越後加茂【青海神社】三つの御朱印と安産祈願
私の父方先祖が加茂市出身であること、婿くん(長女の旦那さん)も加茂にゆかりのある家系なので、ずっと参拝に行きたいと思っていた加茂市の
まだ午後2時前なのに外は薄暗く暴風吹き荒れて寒い日でしたが、珍しい御朱印の頒布が始まったばかりとあって、境内にも情報を聞きつけた人たちの姿がありました。
コロナ禍が続き、私にとっても久々となる集活です。
青海郷総鎮守 延喜式内社「青海神社」
御由緒
越後平野をみはるかす加茂山に鎮座まします青海神社は古くから「加茂のお明神さま」と広く親しまれております。青海郷を開拓した
青海首 族は、郷内氏子の護り神として神亀3年(726年)に祖神・椎根津彦命 と大国魂命 を奉斎する青海神社を加茂山の山麓に創建しました。青海郷は、田上五社川から三条井栗、保内までの23箇村であったと伝えられ、加茂市一帯から多くの遺跡や古墳、平安時代の集落跡が発掘されております。桓武天皇の平安京へ遷都に当たり、京都の賀茂別雷神社(通称上賀茂神社)、賀茂御祖神社(通称下賀茂神社)の神領となり、御分霊を当地にまつり「加茂大明神」と申し上げております。朝廷が延長5年(927年)に全国の銘社を編集した「延喜式神名帳」に青海神社二座と記載されているところから「延喜式内社」と言われております。
慶長以前、上杉氏の崇敬厚く神領を寄進されました。新発田藩主溝口氏に至って社領の寄進、本殿等の造営をし、国土の平穏と五穀の豊穣を祈願されました。神社に社格が制定された明治5年(1872年)県内一号で「県社」に指定され、以来春季例大祭には県知事が参列されました。
昭和36年9月16日に襲来した第2室戸台風により、神域は大被害を蒙り大杉が約200本も倒れましたが、今なお亭々たる老杉に囲まれています。これらの老杉は加茂町年寄浅野氏が34年間にわたって植林したもので、350年を経た現在も森厳の気は人の襟を正させます。中でも爺杉(ジジスギ)は、「千年杉」、「オキナスギ」とも呼ばれ、樹齢1000年、幹の太さ約635cm、御神木としてその雄大さを誇っております。
青海神社案内パンフレットより
古歌に「繁栄 に立てる鉾杉見てもなお先ず仰がるる賀茂の大神」と歌われております。
青海神社周辺環境

北陸自動車道・燕三条ICから車でおよそ20分、JR加茂駅から徒歩5分の場所にある726年創建の越後加茂「
また、加茂山公園の北側すぐ近くには加茂川が流れ、南東側には剣ヶ峰城跡が残っており、様々な角度からの観光に向いた都市公園として整備されています。

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青海神社参道の様子

神橋と一ノ鳥居
神聖な場所へのペット同伴はいけない行為と思っているので、Dawn太は車内待機で飼い主たちだけで行ってきます。
一ノ鳥居から二ノ鳥居へ

亀の噴水
「この亀は、青海神社の祭神である椎根津彦命を乗せ、神武天皇東征の際、大和へ導いたと伝えられている」との説明あり。
参道脇に見られる摂社・末社

市民体育館脇の石段

二ノ鳥居
二ノ鳥居周辺

二ノ鳥居を潜ったらすぐに拝殿があるのかと思いきや、参道の石段はまだ上まで続いていました(汗)。
続く石段下にはお賽銭箱が設けてありますが、足腰が弱くてこれ以上先に行けない人が利用されていました。
お賽銭箱から見て右側には室戸台風復興記念碑が、左側には井戸跡らしきものがありました。

室戸台風復興記念碑

井戸跡らしきもの
獅子狛犬
お賽銭箱から一段高い場所に置かれた青海神社の獅子狛犬。右側の阿形は全く表情が分からないくらいで痛々しかったです。
伊勢両宮と神輿堂

伊勢両宮

神輿堂
獅子狛犬と同じ段の削平地に、両サイドに分かれてあります。
青海神社由緒碑

加茂市指定文化財にもなり、神輿堂前に見える青海神社由緒碑。天明7年(1787年)に賀茂神社の跡地に建立されています。
青海神社境内の様子

獅子狛犬前から続く最後の石段を上ると、ようやく青海神社の社殿へと到着です。
御本殿

神亀3年(726年)に青海郷を開拓した青海首一族によって創建された青海神社は、延暦13年(794年)に京都の賀茂神社の社領となって御分霊を合祀。かつてはそれぞれ別々の場所に本殿がありましたが、明治6年(1873年)に青海神社、賀茂神社、賀茂
加茂市指定文化財にもなっている御本殿は正平12年(1357年)の造営。棟札には「延文2年7月」と北朝の年号が記されているとのことです。
御祭神
青海神社 二座
椎根津彦命 |神武天皇のご東征に際し速吸門 で出迎え瀬戸内海の海路を案内する大任を果たし、大和に入る軍機に参画し大功を遂げられ大倭国造 に任じられた大国魂命 |椎根津彦の祖であり、国の地主神として国土の経営に功績を残した
賀茂神社 一座
賀茂別雷命 |皇室の祟敬殊に厚く、五穀豊穣・勇壮武厳・厄除けの神として尊敬されている
賀茂御祖神社 二座
賀茂建角身命 |賀茂別雷命の祖父:神武天皇が大和に入る山道に困苦した際に大鳥と化して道案内の大役を果たし八咫烏 と号を賜る多多須玉依媛命 |賀茂別雷命の母:安産・子育ての神として女性からの信仰が深く青海神社春季例大祭に行われる乳母行列も有名
拝殿
拝殿は明治10年(1877年)に再建されたもの。雪囲いがあってその全貌は分かりませんでしたが、加茂の地名にも由来している加茂大神の扁額を掲げ、向拝には鳳凰や獅子、象や獅子の木鼻がみられました。
鶯張廊下

宝暦7年(1757年)に新発田藩主・溝口直温の命により造営された鶯張廊下。その上を歩けば鶯のさざなき音を発する廊下は全国でも珍しいとされ 、加茂市指定文化財になっています。
拝殿横に
拝殿横にあった朽ち木です。この木がそうであったかどうかは定かではありませんが、青海神社の神域は昭和36年9月に発生した第二室戸台風の影響により、200本余の大杉が倒れるという被害に遭っています。
ちなみに、その時の大風にも負けなかったのが、樹齢1,000年といわれる御神木の爺杉。上に貼ったブログカードの「剣ヶ峰城址」記事からも確認できますので、よろしければご覧になってみてください。
手水舎と授与所

授与所では絵馬のみセルフサービスで購入でき、お札やお守り、御朱印などは社務所でいただけるシステムになっていました。
加茂の雪椿をあしらった絵馬もあってご当地色が良く出ていると思いましたし、授与品には柔らかなイラストが描かれたものもあって女性に好まれそうなものばかりでした。

謙信公の母君である虎御前も祈祷した安産・子育ての神様
青海神社は玉依媛命を祀っていることから「加茂のお明神様」として親しまれ、子宝や安産、子育てに御利益があるとされて女性参拝者が頻繁に訪れます。また、越後の戦国武将である上杉謙信を身籠った母・虎御前(長岡栖吉城主・肥前守長尾顎吉の娘)も月参りに訪れたお陰で安産であったとの言い伝えが残っています。
安産守りと御朱印は社務所で

参拝を終える頃になると風ばかりでなく横殴りの雨も降り始めたので、丁度良い感じに社務所で雨宿り。
先に御朱印待ちの女性二人組があったので、その方たちが終わってから安産のお守りと御朱印を頂戴してきました。
授与品の中には、賀茂川で遊んでいた玉依媛命が川上から流れてきた丹塗の矢を拾って持ち帰り、床の近くに置いたら男子(賀茂別雷命)を懐妊したという話にまつわる「丹塗の矢」もありました。
そしてここで初めて御朱印が三種類あると知った間抜けな私。通常の御朱印は手書きしてもらえるとのこと(汗)
なんで御朱印帳持って来なかったんだ~、私!

通常、桐紙、加茂紙の三種類ある青海神社御朱印
私は御朱印集めなどをはじめて10年近くになりますが、書くものの素材が違って複数の御朱印が用意されているという神社仏閣に出会ったのも初めてのことでした。
以前よりある通常の御朱印は整った文字に大きな印、社紋である二葉葵あしらわれた美しいもの。椎根津彦命が神武東征の際に亀に乗っていたことにちなみ、海の字のつくりである「毎」の部分が「亀」にデザインされているのもお洒落です。
さらに近年は加茂市ゆかりの素材を使った御朱印が登場し、オリジナリティーと加茂らしさをアピールしています。

左から通常、桐紙、加茂紙の青海神社御朱印
桐紙の御朱印
2020年12月頃より頒布されているのが桐紙でできた御朱印です。書体などは通常の御朱印と同じですが、より捺印が目立つよう、全体のレイアウトが変更になっています。
青海神社のある加茂市は古くから木工のまちとしても有名で、中でも昭和51年に通商産業大臣に「伝統工芸品」の指定を受けた加茂の桐ダンスは全国シェア70%を占める特産品です。虫を寄せ付けず柾目の美しい加茂の桐ダンスは大変高価なものですが、近年、福島・新潟で起こった大水害の際も、加茂の桐ダンスだったからこそ収納してあった着物も無事だったという話を、引っ越し前後にお世話になった家具屋の店長さんからお聞きしたばかりでした。
ちなみに、先の話に出てきた雪椿のかたちをした絵馬にも桐の無垢材が使われており、手にすると木のぬくもりを感じられる仕様になっています。
加茂紙の御朱印

2022年2月1日より頒布がはじまったのが、加茂市が保存事業を行っている加茂紙に書かれた御朱印です。和紙の原料となる
加茂紙に書かれた御朱印は書体から違い、幕末に活躍した三條実美が書いた神社名の文字を模したもの。

私の御朱印帳も3冊目。思い出と一緒に随分と充実してきました。
おしまいに

この日頂戴した安産のお守りは、翌週の大安の日に長女に手渡してきました。コロナ禍で付き添いが許されず、1人きりでの初産になるのが気の毒ですが、それは初孫を生んでくれたお嫁ちゃんも同じだったこと。この夏、元気な赤ちゃんが誕生してくれることを願うばかりです。
空模様が非常に怪しく、駆け足での参拝だった青海神社。貴船社、稲荷社、山の社など、まだまだ境内社があったのも見逃していますし、何より社殿は冬囲い中で大好きな神社彫刻も全部は見られなかったのが残念でした。一方、地元の特産品を使った御朱印はとても貴重なものに感じ、御朱印好きさんがたくさん参拝に訪れてくれたら良いなと思いました。
私の次回の青海神社参拝はお礼参りの時になるかな。季節の良い時に、今度こそ社殿の全貌を拝見したいと思いました。
Saturday, March 5, 2022|Dawn太 生後2,567日