【中田製作所】五泉市でいただく俺流富山の味「中田ブラック」
東公園内にある「ぼたん百種展示園」で満開の牡丹を堪能したあとは、五泉市に来ていることもあり、以前より気になっていた行列必至の人気ラーメン店、「中田製作所」を訪ねました。
中田製作所が提供するブラックラーメンは「中田ブラック」とも呼ばれ、ガツンと醤油の効いたインパクトある見た目と味わいが特徴です。しかも、ミシュランも認めた味とあっては素通りできません。
五泉市にある「中田製作所」
場所は新潟県立五泉高等学校近く。キューピット三本木店の敷地内に店舗を構える「中田製作所」は、富山県出身のご店主が営む人気ラーメン店です。
提供されるのは富山でお馴染みのブラックラーメン。新潟では珍しい味が五泉で味わえるとあって、ご店主がアレンジした富山ブラックは「中田ブラック」と呼ばれて評判になっています。
白と黒が基調となった店舗も洗練された印象で、どこかカフェのような雰囲気さえあります。
ミシュランガイド新潟2020に掲載されたラーメン店

午後3時の初訪問。さすが人気店だけあって、この時間でもまだ入口には数組の待ち客がありました。
我が家もウェイティングボードに記名し入口ドアの外側で順番待ちを始めると、目の前にはミシュランガイド掲載店である証が貼られていました。
ミシュランガイド新潟2020において「ビブグルマン」に掲載されたラーメン店は5店舗、「ミシュランプレート」に掲載されたラーメン店は24店舗ありました。この度お邪魔した中田製作所は星の獲得までには至らなかったものの、ミシュランの基準を満たしている「ミシュランプレート」を与えられたうちの1店舗ということで、私も大変興味を持ったお店でした。
店内の様子
お店の出入口は雪国仕様の二重扉。入って真正面にカウンター席があり、その奥が厨房になっていました。店内中央部には通路とテーブル席、さらにその奥には小上がりもあり、収容人数はざっと数えて30名程だったと思います。
店内は白と黒を基調に落ち着きを感じる木目がプラスされ、外観同様にカフェのような雰囲気がありました。この趣なので若い女性が1人で利用していたり、カップル同士で食事に来られていたりと、ガッツリ系のラーメン店らしからぬ客層もミシュランの成せる技なのかも知れません。
そしてこれはご店主の趣味なのか、店内の至るところにギターなどが飾られているのも印象的でした。
メニュー
メニューは「中田ブラック」と呼ばれる人気の富山ブラックインスパイア系の「黒」と、魚介を前面に押し出した「白」。白メニューは醤油・塩・つけ麺と揃っていました。さらに毎週水曜日には限定麺が提供されるなど、ここだけオリジナルの味が目白押し。
「今日は中田ブラック!」と決めてきたにも関わらず、実際にメニュー表を前にするとバリエーションが豊富で、一瞬心が揺らいでしまいました。
一番人気は「富山ブラック」と「燕三条系背脂ラーメン」のいいとこどり
中待合で10分ほど待った後に小上がり席に案内され、そこから7分ほど待ったところで我が家の料理が提供されました。

背脂ブラック(790円)
お店一番人気の「背脂ブラック」は、富山出身のご店主がアレンジを加えた「中田ブラック」に背脂をプラスし、コクと旨味をアップした一品です。
ちょこちょこと富山に出掛けては、その都度「富山ブラック」の食べ歩きを経験した私。常々、「富山ブラック」と新潟五大ラーメンの一つである「燕三条系背脂ラーメン」は良く似たところがあると感じていましたが、まさか実際にその両方を融合させてしまうとは、中田さん、なかなか思い切ったことをやってくれますね。
肉体労働者を支えた二つのラーメン
ちなみに、共に労働者のために生まれた「富山ブラック」と「燕三条系背脂ラーメン」は、以下のような特徴を持つご当地ラーメンです。
戦後の昭和22年頃、富山大空襲の震災復興に携わっていた食べ盛りの若者のためのランチとして、また汗をたくさんかく肉体労働者の塩分補給ために生まれた醤油を濃くしたラーメン。
- 醤油色に染まる麺は太め・かためのストレート
- 手切りのチャーシュー
- トッピングには塩っ辛いメンマ
- 荒切りネギにたっぷりの粗挽きコショー
江戸時代の和釘からの流れを継ぐ三条の金物、燕の洋食器産業の工員の出前用として工夫されたラーメン。
- 力仕事が多く高温での作業環境が多いために味が濃い
- 作業の合間に食べるので伸びにくくするために麺が極太
- 寒い時期にも出前でスープが冷めないよう背脂で蓋をする
さらに言わせていただくと、2022年の文化庁が選ぶ「全国各地の100年フード」として、「えご」「村上の鮭の食文化」「へぎそば」とともに「背脂ラーメン」が新潟県代表として選ばれており、「未来の100年フード部門」の一つとして名を連ねています。
いざ「背脂ブラック」実食

中田製作所の「背脂ブラック」は、バラチャーシュー、小口の長ネギ、粗挽きコショウがトッピングされ、そこに丼を覆い尽くすように細かめな背脂がチャッチャされています。

背脂の白に一見穏やかに見えたスープ。すくい上げてみるとやはり良い感じの漆黒カラーをしていました。
中田製作所のスープは醤油やたまり醤油を使い、干しシイタケや昆布などの野菜ダシに肉の旨味で奥行きを出したスープ。一般的に使われる鶏ガラや豚骨などの骨からダシをとるのではなく、肉そのものから旨味を出しているというのが大きな特徴です。
一口飲めばご多分に漏れず「しょっぱい!」となりますが、これが本場ブラックラーメンの味。濃い醤油味の中にも凝縮された旨味を感じ、背脂の持つ甘みが合わさってクセになる味わいです。

持ち上げるモチモチの太麺も醤油の色に染まっています。
左手には白飯を!

ライス(50円)
持参したドカ弁と一緒に食べられていた「富山ブラック」は、醤油味が濃いので白いご飯のお供にもピッタリです。
中田製作所では白いご飯を一緒に食べてほしくて、サイドメニューであるライスが低価格設定になっていることにも驚きました。

労働者じゃないけど労働者スタイル(肥)。
お米は地元・五泉のものが使われているので美味しいですよ。

バラチャーシューやネギをご飯にのせて食べても良し、濃い味の麺と一緒にライスをかき込んでもまた良し!
三分の一まで煮詰めて作られるたまり醤油には、このシャーシューの旨味がたっぷり溶け出しています。
アレが無い!?
ベースのスープにも結構な豚の脂があり、その上にさらに背脂がチャッチャされているので、普段食べ慣れている燕三条系の背脂ラーメンよりもコッテリ感が強いかなという感想以外は、きれいにまとまった美味しいブラックラーメンであるという印象でした。
だけど富山ブラックにおける三種の神器ともいえるメンマが無いんですよね…、デフォルトの中田ブラックには。
そこだけが非常に残念で不完全燃焼に終わってしまったので、次の機会にリベンジ決定です。

麺大盛りは120円増し
ちなみに、奥は丼父さんが食べていた麺大盛り+ライス。
脂の量が結構あるので、消化力の落ちている人には要注意かもですね(笑)。
ご馳走様でした。(Sunday, May 8, 2022)
メンマ求めて再訪
ミシュランのお店で不完全燃焼だったことがずっと気になったままで、翌週早々に再訪となりました。

初訪問ではいろいろと勝手がわからず、黒メニューではっきりと「ブラック」の文字があった背脂ブラックの方を選んでしまいましたが、今回はその原型である中田ブラックと、富山ブラックには外せないであろうメンマトッピングを注文してみました。
今回はトッピングが増える分ご飯を少し減らして「小ライス(30円)」です。
遅ればせながら「中田ブラック」実食

らーめん(770円)
富山の老舗ラーメン店で富山ブラックを「中華そば」や「チャーシューラーメン」などと呼んでいたように、中田製作所での中田ブラックは「らーめん」と呼ばれるものでした。
背脂がチャッチャしてないだけで、あとは初回に食べた背脂ブラックと違わぬスープとトッピング。

麺は背脂ブラックには太麺が使われ、らーめん、味玉らーめん、チャーシューメンには細麺が使われているとのことでしたが、細麺でも他店の中太麺同等のもので食べ応えがありました。(麺は希望で太麺に変更も可能です)
チャーシュー同等価格のメンマを追加してみた
中田製作所ではチャーシュー、メンマ、味玉、のり、岩のり、きざみネギ、玉ねぎ、きゃべつ、もやしなどトッピングも様々用意されていました。
中でも私が富山ブラックには不可欠と思っているメンマの価格設定が210円と、チャーシュー4枚(230円)を追加した場合とほぼ同じであることにまず驚きました。
これはきっと、かなり大盛りであるに違いない。

メンマ(210円)
そんな私の予想を裏切らず、あえて別皿で提供していただいたメンマはドーン!と酒のつまみサイズ。
しかも、柔らかで食べやすい穂先メンマがてんこ盛り。
サイドメニューにはまた別に「おつまみメンマ(350円)」が用意されているので、こちらは列記としたラーメントッピングということになります。

そうそう、これこれ!
穂先メンマはかなり塩気の強い味付けになっていましたが、そこがまた本場らしくて、数年前に食べたきりの富山ブラックを思い出させてくれる味に思わず嬉しくなり、「ムフッ!」と不敵な笑みを浮かべながら食べている自分がいました。

歯切れのよい穂先メンマは、中田ブラックにトッピングしてもご飯と一緒に食べても美味しかったです。
ラーメンにおけるメンマは、寿司でいうところのコハダやギョクのような立ち位置かなと思っている私なので、是非、中田ブラックにデフォルトでトッピングして欲しいと思いましたが、繊細な仕事が見え隠れするだけに、手間暇掛かってコスト面でも採算が取れなくなってしまうのでしょうか…ね。
個人的に、富山ブラックには必要不可欠な存在だと思うので切望しますが。
白メニューもおすすめ
背脂系があるとよく好んで食べる丼父さんは、前週の脂が結構キツかったようで(?)「二週続けてブラックはいいかな。」と、白メニューからまた違った趣の一杯を選んでいました。

中華そば(770円)
こちらは動物系を一切使わず、煮干しと昆布のみで作った醤油味のスープ。トッピングのチャーシューも違っていて、とても優しい和風味にまとまっていました。
ご馳走様でした。(Saturday, May 14, 2022)
おしまいに
醤油で真っ黒に染まった噛み応えのある太麺と、五泉産の白米との組み合わせは最高でした。コロナ禍で県外旅行が難しい時代、新潟に居ながらにして富山の味がたのしめるのは有難いですし、それがミシュランも認めた味であるというのも嬉しいです。
私は中毒性のある黒スタイルが好きですが、ラーメンには珍しい肉を使わないあっさりとした白メニューもまた興味深く、水曜日ごとに提供される、ご店主の創作ラーメンをたのしみにされている常連さんも多いのではないかと思いました。
ラーメン大国と言われる新潟に、ラーメン界の新風を吹き込んでくれるような名店との出会いでした。

中田製作所
- 住所:新潟県五泉市三本木字早出3026 ※Google Map
- 備考:2012年8月17日OPEN
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