三国川ダムの自然越流風景2022|南魚沼市春の風物詩
新潟県魚沼市にあり、まるで流氷のような景色が広がっていた破間川ダムの「雪流れ」の様子も凄かったですが、お隣の南魚沼市にも春限定で見られる特別なダムの風景があるので、4年ぶりに豪雪地帯ならではの遅い春の景色をたのしんできました。

まるで流氷みたい!春の訪れを告げる破間川ダムの絶景「雪流れ」|魚沼市
我が家周辺のソメイヨシノがすっかり散った4月半ば過ぎ、同じ県内でも雪深い地域はようやく遅い春を迎える時期がやってきます...
南魚沼に春を告げる三国川ダムの越流風景を見に行く

お邪魔したのは南魚沼市清水瀬の地に18年の歳月をかけ、平成4年(1992年)に多目的ダムとして完成した
南魚沼市を流れる
そして皆さん、ドーン太の後ろに見える光景が、ダムマニアも喜ぶ特別なものであるということにお気づきでしょうか?
そう、放流しているんです!
ダム正面からの放流は、計画水位を超えてダム湖の水位上昇があった場合というのが一般的です。つまりここから放流される場合は、台風や大雨などで流域に危険が迫っている時といえます。
では平時にも関わらず、どうして放流されているのか?
それはここが、雪深い南魚沼という地だからに他なりません。
冬になれば積雪が4mにもなる三国川ダムでは、春先になって雪解けがはじまるとダム湖内に大量の融雪水が流れ込んで水位が上昇します。ダム湖が溢れそうになった時に自然に水が流れ込んで使われるのが非常用排水吐で、三国川ダムの非常用洪水吐は洪水の心配がない時の常用洪水吐を兼ねた構造になっているため、融雪水で水位が上昇する毎年4月から5月上旬にかけて自然越流による放流風景が見られるというわけです。

ここからの絵ばっかりじゃ
4年前の訪問記と全く一緒になっちゃうよ。
…とドーン太が言うので、真正面からの越流風景は動画入りの過去記事で確認していただくとして、この度はまた違った角度から越流風景が眺められそうな場所を探しつつ移動してみようと思います。

春を告げる三国川ダム放流
春になったら、是非もう一度訪ねてみたかった三国川ダム。変わった読みの「さぐりがわ」。その名のとおり...
ちなみに、三国川ダムが完成して今年で30年になりますが、その間、雪解け時期以外にたった一度だけ越流したのが、平成23年(2011年)7月に発生した新潟・福島豪雨の時でした。
天端から見る三国川ダムの春

三国川ダムは国土交通省直轄管理の中央コア型ロックフィルダムです。(堤高119.5m、堤頂長419.5m)
地域に開かれたダムとして有名で、天端には地元作家さんの作品が点々とみられるほか、我が家は監査路の見学でも数回お邪魔しています。
しゃくなげ湖とロック原石山

ダム湖付近はシャクナゲの自生地であることから「しゃくなげ湖」の名で親しまれています。
天端を歩いていても、堤体に使われているロック材を間近に見ることができます。
計画当初、三国川ダムは重力式コンクリートダムでの建設が予定されていました。しかし地質調査の結果、周辺地が硬い岩盤になっていることから、ロックフィルダムが最適という結論になりました。
しゃくなげ湖の奥に三角に見える法面が、ロック材を採取したロック原石山跡地になります。
放流設備と下流域
しゃくなげ湖側(上流部)にある排水吐の様子
この日ゲートが開いてダム湖の水が流れ込んでいたのが非洪水時常用排水吐で、洪水が起こりにくい冬などに水を流す設備です。梅雨時期や台風時期などで洪水が想定される時期にはゲートが閉じられ、自然に水が流れ込んで使われるのが非常用排水吐です。
※過去に行った際の写真に名称が載せてあるものがありましたので、▲上の画像をクリックorタップすると各名称が表示されてわかり易いと思います。
越流した水は管理橋を潜って放水路を下ります。
三国川の上流部は高度差が大きく、V字型の険しい谷を縫うように流れています。このため水害も多く、昭和44年(1969年)8月に発生した信濃川流域を襲った集中豪雨による大洪水により、死者4人、重傷者9人、建物被害3,300戸、被害総額42億円(魚野川流域)の被害が発生しています。
また、昭和42年(1967年)と同48年(1973年)には渇水によって農作物に深刻な被害を与えており、これを機にダム建設が計画され、現在のような美味しいお米や農作物の育つ豊かな地域へと発展しています。

奥に見える「わらび野トンネル」
左岸側よりビューポイント探し

ダム天端の突き当りには「わらび野トンネル」があり、その手前に堤体に沿うように階段歩道が整備されていました。
階段歩道入口(階段最上部)からは放流している様子が遠く真横からしか見えなくて、まるでスキーのジャンプ台を横から観戦しているような感じ…。
希望としてはもう少し放水路の近くで迫力ある様子を見たかったので、左岸側の堤体を眺めながらさらに階段歩道を下りてみることにしました。

階段歩道の途中にあった平場には、たった一輪、咲き始めのシャクナゲの花を見つけて気分上々。

そしてシャクナゲの花が咲いていた平場辺りから、階段歩道は放水路の方に向かって延びていてホッとしたのも束の間。
その道の途中には、放水する三国川ダムの様子を眺めながら、優雅にお弁当を広げている先輩女性の姿があるではありませんか!
もしかして、下から車で来れた場所だった?

なぬっ!

だってほら
一番最初に真正面から放水路を撮影した「であい橋」があんな近くに!

いやいや、かぁ~さん
ダム堤体のロックの上に直に立てるなんて、なかなか無いことだと思うよ。
野外ステージから見上げる放流の様子

階段を下り始めた時から薄々想像はつきましたが(笑)自分たちが希望する放流風景が見られる場所というのが、野外ステージが設けられた芝生広場からの眺めでした。

ほぼ横に立って、流れ落ちる放水路の様子を眺めることができるのです。
この時の様子は動画でどうぞ!
▲クリックorタップでYouTube再生
こんなにも接近し、放流する様子を見上げられる絶景ポイント。
だけど腕の足りぬ写真では、であい橋から撮ったアップ画像と変わらぬ迫力に感じてしまうのも確かなところ…(汗)。

労多くして功少なし
おまけ
野外ステージ広場にあり、ポケストップになっていた彫刻「森の詩」
ポケGoでもお世話になっているブログ友さんに、翌日、勝手に送らせていただきました。
行きはよいよい帰りはトレーニング!?

それにしてもロックフィルダムというのは、コンクリートダムとはまた違った、大自然の景観にも溶け込むようなスタイルで素敵ですね。
先にも述べましたが、三国川ダムの堤体は120m弱の高さがあります。
その高さにあまり傾斜がきつくならぬよう、緩い勾配でカーブを描くように整備されている階段歩道。帰路は下りてきた分を上がらなければならないという…(笑)
毎年GWになると、行くつもりもなくいつの間にか山登りになって「何でだよ!」と思うことが良くありましたが、やっぱり今年もそんな修業が待っていました(爆)

かぁ~さん、あともう一息!
散策終わりのクールダウン
南魚沼に着いて真っ先に、鯉のぼりが泳ぐ登川で水遊びをしたなんてことは関係ありません(笑)
三国川ダムならではの春の光景を堪能したあとは、三国川ダム管理所脇にある天端公園の水路でクールダウン。ここでも現地調達の棒切れを使って遊びますが、できるだけ水路の中に入らず省エネでレトリーブするドーン太の姿は、川遊びの時とは全く違って別犬のように感じられるのも面白いところです。
おしまいに

普段はもの言わぬダムですが、春先に見せる大自然とのコラボ風景は、やはり何度見ても迫力の光景であると思います。今年も本格的な梅雨の時期がやって来ましたが、大雨になったとしても洪水の心配なく安全に暮らせるのも、そこにダムがあって活躍してくれているお陰ですね。
これまでの30年も、これからの未来も、同じように南魚沼の地を水害や灌漑から守ってくれる三国川ダムという頼もしい存在。日本一のお米があるのも、ドーン太が大好きな八色スイカが大きく実るのも、しっかり治水されているからこその恵みなのだと、三国川ダムにお邪魔する度に感じます。
Wednesday, May 4, 2022|ドーン太 生後2,627日