結東の風穴と廃校跡に見つけた芸術作品|津南町
先の記事にある、美しい日本のむら景観百選に選ばれている結東地区の石垣田に隣接し、津南町では3つ目となる風穴があるというので一緒に見学してきました。

津南町【結東の石垣田】まるで城壁のような石積みの棚田散歩|2021秋・棚田巡りPart1
彼是10年近く、時期がくる度に訪ねてみたいと思いつつ、ずっとチャンスを逃してばかりだった津南町にある結東(けっとう)の石垣田に行ってきました ...
あわせて結東の棚田周辺の自然に触れ、廃校跡につくられていた大地の芸術参加の屋外展示作品も見学してきました。
結東の風穴
津南町には良く知られる風穴が3つあります。うち2つは苗場山ジオパークのジオサイトに指定されている山伏山の風穴(800.4m)と見倉の風穴(767.9m)、そして最後は、全国農村景観百選に選ばれている結東の石垣田に隣接してある結東の風穴(609.9m)です。

津南町【山伏山の風穴】岩間よりふき出す天然クーラーで涼む
先にDawn太だけ冷たい川でクールダウンしたので、今度は飼い主も一緒に涼しくなれる、天然のクーラーが噴き出す場所へと向かいました。 先人の営みを感じられる風穴。暑い夏におススメの癒しスポットです...

見倉風穴と大栃の木|津南
津南の物産館で「津南天然水」を購入した際、見倉風穴の地図を見つけとても気になりました。この日の予定全てが2時前に済んだこともあったので、帰る前に立ち寄ってみました。見倉風穴東秋山林道の見倉トンネル手前の駐車場脇が、風穴への入り口。ここから4~5分ほど金城山を登った場所に、見倉1つ目の風穴はあります...
山伏山の風穴には過去2回、見倉の風穴も1度訪ねたことがありました。残る1つが結東の風穴で、石垣田の散策とあわせ、今回ようやく訪ねることができることを楽しみにしていました。
結東の風穴は、鳥甲山と苗場山による溶岩壁下部のガレ場に2箇所あるとのこと。右手に石垣田の風景を、左手に溶岩壁を眺めつつ、風穴地点を探しながら棚田散策開始となりました。

結東1つ目の風穴

1つ目の風穴は、結東の石垣田の始まりから6~7分歩いた山側に標柱が見えてあります。

結東の風穴

標柱から入ってある風穴は、その冷風を体感できるように多少の整備がされていました。
先に訪ねた山伏山の風穴は養蚕の施設として使われていたので建屋跡の石積みが残っていましたが、見倉と結東の風穴は堆積した溶岩塊のすき間から地中の冷涼な空気が流れ出ているものです。
それによって、その地域の気候条件下では生息できないはずのエゾヒョウタンボク、オヒョウ、ベニバナイチヤクソウといった寒冷地に生息する植物が隔離分布しているのが特徴です。(※エゾヒョウタンボクは分布の南限だそうです。)

穴は覗いてやっと冷気を感じる小さなものから、Dawn太のハウスサイズまでありました。

穴の中までお邪魔して、いろいろチェックが入ります(笑)。

Dawn太が入っていた岩間奥の様子
さぁ、次に行くよ!

…と思ったのに、Dawn太が風穴前から動かない(笑)。
風穴地点は穴の中も涼しいですが、その周辺全体が外気温よりもずっと冷えているので、緑に囲まれたこの場所に立っているだけで心地よかったようです。

ボク、ここで暮らす!
2つ目の風穴へ向かう途中に…

次の風穴を探しながら山側の道を歩いていると、テレビのニュースで見たことのある、大型動物を捕獲するための箱わなが置かれているのを見つけました。
石垣田の周囲には電気柵も設けてありましたし、出るんですね…大型の野生動物が。
わなの中には1本のサツマイモが吊るしてあり、イノシシ対策だったような気もします。

わなを過ぎると遠くに白い案内板が見えたので2つ目の風穴案内かと思いましたが、近づいてみれば熊注意の看板で、ここからさらに石垣田の奥へと歩きます。
結東2つ目の風穴

結東2つ目となる風穴です。右側に見える、草木が穴状になった場所が通路です。

草木のトンネルを抜けてすぐの▲この場所が涼しかったのですが…、たったこれだけしか歩いていないというのに、振り返ったDawn太が酷いことになっていました(汗)。
米粒くらいの大きさの、無数のひっつき虫にやられていたのです(泣)。

この場所では1つ目の風穴のように明らかに冷風が出ている箇所も特定できないので、私だけ単独でさらに山側の方に進んでみました。ところが、溶岩壁が崩れて苔むしたガレ場が続くだけ。藪で足元も悪かったため、ほどほどのところで引き返しました。
大抵の人は手前にある風穴の見学で満足するでしょうから、わざわざそこから数十分歩かなければいけない2つ目の風穴は、思うよりも整備されていないということなのでしょうかね。
結東の石垣田で見つけた自然

花火みたいなウドの花

コジャノメ

アキアカネ

トノサマバッタのかくれんぼ

まだ青い栗の実

あと少しで石垣田も終わりだよ!
結東の廃校跡にある大地の芸術祭作品「Melting Wall」

ねぇ、あれ何?
さて、車を停めた場所から結東の石垣田への往復に通るのが、結東温泉「かたくりの宿」です。
実はこの場所、1992年(平成4年)に廃校になった中津峡小学校の分校跡で、翌年(1993年/平成5年)にふるさと資源活用事業によって校舎をそのまま使って「かたくりの宿」となった場所なのです。
グラウンドの隅にはプールも残されており、そこに「大地の芸術祭」参加作品のひとつが置かれています。

本間純氏作「Melting Wall」2003年制作

水中から水面を見上げると反射する光や風景が揺らめいて見えるように、かつてここに学んだ子どもたちが見た景色をガラスに水を流すことで再現してみたかったという、本間純さんによる2003年制作の作品です。

ボクもプールに飛び込んだら
揺らぐ景色が見えるかな?

作品を反対側から眺めると向こうに見えるのが、結東温泉「かたくりの宿」です。
当時の木造校舎の面影を残す建物は校長室が温泉に、教室は改装されて客室となっています。体育館も残されているので、ここを学び舎とした地元の人たちには懐かしい思い出の場所であると思います。
1884年(明治17年)民家で開校された結東校。以来108年という歴史を残す学校となりますが、その間、1892年(明治25年)から43年もの長きにわたり、極僻地であったがゆえに義務教育免除地に指定されていたという歴史が残ります。
現在のかたくりの宿の場所に校舎が建てられたのが1932年(昭和7年)のこと。その後、義務教育免除地指定解除や中津峡小学校分校の時代を経て1986年(昭和61年)に休校となり、1992年(平成4年)に廃校となっています。

プールサイドもそのまま残されているので、私には懐かしい▲こんな昭和のプール必須アイテムも。

洗眼器と消毒槽
今は時代が変ったから、プールのあとに流水で眼を洗うのはNGらしいですよね。

私が昭和の思い出に浸っている頃、平成生まれは校庭跡に転がっていたサッカーボールを独り占めして嬉しそうでした。

ちなみに、廃校プールの作品の裏手に広がる畑も石積みがあって、結東の棚田とお揃いでした。
おしまいに
平家の落人伝説が残る秋山郷。ここまでの830年余の歴史の中、そこに住む人たちは過酷な環境と戦いながら暮らしているのだと、今回の結東の石垣田、風穴、そして廃校跡を巡って感じました。
今年も間もなく収穫の秋。あの日静かだった石垣田やかたくりの宿も、今頃はきっと観光客で賑わっていることでしょう。
そして今回も結東集落の対岸にある見倉集落まで足を延ばし、6年前に訪ねた時と同じように見倉集落内にあるという風穴も探してみました。しかし前回の散策時と同じく、余所者を寄せつけぬ感の強い集落では風穴のある場所の特定には至りませんでした。あしからず。

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