【犬の病気】マイボーム腺腫切除しました
犬というのは以外とデキモノのでき易い動物で、体を撫でている時に以前には気付かなかった何かに触れ「ドキッ!」とした経験を持つ人も多いのではないでしょうか。Dawn太の場合、そのデキモノが下瞼のところにできてしまいました。
悩んだ末に切除していただき、手術を終えて1ヶ月になろうとしているので、ここまでの経過を記録しておこうと思います。
あれっ、何かできている!
Dawn太の下瞼にポツンとデキモノを発見したのは、今から1年数ヶ月前の2020年6月のことでした。
実はDawn太、1歳になって間もなくの頃にも上瞼に頭の白いニキビのようなデキモノができたことがあり、その時は数ヶ月後に自然に壊れて無くなってしまったので、今回も同じようなものだと思って様子見していました。
ところが今回は一定の大きさを保ったまま破れることもなく、かと言って小さくなるような気配もなく、幸いできた場所も外側で眼球に擦れるようなことも無いので、様子見しながらさらに数ヶ月が経ちました。
2020年秋はDawn太の同胎三兄弟で集まり、一緒に神社で七五三のお祝いをしました。その時、瞼にデキモノができていたのはDawn太ばかりでなく、末弟のレオンくんも上瞼にポツンとデキモノができていて、変なとこまでお揃いだったのです。
その当時のレオンくんはすでに1ヶ月ほど点眼薬で治療をしており、数週間後に会った時には瞼のデキモノも消えているように見えました。
獣医師に相談
瞼下のデキモノは潰れる気配も小さくなる様子も無いので、今年4月の狂犬病予防接種の際に獣医師に相談してみました。
Dawn太の左目を見ると同時に獣医師が発した一言が、「あっ、これ簡単に取れますよ。」でした。
そして続けて、「だけど全身麻酔が必要だけどね。」…と。
例えば同じ病気で同じような治療が必要な場合、人間なら点眼麻酔や局所麻酔で済むところ、動物の場合は全身麻酔での治療が必要になるというのがネックになります。生死をさまようような大病ではないけれど、治療のために全身麻酔が必要でかけたらそのまま目が覚めなかった…、そんな話が友だちの身近でもあったと聞いたばかりで、全身麻酔をかけてまで除去しなければいけない病気なのか?と考えてしまいました。
デキモノを最初に見つけてからすでに1年近く経っていること、初期の頃よりは大きくなっているものの急激に大きくはなっていないことを告げると、「悪いものの場合、急激に大きくなるので悪いものではないと思いますよ。」とのお返事。
5月には混合ワクチン接種があって再び来院することになるので、4月の状態を獣医師にも把握していただき、1ヶ月後にどれくらいの変化が見られるのか、実際に見てから見極めていただくことにしました。
結局は飼い主の気持ち次第
5月の再来院の際、デキモノは4月に見た時とほぼ同じ状態でした。
Dawn太の場合、下瞼の外側にデキモノがあるので生活するのに何の不便もなく、まして痛みや痒みなどの症状も全くといって無い。さらに獣医師の見立てでは悪いものではない、今すぐ手術を必要としないといった場合、あとは飼い主の気持ち次第というところが大きかったです。
即決しなくて良いというので、秋口にフィラリア予防薬の追加を貰いに行く時まで判断を延ばし、結局は外科的手術によって除去するという選択肢の方を選びました。
やはり最後まで気がかりだったのは全身麻酔の問題です。今は良性のものだとして、この先それが万が一悪性に転じてしまったとした場合、早いうちに取らなかったことを後悔するだろうと思ったし、その時は今よりも年をとっていることは確実なので、まだ体力も回復力もある今のうちに一度綺麗に切除してあげた方が良いのだろうという判断に至りました。
人間の瞼にもあるマイボーム線にできた腫瘍
…と、ここまで長い前置きになりましたが、Dawn太の下瞼のデキモノはマイボーム腺腫という良性の腫瘍です。
私たちは瞬きをするたびに涙腺から水分が出るわけですが、その水分が蒸発しないよう涙の表面を油が覆っています。その油を分泌しているのが、まつ毛をはさんで表と裏にあるマイボーム線です。
良く知られる症例としては、涙の水分が不足しても油分が不足しても起こるのドライアイ症状。また、マイボーム腺から分泌される油分が出口で固まってしまうマイボーム腺機能不全は、油の分泌の落ちた高齢者のみならず、濃いアイメークをする若い女性にもみられる病気となっています。
犬の瞼にも上下にマイボーム線があって同じ働きをしています。マイボーム腺に炎症が起きる病気には「
時にマイボーム線の出口が詰まり、中に油分が溜まったままになってイボ状に膨らんでしまうケースもあります。これがDawn太のデキモノの正体で、マイボーム腺腫と呼ばれるものです。
8割方が良性ですが、急激に大きくなるものは悪性の場合もあるそう。特に予防法などはなく、見つけたらその都度獣医師に相談するのが良いようです。治療には外科的な手術が必要になります。

術前|今夏終わりの川遊びの日

横から
水に濡れたのでその存在がはっきり見えるかと思い、▲今夏の川遊びで撮った写真を載せてみました。でき初めから数えて1年3ヶ月経った頃のマイボーム腺腫の様子です。
先にも述べていますが、下瞼の外側にできているので瞬きの際にも邪魔にならず、眼の中が赤くなったりすることもありませんでした。これが視界を邪魔する場所だったり、内瞼にできて瞬きの度に角膜を擦るようだと、もっと早い対処が必要になったのだと思います。
手術したらしばらくはシャンプーもできなくなると思い、手術直前の休日はDawn太を海に放って走って泳がせ、ストレス発散後は潮で汚れた体を洗って準備しました。
手術当日
手術当日の朝はごはん抜き。開院時刻に合わせて連れて行き、閉院時刻近くまで経過観察になるとのことでした。
Dawn太は置き水を飲まない子なので、半日以上飲まず食わずになってしまうと思い、ごく薄いヤギミルクを100㏄ばかり与えて送り出しました。手術は午後の早い時間帯に行われたと思います。
結局のところ、獣医師の最終判断で全身麻酔ではなく、鎮静剤と局所麻酔を使っての手術になるとの有難いお言葉。それでも待つ時の不安は同じですね。3時を過ぎ、4時を過ぎても連絡が無いので、無事に済んでお迎え待ちなのを実感していました。
帰宅後
無事に帰宅したあとは、喉が渇いているだろうと、朝と同じく薄いヤギミルクをとりあえず100㏄飲ませました。足りずにさらに50㏄追加。
飲んだ物を吐き戻すこともないので、今度は朝食分に軽量してあったカリカリフードを少し器に入れると、お腹が空いていたらしくガツガツと食べ、結局その日の朝食相当量の半分を夕方に食べてしまいました。(夕食分のフードは夜寝る前に食べました。)
切除する…としか聞いていなかった手術跡は黒く凹み、何か焼き切られたような感じにみえました。
当分の間は日に数回、軟膏状の抗菌薬を患部に塗ってやることになります。この眼軟膏も人間に処方されるものと同じなんですよ。
そして、術後しばらくはエリザベスカラーを着けての生活になると覚悟していたのですが、とにかく犬の心身の負担を軽減する治療を行ってくれる獣医師なので、エリカラも無しでOKとのこと。その代わりに顔を擦って傷つけないよう、左手の狼爪は根本からキッチリとカットされて止血された形跡がみられました。
術後の経過
術後2週間は黒い皮が小さくなる反面、黒い皮よりも目じり側の肉が盛り上がっている様子がわかります。(※写真は朝の眼軟膏を塗る前に撮影しています。)
術後3週間|9月29日撮影
眼軟膏を使い切った頃。傷口も良好なので、数週間お休みした川遊びも再開しました。
術後4週間
今日で丁度術後4週間。「そこだけ色素が抜けてしまうかも知れないよ。」と仰っていた獣医師の言葉どおり、腫瘍があったその部分は肌色になっていますが、すっかり綺麗になってくれて安心しました。
ずっと軟膏を塗ってベタベタしたままだった左横顔の毛も、週末にシャンプーしたのでスッキリです。
見る人によってはあまり気持ちの良い画像ではないので、パソコンからの閲覧では小さめサイズで載せてあります。術後の画像はそれぞれにクリックまたはタップで拡大されますので、必要な方は大きくしてご覧になってみてください。
おしまいに
人間同様に老犬になるほど多いというマイボーム線の病気。しかしDawn太は比較的若い時期からその症状がみられ、また同胎さんにも類似の症状がみられたことから、体質的にもマイボーム線の詰まりやすい子なのだと思います。
一度切除しても繰り返しできてしまうケースも考えられる病気。この先、Dawn太の瞼にデキモノが再発する可能性も考えられますが、全身麻酔でなく今回の手術を終えることができたので、もしやの場合の不安も軽減された気がします。
愛犬家のみなさんも是非、これを機にワンちゃんの眼をチェックしてあげてみてください。