【胎内縄文の清水】選定ほやほやです!新たな新潟県の名水となった胎内市の湧水|ドーン太と名水Part76
新潟県は2022年7月26日までに、新たな県の名水として胎内市熱田坂の「胎内縄文の清水」を選定したと発表しました。
新潟県庁にて「胎内縄文の清水」の選定書授与式が行われたのは同年8月1日のこと。それよりも一足早く、縄文人も飲んだのでは?といわれる胎内市の新名水を訪ねてきました。
新潟県内に68箇所ある「県の名水」
新潟県では昭和60年(1985年)頃より地域で親しまれている湧水などを新潟県の名水として選定し、水環境の保全を推進しています。
平成18年度には「県の名水」の中でも特に優れていると認めた杜々の森湧水(長岡市)、龍ヶ窪の水(津南町)、宇棚の清水(妙高市)、大出口泉水(上越市)、吉祥清水(村上市)の5か所を新潟県の「輝く名水」として認定。さらに本年度(令和4年/2022年)新たに「胎内縄文の清水」が加わって、現在68箇所が新潟県の名水として選定されています。
実は、その前に新たな県の名水が加わったのは平成30年度(2018年)のことで、この時も県の名水は全部で68箇所存在していました。以前の一覧と照らし合わせてみると、どうも近年になって糸魚川市の長者ケ原遺跡にあった茂右エ門清水(もえもんしょうず)が除外されと思われ、この度の胎内縄文の清水が加わって同数の68箇所となっているようです。
胎内市では
分谷地A遺跡の一角に湧き出る「胎内縄文の清水」
胎内縄文の清水へは、国道290号の鼓岡交差点から県道53号へと入り熱田坂集落を目指します。集落に至る一歩手前に共同墓地があり、そこに清水への案内板があるので、そこから一般農道鼓岡線に入って道なりに200mほど走ると「縄文の清水公園」に到着します。

縄文の清水公園
熱田坂地域の

ベンチが整備されている公園内には複式炉を模したようなものも置かれていて、実際に使ったような形跡もあるので隊長のチェックが半端なかったです(笑)。

飯豊連峰を望むこの田んぼが
4千年前の集落が発見された分谷地A遺跡だよ
【
平成12年から13年に当時の黒川村教育委員会が実施した発掘調査で、胎内川河岸段丘上に営まれた縄文時代早期から弥生時代中期の大規模な集落跡であることが明らかになりました。遺跡からは縄文時代の石器や土器が多量に出土し、複式炉を備えた住宅跡や墓、ハート型土器、ヒスイ製品なども発見されました。
この遺跡で特徴的なことは、清水の周辺から縄文時代後期(約4,000年前)の漆塗り木製容器(注ぎ具・鉢・皿など)や、装身具(櫛・耳飾り・糸玉など)、さらに漆の精製に関する資料など約80点が発見されたことです。なかでも赤と黒のセットで発見された水差し形の注ぎ具と赤い鉢の漆器は、全国の縄文漆器の中でもトップクラスの優品であり、酒器としての機能を備えていた可能性もあり、注目されます。
また、弥生時代前期から中期では、日本最北端にあたる再葬墓群がみつかっています。再葬墓とは弥生時代の東日本を特徴づける墓制で、一度埋葬した死者の遺骨を集め、壺を主とする土器に納めて再び埋葬するものです。当地域での出土例は珍しく、在地系の壺の中に東海地域の系統の壺もみられ、当時の交流を知る貴重な資料といえます。
このように縄文時代の木工や漆工芸の高い技術水準を示す漆製品21点と、弥生時代の葬送儀礼を知る上で重要な再葬墓壺形土器や甕・石器23点が新潟県の指定文化財となりました。
現地案内板より
およそ4,000年前の人々の生活用水だったとつたわる縄文の清水

胎内縄文の清水は分谷地A遺跡の一角、標高およそ100mの河岸段丘の斜面から湧き出しています。

胎内縄文の清水
清水付近から出土したおよそ4,000年前の縄文漆器の形状などから、当時の人たちが湧水を大切におもって生活していたことがうかがえるそうです。

令和4年度「新潟県の名水」選定
- 場所:新潟県胎内市熱田坂
- データ:水量 毎分24L|硬度 22|PH 5.8|水温 11℃
水飲み隊長お気に入りの名水

この時すでに気温は30℃を超えて蒸し暑かったのですが、流れ出る清水に手を差し入れるととても冷たくて、外気温に左右されずに年中冷たい水が湧き出ているのだと思いました。
ここ数年は何処の名水に連れて行っても水の容器に口を付けたこともない水飲み隊長なので、今回もあまり期待せずに水の容器を置いてみました。
えっ!?
ドーン太が水を飲んでいる!
まさかの行動にビックリ!
勢いよく名水を飲んで一息ついているので、もう一度容器に水を汲み直して目の前に置いてみると、再び美味しそうにお替りを飲んでいるではありませんか。

はぁ、生き返る~ぅ
ドーン太が好んで飲んだ胎内縄文の清水は、まろやかで冷たく、ほんのりと草のような味を感じました。
田畑を潤す恵みの水
整備された水場から流れ出た縄文の清水は、発掘が行われた下段側にある田んぼへと流れ落ちていました。
清らかな水が育むお米はさぞ美味しいことでしょうね。

おしまいに

眺めの良い河岸段丘に湧き出す新らたな新潟県の名水「胎内縄文の清水」は、我が家の水飲み隊長もお気に入りのまろやかな名水でした。
遺跡の発掘調査後に現在の水場が整備されたものと思われますが、周辺は長閑な田園広がる場所で、ここに4,000年以上も前から人が住んでいて、今も湧き出す水と共に暮らしていたのだと思うと感慨もひとしおですね。
そして今は田んぼとなっている場所にも、まだまだ縄文時代から弥生時代早期に使われていたお宝は眠っているとのこと。これまでの発掘によって出土した品々は「道の駅たいない」に隣接する「黒川郷土文化伝習館」に展示されているそうなので、この暑さが収まってドーン太が車内待機できるようになった頃にでも見学してみたいと思いました。

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