利用停止中らしい加治川治水ダム公園から望む加治川治水ダム深紅のクレストゲート|新発田市
何故かこの時期になるとダムに呼ばれる。(笑)
新潟県内に梅雨入り宣言が出される2日前、何かに導かれるように、4年ぶりとなる加治川治水ダムにお邪魔してきました。
4年前のダム訪問時に完結しておきたかったのに、その日は雨だったために立ち入れなかった場所があったのです。

加治川水系の安全を守る防災専用の加治川治水ダム

飯豊山地の御西岳に源を発して新発田市郊外を流れ、やがて聖籠町次第浜より日本海に注ぐ加治川。流域に豊かな恵みをもたらす反面、古くから暴れ川となって幾度もの水害をもたらす厄介者でもありました。
昭和の世になると昭和41年(1966年)に下越水害(7・17水害)、翌・昭和42年(1967年)には奥羽水害(8・28水害)と、流域は2年続けて大水害に見舞われてしまい、それを機に加治川の治水計画が見直されます。
その後、昭和44年(1969年)から加治川治水ダムの建設工事が始まり、6年間の歳月を費やして昭和49年(1974年)10月に国内最大クラス(建設当時)の治水専用ダムとして加治川治水ダムが完成。時を同じくし同水系に多目的ダムである内の倉ダムも完成。さらに上流には発電を目的とする東北電力の加治川ダムもあり、この加治川水系3つのダムによって現在の下流域住民の生活と安全が守られています。

加治川治水ダム♪|新発田
新発田地域にある内の倉ダムと合わせて見学したいのが、同じ年代に完成し、同じように加治川水系を守る「加治川治水ダム」...
▲上のブログカードは、2017年の同時期に訪問した際の加治川治水ダムの様子です。
以前のblogのものなので写真は小さめですし、本降りの雨の日だったのでDawn太も車内待機でしたが、堤体についてもう少し説明されているのでよろしければご参考まで。
加治川治水ダム公園

2017年6月3日訪問時の加治川治水ダム公園の様子
加治川治水ダムは、その機能が洪水にならないように治水するという、全国でも珍しい防災専用のダムです。そんな性質上、平時は水を貯めない仕組みになっているので、上流側のダム堤体直下からダム湖畔に公園が整備されているという珍しい光景が広がっています。
ただ、雨が降れば水位が上がって危険なため、過去に出掛けた雨の日には立ち入り禁止になっており、治水公園から上流側堤体を望むことが叶わなかったのが残念で、今回はそのリベンジのつもりでした。
車の乗り入れ禁止になっていたので徒歩散策

加治川治水ダムの右岸側に管理事務所や駐車場があり、そこからさらに治水ダム公園まで車で乗り入れることができたはずなのですが、この日はそのゲートが閉ざされたまま。山が深いため天候の変化も早く現地に着いたら雲行きが怪しげでしたが、雨後ではなかったので、自己責任で公園まで徒歩で行ってみることにしました。
向かう坂道の途中から、打ち上げられた流木や動物の白骨まであって、なかなか怖い光景が広がっていました。

車だとス~ッと数分で着く道も、堤体分の高低差100mほどを大きく蛇行して下りて行くので思った以上に歩行距離があります。しかもこれから雨になりそうで蒸し暑かった!
水辺に遊びに来たのだと勘違いしているボクちゃんが「入水希望」と訴えているのを軽く無視し、さらに奥へと進みます。
利用中止中で荒れ放題の加治川治水ダム公園

以前の加治川治水ダム公園には一面緑の芝生広場があり、静かに広がる湖面を眺めながらバーベキューやキャンプができたり、観水池、ロックガーデン、野外ステージ、トリムコースなどが設けられた憩いの場でした。
一説によれば、法面工事のために公園の利用が中止になっているらしいのですが、重機などは見られず、ただただ荒れ果てた公園が空しく広がっている感じでした。

観水池に続く水路を見つけ、自主的にクールダウンに行ったDawn太。

ダム湖畔の公園に、さらに水辺が設けられているのもユニークです。この時はウシガエルが鳴いていたかと…。

以前は多くの人が利用したであろう据え付けのテーブルやイスも空しい…。
そんなDawn太の後ろには、加治川治水ダムの上流側堤体がこんなにも近くに迫って見えます。

加治川治水ダム上流側堤体をダム公園より望む

加治川治水ダムの堤高は106.5m。新潟県内にある重力式コンクリートダムのなかでは最高クラスの堤高を誇るダムです。そこに県営ダムらしい深紅のゲート群が美しい。
ダム湖の総貯水量は2250万㎥。非常用洪水吐(クレストゲート)があんなに高い位置にあるので、そこまでダム湖の水が蓄えられるということです。つまり、非常時には今いるダム公園は水没してしまう運命だと…。

さらに堤体に近づいてみました。
上に非常用のクレストゲート1門、下は予備ゲート(常用洪水吐仮締切用ゲート)2門。

天端のホイストに吊るされているのは巡視ボートのカジ2号。ここから水面まで降ろされ、ダム湖の見回りに出るのでしょう。

公園内からめいっぱい堤体に近づける場所まで行ってみましたが、あまり近づきすぎると予備ゲートが草木に隠れて見えなくなってしまいました。
だけど、堤体を真下から見上げるという治水ダムならではの醍醐味。普通の場合、ダム建設中で湛水前の段階でないと見られないような光景を目の当たりにしているのだと思いますから。

大きくて迫力を感じる堤体は、ほどほどに離れた場所から全景を楽しむのが一番の鑑賞法かも知れません。
念願かなって大満足だった、加治川治水ダム再訪でした。
おしまいに

加治川治水ダムがあるのは、標高にしたら200mちょっとの地点になります。ところが治水ダム公園に向かう締め切り道路の斜面脇にはまだこんなに残雪があり、厳しい自然環境をもつ深い山の中にあることを思い知らされます。

はい、Dawn太
加治川天然氷だよ
ど~んよりした天気のままで雨が落ちて来なかったのが何よりも幸いでしたが、蒸し暑い中での散策だったので、Dawn太は道端の残雪を味わいつつクールダウンしていました。

穏やかだったダム湖
梅雨入り前の6月中旬の訪問だったこともあり、これから迎える雨の季節に備え、ダム湖も幾分水位が低めになっていました。
今年もまた各地で痛ましい大雨の被害が出るような季節を迎えていますが、あって安心なのがダムという大きな存在であり、発電や利水目的以外、本格的に活躍して欲しくはない存在であるのもダムかも知れません。
Sunday, June 13, 2021|Dawn太 生後2,302日