白鳥おじさんの餌付けタイム2022|阿賀野市瓢湖水きん公園散歩・Part2
本記事は、二月の連休中日に阿賀野市にある瓢湖水きん公園を訪ねた話の続きになります。
先の記事でもご紹介しましたが、ここ瓢湖は、世界で初めて野生の白鳥の餌付けに成功した地です。今回は、今でも白鳥が飛来してくるシーズンに行われ続けている、白鳥おじさんによる餌付けタイムの様子をご紹介しようと思います。

瓢湖水きん公園散歩と白鳥2022|阿賀野市
2月の三連休中日は、Dawn太の砂浜陸上部を終えて午後から、白鳥の飛来地としても有名な阿賀野市の瓢湖水きん公園に遊びに行ってきました ...
世界初!野生の白鳥の餌付けに成功した瓢湖
毎年シベリアから5,000羽あまりの白鳥が飛来してくることでも知られ、水鳥たちが住む湿地の生態系を守るためのラムサール条約登録湿地でもある瓢湖。その片隅には昭和29年(1954年)2月に世界ではじめて野生の白鳥の餌付けに成功した、故・吉川重三郎氏の偉業をたたえるレリーフがあります。

初代「白鳥おじさん」こと故・吉川重三郎氏のレリーフ(2019.3.30撮影)
江戸時代に造られた面積10ha余の農業用水地(瓢湖)に白鳥の姿が見られるようになったのは昭和25年(1950年)頃のこと。昭和29年になって近くに住む吉川氏が餌付けに成功したことで、以来、瓢湖を訪れる白鳥の数が増えていきました。吉川氏の足元に群がる野生の白鳥の姿は「世界の八不思議(八珍)」と称され、日本国内ならず海外からも注目を集め、同年3月に瓢湖は白鳥の飛来地として国の天然記念物に指定されています。
「白鳥おじさん」の愛称で親しまれた吉川重三郎氏。水鳥たちにエサを与える姿は冬の瓢湖の風物詩となり、重三郎氏の後は息子の繁男氏が二代目白鳥おじさんとしてその座を引継ぎました。しかし繁男氏が高齢を理由に引退した後は、20年近くそのポストが空いたままの時期もあったのです。これを埋めたのが、平成25年(2013年)1月より活躍している現在の三代目白鳥おじさんである齊藤氏です。
瓢湖で初めて白鳥の餌付けに成功した時から70年近く経った今でも、白鳥飛来のシーズンには、午前は9時と11時、午後は3時の日に3回の餌付け風景がみられます。
話の舞台はふれあいさんばし

白鳥おじさんが日に3回餌付けをするのは、この「瓢湖ふれあい桟橋」の上です。
臆病な白鳥は桟橋の上まではきませんで、普段は鴨たちのふれあいの場となっています。

あら、最近は鴨だけでなく、ハトも羽を休めにやってくるんですね。

ハト時計は正確ですから、定刻になるとやって来るようになったんですよ。
お陰でライバルが増えましてね…。

人は時計と睨めっこでイベントの場所に集まってきますが、野生動物はしっかりとした体内時計を持ち合わせているようで、間もなく餌付けが始まるという時刻が近づくと、採餌のため田んぼに出ていた白鳥たちが続々と瓢湖へと戻ってくるのです。

あっ、来た来た。




どいて、どいてぇ~



ふぅ、間に合った!

イベント開始3分前のふれあい桟橋周辺の様子。
すでに何処かに居るおじさんの気配を感じて、たくさんの水鳥たちが集まりました。

午後3時の餌付けタイムにて

定刻の午後3時より少し早めに、瓢湖ふれあい桟橋に姿を見せた三代目白鳥おじさん。2013年に白鳥おじさんとして就任して以来10回目の冬。今シーズンは2021年10月9日より、日に3回の餌付けが行われています。


登場した白鳥おじさん、まずは青いバケツを両手に持ってふれあい桟橋の先端まで行くと、何処か遠くを見つめている様子でした。

そのままそこに青いバケツを2つ置いて行かれましたが、フライングでハトや鴨が集まってきて大変なことに(笑)

青いバケツを囲んで桟橋周辺が騒然とし始めた頃、瓢湖へと戻ってくる白鳥の群れがまた幾つかありました。きっと先程、桟橋に立ったおじさんの姿を確認したのでしょう。



桟橋目掛けて戻って来た白鳥の群れは、集まる水鳥たちを避けるように一度旋回し、私の頭上を通り過ぎてから安全な場所を見つけて着水しました。
羽を広げれば2m以上もある大きさのオオハクチョウですから、自分の方へ向かうように飛んでくる姿も、自分の真上を通り過ぎて行く姿も、どちらも迫力があって力強さを感じます。

白鳥の群れが私の頭上を通り過ぎて行ったのに前後するように、さらにもう1つ青いバケツを持って桟橋先端まで戻って来た白鳥おじさん。

青いバケツを両手に持ち、おもむろに桟橋よりもさらに先へと進んで行きます。

バケツの中に入っていたのはお米のようで、まずはこれを集まった鴨たちに与えて、少し場を落ち着かせているのではないかと思いました。
ここまでが餌やりの準備段階で、いよいよここからが白鳥おじさんの本番です。

初代から受け継がれたスタイルと精神

再び桟橋に姿を見せた三代目白鳥おじさん。頭にハンチング帽、肩に餌かごというスタイルは、初代白鳥おじさんの時代から変わらずに受け継がれている姿。水鳥たちは吉川さんや齊藤さんという個人ではなく、このスタイルである人を白鳥おじさんと判断するからなのでしょうね。
白鳥おじさんが「来ーい、来い、来い、来ーい」と良くとおる高い声を響かせると、それを聞きつけて集まってくるのは水鳥たちばかりでなく、餌付けが始まったのを知った観光客も同じです。

白鳥おじさんが与えているのは、食パンの耳やシイナと呼ばれる未成熟米など、軽くて水に浮き易い食べ物です。私が小学生だった頃には、給食で残ったパンや家庭で出た茶殻を持ち寄って瓢湖の白鳥に送ったものでしたが、今では地元企業や農家さんなどからの協力もあって成り立っているようです。
四方に気配り目配りしながら不公平の無いように、だけど幼鳥にはちょっと多めに食べてもらえるようにしてエサを撒いているとか。初代白鳥おじさんの残した「遠くから瓢湖に来た白鳥たちをおもてなしの心で喜ばせたい」という精神は、三代目になった今も脈々と受け継がれているのだと思いました。


いやぁ、それにしても凄い密(笑)

ハトがエサを貰う仲間に加わっていたのにも驚きましたが、桟橋の欄干にスズメまで来ているとは!
まさに野鳥の楽園。さすが国指定の鳥獣保護区だけはありますね。

駆け込み組にも優しい心配り

ふれあい桟橋周辺が宴たけなわの頃、また一つの白鳥の群れが瓢湖へと戻ってきました。


水鳥たちの殆どは桟橋周辺に密集しているので、この時間に戻ってくる白鳥たちは、湖の余白も多くて着水には困らないと思います。
…が、これだけ出遅れてしまっては白鳥おじさんまでの距離が遠くて気の毒。

おじさん、こっちにも!

だけどそこはこの道10年のプロの仕事。ちゃんと周囲を見渡して確認しながらエサを与えている白鳥おじさんなので、駆け込み組が食いっぱぐれない配慮だって十分にあります。

無事に貰えて良かった。
その時Dawn太は…

ボクにはちっともオイシイ思いが無いんだけど…

瓢湖の散策同様、同伴ペットであるDawn太は、集まる観光客や水鳥たちを驚かせないためにも、餌付け風景を遠巻きに眺めているだけでした。
おしまいに
実はここまで、ものの7~8分程度の出来事を撮った写真です。短時間で水鳥たちの様々なドラマが見えてくるのも、食べ物が絡んだイベントだからなのかも知れません(笑)。
三代目白鳥おじさんのエサやりはこのあともうしばらく続きましたが、Dawn太を確認するために振り返った私の後ろに新たな観光客さんの姿があったので、自分が立っていた特等席をその人に譲り、私の撮影会も終了となりました。

撮影のためにお邪魔した頃1,100羽近くいた瓢湖の白鳥は、現在700羽を切るだけになりました。瓢湖に飛来してきた白鳥の北帰行の完了は例年3月の中旬頃と、全ての白鳥が旅立つ日が今シーズンも間もなくやってきます。
たとえ全ての白鳥がシベリアに帰ってしまっても、怪我で瓢湖に残留する白鳥や、季節毎にやってくる水鳥たちの保護活動を続けていかれる三代目白鳥おじさん。次の冬にも同じスタイルで、観光客の前に現れる日を今からたのしみにしています。
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