮭漁の見学ポイントは
いつもどおりに出来てたよ!

テンカラ漁

三面川を見下ろす展望台より

鮭漁を見学するために設けられた高台から三面川を見下ろすと、すぐ下ではテンカラ漁をする漁師さんたちの姿が見えます。

テンカラ漁も三面川の伝統漁法の一つで、イカリ型に組み合わせた三本のカギを持つ針「テンカラ」を使って遡上してきた鮭を引っかけて釣り上げるものです。

テンカラに引っかかった鮭
引き寄せる鮭の腹にテンカラ針が見える
岸まで引き寄せられた三面川の鮭
陸地で飛び跳ねる鮭
トロ箱の中でも飛び跳ねている鮭

トロ箱に入っても、ずっと飛び跳ねていた三面川の鮭でした。

三面川でテンカラ漁をする漁師の後ろ姿

例年ですとテンカラ漁は左岸側メインで行われているのですが、今年は右岸側がメインの漁場になっているようでした。

三面川だけに残る江戸時代からの伝統漁法「居繰網漁」

三面川の見学台の上に立つドーン太

メーンイベントが始まるよ!

三面川のウライ前に登場した小回し舟

三面川で鮭漁が行われている時期は、江戸時代から受け継がれている三面川の伝統的な鮭漁「居繰網漁」も一般公開されます。

三面川の居繰網漁が行われるのも2年ぶりのこと。我が家にとっては4年ぶりに拝見する居繰網漁です。

ウライ前に小回し舟をつける漁師 川の中を居繰網を持って移動している三人の漁師

午後1時から予定されている居繰網漁には少し早い時間でしたが、ウライの下流側には小回し舟が到着しているし、中州からは漁師さんたちが網を持ってきてスタンバイ。

ウライに沿って居繰網を広げた様子 漕ぎ出した小回し舟

ウライに沿って小回し舟と3人の漁師さんの手によって居繰網が広げられると、4人の合図の後に網をつけた小回し舟が勢いよく漕ぎ出したのを見て、「今年は川幅が狭くて流れが速いので、こんな風にアレンジして(?)の居繰網漁なのかな。」と思いつつ漁を眺めていました。

小回し舟一艘の居繰網漁

川の流れに沿って操るので、小回し舟の速いこと、速いこと。
あっという間に目の前を通過すると、ウライ前中央でスタンバイしていた2人の漁師さんが、さらに川下で小回し舟を待っています。

川面を棒で叩く漁師 水面を棒で叩きながら小回し舟に近づいて行く漁師

2人の漁師さんは手にした棒で水面を叩きながら小回し舟に近づきます。

水面を叩いて小回し舟に鮭を集める

ようやく見えてきたのはウライ前で一番右側にいた漁師さん。この人が小回し舟につけらた網のもう一方を持っていて、その他の漁師さんが手にした棒で水面を叩き、漁網の中に鮭を追い詰めて捕えるのが居繰網漁です。

中州に戻る小回し舟 中州に網を引き揚げる漁師たち

漁網が中州に引き寄せられると、遠目にもたくさんの鮭が飛び跳ねているのが確認できました。
中に1人ヒットマンがいらっしゃって、短い棒のようなもので鮭の頭を叩いて締めています。

中州の鮭を回収する漁師たち

回収中

鮭を乗せて戻ってくる小回し舟
テンカラ漁をする人と小回し舟に乗せられた鮭
小回し舟の中に置かれた三面川の鮭
トラックの荷台に乗せられた三面川の鮭

中州から戻って来た小回し舟の船着き場は右岸のテンカラ漁師が並んでいたところでした。
ここで雄雌が振り分けられ、待機していた軽トラに乗せられて、すぐ傍にある漁協直営の鮭直売所へと運ばれて行きました。

この時の漁では22匹の鮭が揚がりました。これまで私が見学した居繰網漁の中で、一番の大漁だったと思います。

小回し舟の中の水を掻き出す漁師 中州に網を持って行く漁師たち

漁も大変ですが、漁の後始末もまた大変な作業ですね。

小回し舟を漕いで陸地へと向かう三面川の漁師

お疲れ様でした。

2022年度の居繰網漁は左岸で実施!

二艘の小回し舟を使った居繰網漁

実は右岸側で行われていた居繰網漁の他にも、定刻の午後1時を待たずして、ほぼ同時刻に左岸側でも居繰網漁が行われていたのです。

のちに三面川の鮭漁関連のサイトで確認してみると、今年の居繰網漁の実施は三面川左岸でとあるので、私が遠目に見たこちらが、時間を決めて観光客に一般公開している居繰網漁だったのだと思います。

三面川の伝統漁法である居繰網漁

本来ですと三面川の居繰網漁は3艘の小回し舟を使って行われ、上流側2艘の小回し舟が網を張り、残りの1艘が川下から鮭を追い込む姿が公開されてきた一般的なスタイルでした。
しかし今年は中州があることで小回し舟が2艘のみのスタイル。やはり特別な年になっているようでした。

3艘の小回し舟によって行われる居繰網漁の様子、ならびに以前の三面川の様子などは2018年訪問記をご参照ください。

【前編】三面川でしか見ることのできない江戸時代からの伝統鮭漁「居繰網漁」を見学してきました|村上市

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【後編】三面川でしか見ることのできない江戸時代からの伝統鮭漁「居繰網漁」を見学してきました|村上市

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居繰網漁 前編からの続きです。...

痛手を受けた第3ふ化場と鮭直売所

こちらは三面川向かいにある鮭の第3ふ化場です。漁期にあわせ、今年も10月21日から漁協直営の鮭直売所がオープンしています。

ちなみにカメ吉一家はお留守で、違う生き物が入っていました。(画像クリックorタップで現在の住人が見られます)

三面川に還って来た鮭が並ぶ直売所

直売所では、三面川に還って来た鮭がお手頃価格で販売されています。

写真は居繰網漁の前に撮影したものですが、右岸側の居繰網漁で22匹もの鮭が揚がったことで、その後はバックヤードにある調理場が断然忙しそうになっていました。
水揚げされたばかりの活きの良い鮭が格安で入手できるのも、漁協直営の直売所ならではでしょう。

ハラコを取られたあとのメス鮭

「はらきり」は、ハラコ(イクラ)を取られた後のメス鮭です。

メス鮭はハラコばかりが高値が付き、その身は二束三文になってしまうのも可哀そうな話ですが、はらきりは塩引きには向かなくても、鍋や焼物にすれば十分に美味しくいただけます。とにかく格安ですので、次に見た時には2匹とも売れて無くなっていました。

村上鮭第三孵化場

メス鮭の腹から取った卵は、人に高値で売るだけではありません。先のウライ漁のところでも触れましたが、また再び三面川に遡上してくる鮭を育てるのも大きな役割の一つです。

鮭の増殖ふ化事業の一環として、毎年2月上旬から4月上旬にかけて三面川では稚魚の放流が行われます。
しかし今年8月の豪雨の際、三面川に面してある養殖場が浸水してしまい、サクラマスの稚魚など約16万匹が流出するという被害にあっているのです。

第三孵化場の鮭養殖マス

豪雨被害を乗り越えて始まった2022年の三面川の鮭漁。どうか漁が日々順調で、たくさんの卵が採れ、多くの稚魚が三面川から巣立ち、立派に成長して再び戻って来てくれることを願うばかりです。

なお三面川の鮭漁は、例年12月半ば頃まで続きます。

三面川の居繰網漁情報2022

臥牛山を望む秋の三面川の様子

2022年度 三面川の居繰網漁

  • 場所:三面川鮭産漁業協同組合第3ふ化場前(三面川左岸ウライから300~400m下流付近)
  • 実施期間:2022年10月21日(金)~同年11月30日(水)まで
  • 出漁時間:平日 9:00~|土・日・祝日 9:00~、13:00~
  • 備考:悪天候や西風の日は出漁しない場合があります

Sunday, November 13, 2022|ドーン太 生後2,820日

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そふぃあ
Posted by そふぃあ
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コメント(12)

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NOB  

2022/11/22 (Tue) 19:22

「居繰網漁」って初めて知りました。
地域地域で色んな漁法もあるもんですね!
ウライって言葉も初めてですが新潟とアイヌ語って関係あるのね!

私、高いイクラは食べず嫌いなもんで酒飲みじゃなくてサケの身の方が好きですよ!(笑)




さえき奎(けい)  

2022/11/22 (Tue) 22:59

No title

>村上の三面川で「居繰網漁」

有名な伝統漁法ですね。
「ウライ」は、北海道の鮭漁獲場でも広く使われていますので見たことがあります。
今季のニュースで有名になった千歳川の「インディアン水車」は「落し柵」のバリエーションなんでしょうね。
ハラキリとはいえ、一尾500円というのは格安ですね。
独り身ではちょっと躊躇してしまいますが(笑)。

詳細レポート、読み応えがありました。
ありがとうございます。

オグリン♪  

2022/11/23 (Wed) 13:22

素晴らしい。

お越し頂き誠にありがとうございました。。

解り易く克明なご報告に感謝いたします。

写真も的を射ており地元の人間もビックラポンです。

誰かに三面の鮭を説明する時はこちらへ誘導しますね。

重ねて御礼申し上げます。

そら  

2022/11/23 (Wed) 14:20

今日のヘッダーのドーン太くん
好きですわ(一番カッコいいかも)うちのそばにボーダーコリーくんがフリスビーを追って
走ってるんですが、なかなか声をかけることができず遠目に見ながら
ウ~~~ン、賢い!!なんてドーン太くんとだぶらせてます。
寒くなりましたね。風邪などひかれませんように!

そふぃあ  

2022/11/24 (Thu) 09:05
そふぃあ

To NOBさん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

北海道のアイヌ民族から伝わったものなのか、全国各地に済んでいたアイヌ人が伝えたものなのかは分かりませんが、その昔は各地でウライや網を使った鮭漁が行われていたのではないかと思います。
たまたま伝統的な漁が近年まで行われているのが、この三面川なのではと。
江戸時代から伝わる漁が見られるのも、今では三面川だけなので、鮭が遡上する時期になると見に行きたくなってしまいます。

そふぃあ  

2022/11/24 (Thu) 09:10
そふぃあ

To さえき奎さん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

ご紹介いただいた「インディアン水車」、早速ググってみました。
これはダイナミックな仕掛けですね。明治に入っての大発明というか。

はらきりも、数年前には300円だったんですよ。
鮭が不漁の年もあって、今年は500円になっていて値上がり感がありました。
鮭は丸ごと食べられる魚ですが、一匹あっても持て余してしまいそうなので、我が家も買うなら切り身ですね。

そふぃあ  

2022/11/24 (Thu) 09:13
そふぃあ

To オグリン♪さん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

オグリンさんの「鮭の日」の記事を拝見し、どうしても三面川に行ってみたくなりました。
出掛けるきっかけを作って下さり、ありがとうございました。
今回は小回し舟でなく、人が川に入っての漁もあったので、初めて鮭が大漁に揚がる様子を目の当たりにできました。

この直後に雨が強くなって漁も終わってしまいましたが、程よくお腹も好き、村上グルメもたのしんできました。

そふぃあ  

2022/11/24 (Thu) 09:17
そふぃあ

To そらさん

こんにちは。
コメント&お気遣いの言葉ありがとうございます。

ドーン太を褒めていただき嬉しいです。
最近は何処に出掛けても、モデル役が嫌で仕方ないみたいですが(笑)その時の雰囲気が伝わってくれればそれで良しです。

ご近所のボーダーさんはカッコいいスポーツ系なんですね。
うちはおっとり型で、たまに上手にディスクキャッチなどすると「ボーダーみたい!」って褒められます。(笑)

駐在おやじ  

2022/11/25 (Fri) 13:02

伝統的な漁を今でもやっているんですね
でも 豪雨の影響で・・・・・ コロナで長く中断されててやっと出来るってところで・・・・

メスの身はすごく安く取引されるんですね
ほんと 言われている通り なんだか寂しい感じがしますね

  駐在おやじ

そふぃあ  

2022/11/25 (Fri) 17:34
そふぃあ

To 駐在おやじさん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

今は三面川でしか見られない鮭漁の様子です。
これが毎年見られる我が家は、とても恵まれているのだと、記事を書きながら思いました。
鮭の不漁、新型コロナ、豪雨災害と悪条件が続きますが、今年はテンカラ漁師に若い女性も加わったそうで、少しだけ明るい未来が見えている三面川です。

卵をとったメスは二束三文で可哀そうですね。
だけどそれ故買い手が付き、最後まで美味しく食べてもらえるのは何よりだと思います。a

うしかい座  

2022/11/26 (Sat) 19:11

こんばんは。

色んな漁法があるものですね。
さすが鮭が遡上する地域だと思いました。
この値段で鮭が買えるのですか! と、びっくりです。
先ほど原信に買い物に行って、サケの切り身美味しそう、と見てきたところです。
「ばんえつものがたり号」に乗った時、新津で買った鮭の弁当が美味しかったのを思い出しました。

そふぃあ  

2022/11/28 (Mon) 08:37
そふぃあ

To うしかい座さん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

江戸時代からの鮭漁を続けているのもこの村上の三面川だけになりました。
見ていると確かに古典的なんですけど、それゆえに自然との戦いのようにも見えます。
河川が荒れてしまった今年、豊漁で終わってくれることを願うばかりです。

新津は鉄道のまちですね。
ばんえつものがたり号も久しく見ていないですが、乗車されているんですね。
駅弁は鮭の焼漬が入ったものでしょうか?
駅弁が旅のよい思い出の一部になってもらえて、県民としても嬉しい限りです。