attention admin about comments trackbacks you may also like

120年に一度の奇跡?越後七不思議の「逆ダケ」が花盛り|新潟市

2022年07月22日

親鸞聖人と越後七不思議
16
自然 竹の花 7歳4ヶ月 ワンコNG

親鸞聖人の越後七不思議の一つとしても知られる、新潟市中央区にある国の天然記念物「鳥屋野逆ダケの藪」で珍しい竹の花が咲いているとの情報を受け、真夏日で朝からガンガン太陽が照り付けていた日の午前中に見学に行ってみました。

実は、今回の記事を入れた「親鸞聖人と越後七不思議」というカテゴリが当ブログには設けられていますとおり、今から十年ほど前に親鸞聖人の越後七不思議を巡る旅をしており、鳥屋野逆ダケの藪を訪れるのも今回が初めてでは無いのです。

鳥屋野逆ダケの駐車場看板とドーン太

その当時は東門近くの空き地に車を停めて見学できたと記憶していますが、現在は周辺にびっしりと住宅が建ち並んで様子が一変しており、逆ダケを見学する人のための駐車場が旧鳥屋野小学校跡地に設けられていました。

指定駐車場から東門まで徒歩5分、西門までは徒歩3分。そこに行き着くまでがもう暑くて暑くてたまらなかった日の訪問記です。

国指定天然記念物「鳥屋野逆ダケの藪」

鳥屋野逆ダケの藪東門前に立つドーン太

鳥屋野逆ダケの藪「東門」

駐車場から徒歩5分でやって来たのは、鳥屋野逆ダケの藪の東門です。ご覧のように立派な佇まいで、こちらが正門と言って間違いない場所だと思います。

場所が場所ですので何となく嫌な予感はしていたのですが、東門を入ってすぐの場所に注意事項が書かれた案内板があり、その中のに“動物(身体障害者補助犬を除く)を持ち込ないこと(犬を連れての散歩もご遠慮ください)”との一文を見つけ、暑い中ドーン太を連れてきたことを後悔しました。

そうですよね、ただの竹藪ではなく「国の天然記念物」ですもんね。

越後七不思議のひとつ「逆ダケ」とは

逆ダケの藪東門にあった逆ダケ見本 鳥屋野逆ダケの藪案内板にあった逆ダケの図

「鳥屋野逆ダケの藪」の東門や案内板の資料図にもありますよう、こちらの淡竹ハチクが生い茂る竹藪の中には「逆ダケ」と呼ばれ、枝が下方に屈曲して垂れ下がった姿の竹を見ることができます。

枝の曲がり方には大きく分けて3種類あります。

  • 湾曲型:枝が先のほうで水平より下に垂れ下がるもの
  • 鋭角型:枝が最初の節で曲がり、枝全体が鋭角に垂れ下がるもの
  • キクキク型:枝の根元から鋭角に曲がるか、節と節の間で曲がらず枝の節のところで曲がるのが目立つもの

このうち2番目に登場する鋭角型が本来の逆ダケといえます。竹一本の全ての枝が曲がっているというよりも、一部の枝が曲がっているというのが一般的です。

鳥屋野逆ダケの藪で見つけた逆ダケ

このように畸態植物を多く有する竹藪は珍しく、内務省から派遣された理学博士・三好学氏の調査が入り、大正11年(1922年)10月12日に全竹林が国の文化財に指定されています。

また、新潟市では平成16年(2004年)度に「保存管理計画」を策定し、平成18年(2006年)度に指定地の大部分を公有地化して整備を進め、平成21年(2009年)度から一般公開をしています。現在は地元自治会による愛護会の協力を得ながら、逆ダケ藪の維持管理が行われています。

枝が枯れている逆ダケ 逆ダケの藪で見つけた逆ダケ

この「逆ダケ」については、建永2年(1207年)越後に流罪となった浄土真宗の開祖・親鸞聖人が、一時鳥屋野に滞在し布教していた時に自らの教えが広まらないことを嘆き「我が教義真意なら、この枯竹必ず根を張り芽を出すべし」と手持ちの竹杖を挿したところ、逆さに枝葉が付く竹になって根付き繁茂したといわれるのが、古くから「越後の七不思議」「親鸞の七不思議」の一つとして知られてきたものです。

ブログカードはお旧跡巡りをした2011年の記事ですが、もう少し詳しく書かれていますので、よろしければご参考まで。

逆ダケ|西方寺旧跡

逆ダケ|西方寺旧跡

西方寺旧跡鳥屋野にある西方寺旧跡です。承元元年(1207年)親鸞聖人35歳の時、念仏弾圧によって越後に流罪となりました。居多ヶ浜に上陸した親鸞聖人は...

越後七不思議にさらなる不思議!逆ダケに花咲いた

鳥屋野逆ダケの藪西門前に立つドーン太

鳥屋野逆ダケの藪「西門」

先の東門周辺は逆ダケはあっても花の付いた竹は見つけられなかったので、「竹藪の西側の一部の開花が進んでいます」の情報どおり、竹藪の周囲をグルリと半周するかたちで西門の方へと向かってみました。

吊り鐘池跡とドーン太

西門脇には吊り鐘池跡があり、そこで記念撮影するドーン太の背後に見えるのが西側の竹藪入り口です。
残念ながらここから先は、四つ足毛皮族のモデルさんは入れませんけど…。

鳥屋野逆ダケの藪西門側藪入口付近の様子

西側竹藪入り口の様子

竹藪の入口の向かって右側の竹が、淡い枯れ色になっているのがお分かりになるでしょうか。
遠くからでは竹が枯れかかっているのかと思って気がつきませんでしたが、近くで見ると、これが開花中という竹の花の集まりでした。

鳥屋野逆ダケの藪に咲いていた逆ダケの花

「花」というのだからもう少しカラフルだったり、ふんわりとした花びらのようなものがあるのかと思いきや、淡竹ハチクは中国原産のイネ科植物なので、花もどこかイネに似ている気がしました。

鳥屋野逆ダケの藪で初めて開花が確認されたのは令和元年(2019年)5月のこと。この時に開花していたのは9本で、そこから年々範囲が広がり、今年は400本余が開花しているとの情報でした。

そして竹の開花は、100年から120年に一度ともいわれる大変に珍しい現象です。

鳥屋野逆ダケの藪の竹に咲いた花
鳥屋野逆ダケの藪の竹に咲いた花のアップ
鳥屋野逆ダケの藪の竹に咲いた花
竹の花のアップ
鳥屋野逆ダケの藪に咲いていた花
垂れ下がって咲く逆ダケの花
逆ダケの花のアップ

これは吉兆か?それとも不吉な予兆か?

鳥屋野逆ダケの藪西門近くで一斉に花が咲いていた逆ダケの様子

東門側では見つけることのできなかった竹の花。開花が進んでいるという西門側でも一旦竹藪の中に入ってしまうと開花を探すのも難しいほどで、西門竹藪の外周側一帯にのみ開花が確認できるようでした。

実はまだ謎だらけの竹の開花

西門近くで一斉に咲いていた逆ダケの花

先ほど「竹の開花は100年から120年に一度」と申し上げましたが、100年以上前の実態を実際に目にして研究などされていないため、竹の開花についてのメカニズムが解明されておらず、「滅多に起こらないことが起こっている」という意味合いで100年単位の数字が使われている部分もあるようです。

時として部分的に開花することはあるようですが、一斉に開花する原因についてはいまだ未解明で、切られる、環境変化などでストレスを感じているなどの影響によって開花がはじまるのではないかという説もあるようです。

竹の種類によっても違うようですが、開花後は地上部が全て枯れてしまうという話もあり、一斉開花は寿命の合図であり、新しい命へのサイクルのはじまりであるともいえるようです。

病気がストレスになっている可能性も?

ボール状になって竹にぶら下がる青笹の塊

これは▲一斉開花が見られた西門側の竹藪外周で見つけた、球状になった笹の塊です。

竹の先にぶら下がるように幾つも見られたので可愛いなと思って撮影したのですが、あとで調べてみると、どうも「てんぐ巣病」と呼ばれるものではないかと思われるものでした。

竹にぶら下がったボール状の笹の塊 てんぐ巣病になっているらしいボール状になった笹の塊

「てんぐ巣病」とは、カビの一種が原因で発生する伝染病のこと。数年前から西日本側でも「てんぐ巣病」によって竹林が枯れる、開花が見られるという現象がネット上でも報じられているのを目にしています。

一斉開花のすぐ脇で見つけた「てんぐ巣病」らしき球体の笹だったので、鳥屋野逆ダケの藪でも同じことが起こっているのでないと良いな…と思ってしまいました。

その他・逆ダケの藪で出会った光景

朝日が射しこむ逆ダケの藪
逆ダケの藪に生えていたタケノコ
逆ダケの藪にいたノコギリカミキリ
鳥屋野逆ダケの藪にある普通の竹
順徳上皇 御馬繋の榎の石碑とドーン太

ドーン太と一緒に写るのは、東門すぐ脇にある「順徳上皇 御馬繋の榎」の石碑です。
承久3年(1221年)承久の乱の失敗によって佐渡に配流となった順徳上皇が佐渡へ向かう途中、親鸞聖人の遺徳を偲んでこの地を訪ねられたと伝わります。

おしまいに

実は今回の記事をまとめようとしていたこのタイミングで、今朝の地方紙に「新潟市北区の民家庭に10年前に植えたクロチクに花が咲いた」という話題が掲載されており、「そうだとしたら(花が咲く=枯れて無くなる)少しさみしい」と家の方の複雑な心境のコメントが添えられていました。

いまだ謎の多い竹の花。けれど各地でその目撃情報が多くなっているということは、竹の世界にも何か特別な変化が起こっているのかも知れません。

私も機会をみつつ、鳥屋野逆ダケの藪に咲いた花の後を見守ってみたいと思います。

越後七不思議の逆ダケの花

Sunday, July 3, 2022|ドーン太 生後2,687日

関連する記事
そふぃあ
Posted by そふぃあ
ご訪問ありがとうございます。管理人の体験談を心のままに綴ったブログです。
話題に時差あり、脱線もあり、時に辛口意見もございます。
私感強めな内容ですが、長年積み上げてきた情報満載!何かのお役に立てたなら幸いです。
※撮影した写真の著作権は放棄しておりません。画像のお持ち帰りは固くお断りいたします。

更新通知で新しい記事をいち早くお届けします

コメント(16)

There are no comments yet.

よつば  

2022/07/22 (Fri) 16:08

初めて見ました!

すごーい!竹に花が咲くなんて初めて知ったし、もちろん花を見るのは初めてです
貴重な写真見せてもらえてすっごく嬉しいです❤ありがとうございます💕
滅多に花を見られない植物に花が咲くということは、あまり良い兆候ではないんでしょうけどね~

5枚目の曲竹の写真、めっちゃ好きです❤背景の玉ボケすごく美しい❤

ドーン太ちゃん暑い中一生懸命歩いたのに一緒に中に入れなくて残念だったね

そふぃあ  

2022/07/23 (Sat) 09:01
そふぃあ

To よつばさん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

私も竹の花は初めてでした。
近年の異常気とか、病気の蔓延とか、ちょっと心配なことが原因で起こっているのではないと良いなと思いつつ、珍しい花を鑑賞しました。
一旦枯れてしまうのかもわからないけれど、もうすこし観察してみようかなと思います。

直射日光が遮られるので、竹藪の中に入ると涼しかったんですよ。
天然記念物の竹藪なので、ドーン太だけ暑い場所で撮影になって気の毒でした。

やぴこ  

2022/07/23 (Sat) 14:25

竹の花!

そふぃあさん、こんにちは(*´∀`*)ノ

逆ダケって何だろう?
キノコかな?
と全く見当違いの予想をしてしまいました💦
しかも国の天然記念物とのこと、大変失礼しました…

枝の曲がり方に種類があるのも面白いです。
何より、竹に花が咲くとはびっくりでした!
今後どうなるのかも見守っていきたいですね。

ドーン太くん、暑い中モデル犬お疲れ様
( ˇᴗˇ)。o*

れもん  

2022/07/23 (Sat) 22:09

こんばんは。

100年単位の開花。
疫病のため枯れる前に次の芽を・・・と言う事でしょうか。
日本の四季の移ろいが変化してきているので病気(長雨・高湿高温でカビる)になってしまう確率が上がっているのでしょうか。
貴重な現象ですが、複雑ですね。

そふぃあ  

2022/07/24 (Sun) 09:22
そふぃあ

To やぴこさん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

「竹」の字がカタカナだと、逆にわかりづらい気もしますね。
たしかに、言われてみるとキノコの話にも思える。
国の天然記念物はたくさんあるので、その地域にだけで知られるものも多いのだと思います。

竹の花は珍しいらしく、まさか自分が実際に見られるとは思いませんでした。
カサカサな感じで、稲穂によく似ていました。
この後竹藪が枯れてしまうのか?もう少し観察が必要ですね。

そふぃあ  

2022/07/24 (Sun) 09:30
そふぃあ

To れもんさん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

地下茎で増えていくと思っていた竹ですが、一斉に開花して種子を実らせ、世代交代するような有性生殖も行われるようです。
私は専門家でも何でもないので詳しくは分かりかねますが、今回のケースはそれなのかも知れないですね。
人間も生きづらい時代にありますが、竹も異常気象などでストレスを感じているのかも知れませんし。

地元の方々が守る天然記念物の竹藪ですし、今のところ全部が枯れてしまうことも無さそうに思います。
また観察に行ってみようと思います。

MIZU  

2022/07/24 (Sun) 18:13

こんばんは

これは貴重ですね。
やはり竹ですから範囲の広がりも早いのでしょうか。
開花するというのも珍しい現象ですね。摩訶不思議ですよ。

さえき奎(けい)  

2022/07/24 (Sun) 23:12

No title

「逆ダケ」は初めて知りました。
三種類のパターンがあるというのも大変興味深いお話でした。
しかも開花しているとは・・・。

>いまだ謎の多い竹の花。けれど各地でその目撃情報が多くなっているということは、竹の世界にも何か特別な変化が起こっているのかも知れません。

開花が100年とかいうスパンですから、近代科学の研究が始まって1サイクルあったかどうかというレベルですよね。
いずれはその辺りも解明されると思いますが、私は多分生きていないでしょう(笑)。

そふぃあ  

2022/07/25 (Mon) 09:02
そふぃあ

To MIZUさん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

滅多にない現象を自分の目で見ることができて、良かったのか?悪かったのか?
この後この竹が枯れてしまうのかも知れないと思うと、ちょっと複雑な部分もありました。
本当に、七不思議の竹のさらなる不思議現象ですね。

そふぃあ  

2022/07/25 (Mon) 09:06
そふぃあ

To さえき奎さん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

越後七不思議、どれも不思議でつい追いかけてしまった年がありました。
不思議な植物が全て、親鸞聖人にゆらいする話に結びついているのも面白いところです。

植物の世界にも、まだまだ解明されずに謎のままというものがあるのですね。
竹の開花もその一つだと思いますし、仰るように、解明された時には私たちがこの世にいない可能性の方が大きいですね。
結果は来世で…というところでしょうか(笑)

徳川たぬこ  

2022/07/25 (Mon) 10:11

竹の花とは

珍しいですね
長年田舎に住んでいたわたくしでも初めて見ました
逆さの竹というだけでも珍しいのにΣ(⁰▿⁰ノ)ノ!
新聞社からオファーが来そうなぐらいレアな記事なのでは!?

たけのこの写真が涼し気で良いお味でした

駐在おやじ  

2022/07/25 (Mon) 10:25

竹の花 初めて見ました
小学生の頃 竹の花が咲くと ネズミが大発生して 飢饉が起こる みたいな事を聞いたような・・・・
かなり 怪しい記憶ですが ><
そのため 竹の花と聞くと 何か悪い事の前兆か? と感じました。

珍しいもの見せていただいて ありがとうございます ^^
びびりのおやじです ><

  駐在おやじ

そふぃあ  

2022/07/26 (Tue) 08:13
そふぃあ

To 徳川たぬこさん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

普通の竹に花が咲いても珍しいのに、逆ダケの花だから余計に珍しいのだと思います。
国の天然記念物になっている竹林ですので、病気の竹をそのまま放置もないと思いますし、花が咲いて枯れてしまうのか、この先も見守っていこうと思います。

外は猛暑でしたが竹林の中は意外と涼しくて、時々ムシが飛び出してきたり、タケノコを発見したりとたのしかったです。
こんな様子を見る限りでは平和な感じがしますが、竹林の一部で異変が起こっているというのも不思議な感じがします。

そふぃあ  

2022/07/26 (Tue) 08:16
そふぃあ

To 駐在おやじさん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

竹の花とネズミの話、教えていただき、こちらこそありがとうございます。
そういう言い伝えがあることも知りませんでした。
確かにここ数年の世の中は大変なことになっていますから、昔の人の「飢餓」説のような危機感は同じように感じます。
調べてみるといろんな種類の竹で花が咲いている情報があります。
これ以上大変なことが起こらないことを願うばかりですね。

うしかい座  

2022/07/26 (Tue) 18:36

竹の花

こんばんは。

逆ダケという言葉も存在も知りませんで、初見です。
竹の花も初めて見ました。
竹の花が咲くのは珍しいというのだけ、何かで聞いて覚えてはいました。
枯れたように見えますが、咲いたら枯れて新陳代謝するのでしょうか。
既にコロナ禍にあるので、良いことが起こると信じたいです。

そふぃあ  

2022/07/27 (Wed) 08:38
そふぃあ

To うしかい座さん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

「この世は不思議なことばかり」
竹の枝が逆さまに生えるのも珍しいですが、その竹に花が咲くのも珍しい。
開花のあとは全て枯れてしまうという話が一般的なようで心配されますが、あまり研究の進んでいない分野のようで原因なども解明されておらず、今後を見守るくらいしかないようです。

コロナだ、サル痘だと嫌な病気が流行る時ですので、竹の開花は明るいニュースであって欲しいですよね。
私もそう願ってやみません。