【とん汁の店たちばな】あの芸能人も訪れる超有名なとん汁専門店|妙高市
まだまだコロナ禍にあり、県外遠征や外食もできるだけ控えた生活を続けています。しかしたまに、以前味わった名店の味を思い出し、無性に食べたくなることがあります。この日はそれが、新井名物のとん汁専門店「たちばな」さんでした。
細長県なのでその移動距離も半端無いのですけど(笑)、「思い立ったが吉日」で上越地方まで遠征し、ここにしか無いのに全国区である名店の味を数年ぶりに堪能してきました。
老若男女問わず訪れる新井の名店「とん汁の店たちばな」
お邪魔したのは妙高市にある「とん汁の店たちばな」。新潟県における平成の大合併により、2005年(平成17年)に妙高村、新井市、妙高高原町が合併して現在の妙高市となっています。お店の看板にも見えますように、それ以前は新井市であった地に店舗を構えるとん汁の専門店です。
創業は1972年(昭和47年)。初期の頃は定食屋だったらしいのですが、その当時からとん汁が人気でそればかりが出るので、とん汁専門店になったという経緯があります。現在は二代目と三代目が力を合わせ、新井名物の味を守っていらっしゃいます。
私が知る最初の頃は「とん汁 たちばな」と名乗っていたのですが、現在、たちばなさんのサイトでは「とん汁の店たちばな」と記されていますので、私もそれに準じて呼ばせていただきます。

夜営業の開店時刻目指して到着したつもりでしたが、開店5分前には軽く行列ができていて、相変わらずの繁盛ぶりが伺えました。しかも、駐車場に停まっている車は県外ナンバー多めで!
有名アーティストたち御用達のお店
我が家がたちばなさんにお邪魔するようになって、彼是10年くらいになります。その当初から家族連れが多く、ご飯時は行列ができてしばし順番待ちしたものでした。しかし近年はその客層もちょっと変化が見られるように感じつつ、店前に順番待ちの行列が絶えないのは以前のままです。
実は4~5年前のことになりますが、とあるテレビ番組に出演されたスキマスイッチさんが「とん汁の概念が変わる店だ」と言って、たちばなさんを紹介したことがありました。ツアーで新潟まで来た時など、スタッフも一緒に30名くらいで来店されると仰っていました。(たちばなさんの店内は50名くらい収容できます)その後くらいからですかね、友達同士らしい若者たちの県外ナンバーの車が目立つようになりました。
「とん汁の店たちばな」という店はここだけにしかないのに、その知名度は全国区の有名店なのです。

そしてこの日、私たちは何も知らずに訪問したのですが、実はスキマさんたち、6月下旬に上越ライブを行っており、その際にもたちばなさんで食事をされていたのです。
あえてここでは言いませんが、スキマさんの他にもあの人やこの人など有名芸能人さんたちの名前が出てきますので、興味のある人は是非「とん汁たちばな 有名人」でググってみてください。
おしながき

おしながきにはとん汁の定食や単品をはじめ、客が発した「とん汁もラーメンも食べたい」の声から平成4年(1992年)頃に誕生したとん汁ラーメン(890円)、つけ麺スタイルのとんそば(1,040円)といった麺メニュー、とん汁定食ととんそばの両方がたのしめるレディースセットA(980円)、ご飯ととん汁ラーメンがたのしめるレディースセットB(930円)、小盛のとん汁定食に各種副菜が付いたレディースセットC(930円)と、あれこれ食べたい希望を叶えた一日50食提供の女性限定メニューなども揃っています。また店内飲食だけでなく、とん汁はテイクアウトも可能です。
上記のリンク先は実際に私が食べたことのあるメニューですが、とん汁ラーメンはただのとん汁に茹でた麺を投入したものではなく、ちゃんとラーメンスープとして整えられたとん汁が使われていて、新潟5大ラーメンの次をゆく第6のご当地ラーメンともいわれるもの。各レディースセットは定食には無い旬の水菓子やお茶まで付き、ジェンダーレスの時代にあって「どうして女性だけこんなにお得!」と思う男性もいらっしゃる…かも知れない、品数豊富なプレートになっています。
単品メニューの中には旬野菜を使った季節商品もあり、この日はそれが自家製のなす漬けでした。
このあと頼む料理の盛りが良いのを知っているので、今回は(も)単品料理の追加は見送りましたが、新潟県民大好きななす漬け。しかもたちばなさんお手製とあっては、家族で一皿頼んで味見してみれば良かったかぁ~と、いまだに後悔ひとしきりな私です。
一番人気のとん汁定食
麺類は茹でる時間がありますが、定食ならば順番に盛られて出てくるので、待ち時間もそんなに掛からないのが有難いところです。

とん汁定食ライス小(990円)
とん汁定食は、たちばなさん一番の人気メニュー。メインのとん汁に、ご飯、小鉢、漬物が付きます。
普通サイズの定食は私には食べ切れないので、とん汁は並盛のまま、ご飯少なめでお願いしています。ご飯ととん汁の器は丼サイズです。
たちばなさんで提供されるご飯には、2000年(平成12年)に岐阜県飛騨で栽培が始まった新品種「いのちの壱(商品名:龍の瞳)」というお米が使われています。他では食べたことのない米ですが、粒が大きくて甘みもあり、お店で吟味した結果、コクのあるとん汁にも負けない良い米がこの「いのちの壱」であったのだろうと思います。
とん汁の概念さえ変えてしまう唯一無二の味

一日に400~500杯も出るといわれるたちばなさんの名物とん汁。有名人たちをも魅了してしまうその味は、作り方からちょっと他とは違います。
まず最初に味をキメてしまうところから一般的な私の作り方とは大きく違い、水はその時に使うダシの水分のみ。それもかなり少ないところに、たちばなさんオリジナルの特注白味噌を溶かし入れます。
ベースの味噌味が完成した鍋に次に入れるのは、コクと旨味のもととなる豚バラ肉。そして程よく火が通った豚肉の上に大量の玉ねぎと、大きく切った木綿豆腐を投入。この時、厨房の一鍋には大玉の玉ねぎが22個(6㎏)程度入るとか。丼にたっぷりと注がれる汁の8割は玉ねぎから出た甘みのある水分によるもので、大鍋で作るからこそ生まれる逸品なのです。
少し厚めの豚バラがたっぷり!味的にも栄養面でも、豚肉との相性抜群な玉ねぎとの組み合わせ。この一杯に1.5個分の玉ねぎ入りで、食後は血液サラサラ間違いなし。(笑)そして、一丁を8つ切りにした大きな豆腐がゴロッと。
そう、具材は豚肉、玉ねぎ、豆腐と潔いほどシンプルな一杯なのです。
途中、穏やかでコクと甘みのある汁を卓上の七味で味変。妙高が生んだ唐辛子の発酵食品「かんずり(60円)」を単品メニューから選ぶもまた良し!
あとは、三位一体の味をご飯と交互に…エンドレス。
ルーツはスキー汁!?とん汁好きな新潟県民
妙高市のすぐお隣に位置する上越市には、1911年(明治44年)にオーストリアの軍人であるレルヒ少佐によって一本杖スキーが伝えられた、「日本スキー発祥の地」金谷山スキー場が存在します。金谷山にはウサギが多くいたことから、ウサギ肉にサツマイモなどの野菜を入れて作った味噌仕立ての汁物をスキー訓練の時に食べていたそうで、これが後に「スキー汁」と呼ばれるようになりました。
戦後になってスキーブームが起こった時代、スキーの後に体を温めてくれる「スキー汁」が金谷山の旅館や休憩所などでも販売されるようになりました。次第に入手困難になったウサギ肉から豚肉へと食材が変化しましたが、サツマイモとつきコンニャクが入るのは定番のまま。次第に呼び名も「スキー汁」から「とん汁」へと変わって、上越を代表するグルメとなって一般家庭へも浸透してゆきます。
私は県内にあるとん汁の専門店は「たちばな」さんしか存じ上げませんが、子どもたちのイベントの打ち上げなど、度々とん汁を振舞ったり振舞われたりして疲れを癒した記憶があります。東北地方で行われる「芋煮会」のような賑やかさはありませんが、雪深くて寒い新潟は、何かにつけてイベントの〆にとん汁を食べる「とん汁好き」な県民生もあり、長くお店を支持する人もあるのではないかと個人的に感じました。
おしまいに
実は昨今の高騰で、今年春から玉ねぎの価格が3倍にも跳ね上がったのだそうです。たちばなさんで使われている産地厳選の大量の玉ねぎもそのあおりを受け、各メニューの価格が一気に70円増しになっていたのにも驚きました。これも時代の流れであり、変わらず美味しい一杯を届けるためには仕方のないことですね。
現在はネット通販からも「パック詰めとん汁」が購入できるたちばなさんですが、やはり有名人も座った(かも知れない)椅子に座り、忙しそうなオープンキッチンをで働くご店主を眺めながらいただく専門店のとん汁は、最高のご馳走だと思います。
ご馳走様でした。(Sunday, August 28, 2022)

とん汁の店たちばな
- 住所:新潟県妙高市栗原2-3-10 ※Google Map
- 備考:昭和47年創業
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