【きらめく清流 荒川】関川村他|Dawn太と名水Part74
昭和60年頃より、新潟県では地域で親しまれている湧水などを「県の名水」として選定し、水環境の保全を推進しています。現在、新潟県が名水として選定している水場は全68ヶ所。そのうちの一つが、環境省の「平成の名水百選」も選ばれている一級河川・荒川です。
河川そのものが名水であるという、名水旅を始めてから初めてのケース。Dawn太と一緒に、荒川の名所ポイントなどを巡ってみました。

清流「荒川」
山形県南部に位置する大朝日岳(標高1,870m)に端を発し、新潟県北部を横断して日本海に注ぐ一級河川・荒川。昭和42年(1967年)8月28日に流域を襲った奥羽水害を契機に、昭和43年4月に一級河川に指定されています。その後、昭和45年には国の管轄事業として荒川の支流である大石川にダムの着工が行われるなど、流域の河川改修工事なども進められて治水が成されてきました。
荒川の清流アピールポイント
- 平成15-17年|国土交通省「水質ランキング」3年連続水質日本一
- 平成20年6月|環境省「平成の名水百選」
- 平成20年度|「新潟県の名水」選定
山形・新潟の二県をまたぐ一級河川において、その全域が水質環境基準AA類型(水道1級)であることから、平成15年から17年の3年連続で、国土交通省のきれいな水質ランキングで日本一に輝いた荒川。平成20年6月に環境省が発表した「平成の名水百選」にも選定されています。
荒川の上流域には磐梯朝日国立公園があるなど、自然に恵まれた豊かな水辺環境が広がっています。鮭・鮎・山女などの川魚をはじめ、清流に住むというカジカガエルの涼し気な鳴き声も聞かれるなど、水量豊富な荒川は様々な生き物が生息する場となっています。また、流域住民を中心とした定期的な環境整備も行われており、平成18年以降、「荒川1000人クリーン大作戦」と題した清掃活動が年一度開催され、荒川の春の風物詩にもなっています。
流域には親水公園も整備され、定期的なイベントが開催されて地域住民との交流の場となります。荒川峡もみじライン、鷹の巣つり橋、荒川桜堤(高瀬の桜づつみ)など、景観美に優れた観光スポットも存在。新潟県産コシヒカリの三大産地の一つであり、新潟で誕生した「岩船産コシヒカリ」を育む水でもあります。
荒川峡 鷹の巣吊り橋

まず最初に訪れたのは、磐梯朝日国立公園を中心とするおよそ20kmの荒川峡谷。山形県境の小国町から新潟県側の鷹の巣まで、荒川沿いに走る国道113号は「荒川峡もみじライン」と呼ばれ、その名のごとく紅葉シーズンには人気のスポットになります。
なかでも今回お邪魔した鷹の巣吊り橋からは荒川峡の最も美しい景観が望め、紅葉を背景としてさらに美しく、「にいがた景勝100選」「新潟の橋50選」に選定されています。

こちらが「新潟の橋50選」になっている鷹の巣吊り橋。
末っ娘が喜ぶほど怖いくらいに揺れる吊り橋ではありませんでしたが、注意喚起として「50人以下で渡って」「走ったりゆすったりしないで」と案内がありました。

濡れると滑りやすいから、橋の中央を通ってくださいとも書かれていたよ。

▲鷹の巣橋から見る荒川上流方向
右岸側に見えているのは、日本一綺麗な荒川とにいがた景勝100選の景色を一望しながらくつろげる、鷹の巣温泉のお宿です。
このほか付近には荒川に沿って高瀬、雲母、湯沢、桂の関と異なる泉質の温泉地があり、合わせて「えちごせきかわ温泉郷」とよばれており、古くは米沢街道の宿場町として栄えていました。

▲鷹の巣橋から見る荒川下流方向
清流も景勝100選の景色も、雨後ではちょっと冴えなくて残念でしたが、上流付近の荒川が細かく蛇行している様子は見てとれました。

吊り橋を渡った先には鷹の巣キャンプ場などもありますが、COVID-19関係で出入口に注意書きなどあったので深入りせず、またすぐに道を引き返しました。
復路もまたのんびりと渓谷を眺めながら吊り橋を渡るつもりでいたのですが、車両通行止めの吊り橋のはずが、私たちの歩く後ろからヒタヒタと自家用車がついてくるので、景色も何もなく、ただ急ぎ足で通過するだけで終わりました。
荒川に架かるアーチ橋「丸山大橋」

鷹の巣から荒川を少し下流に移動し、えちごせきかわ温泉郷のうちの一つである高瀬温泉近くの荒川堤防から望む丸山大橋です。丸山大橋はアーチ支間の長さが118mあり、全国の市町村道に架かるアーチ橋の中でも随一の大きさを誇ります。

高瀬の桜並木♪|岩船郡関川村
ちび子が修学旅行に出掛けた日。朝の見送りを済ませて向かったのは、まだ県内でも染井吉野が咲いているという場所。土曜日よりも、日曜日の方がお天気率は高かったはずなのに、県北に向かうにしたがって、何だか雲行きは怪しくなり、到着するとポツポツ雨が!...
丸山大橋の全景を撮影した場所には荒川堤防には沿って600mの桜並木があり、「高瀬の桜並木」や「荒川桜堤」と呼ばれ、村一番のお花の見名所となっています。
市町村道「日本一」の巨大なアーチ橋を渡ってみる

平成3年8月に完成した全長175mの丸山大橋。現在、日本にある市町村道の中で一番大きなアーチ橋の上を通るのは、村道・御野立丸山公園線です。

丸山大橋の親柱には関川村を代表する重要文化財「渡邉邸」がアレンジされています。また、高欄はなまこ壁、照明灯にはからすどまりと、こちらにも渡邉邸からヒントを得たデザインが施されています。
橋は三ヶ所にバルコニーが設けられ、荒川と平野の風景を楽しむことができます。
なまこ壁がデザインされた高欄には、荒川に生息する鮎や関川村の木であるもみじ、村の花であるユリもデザインされています。

日本一のアーチを上から眺める。荒川水面までの高さは44mあります。
丸山大橋から見る荒川

▲丸山大橋から望む荒川上流
先に立ち寄った鷹の巣吊り橋から続く荒川の様子です。丸山大橋直前で、直角にちかいかたちで折れ曲がり流れます。

▲丸山大橋から望む荒川下流
訪れたのはもう1ヶ月も前のことなので、実りの季節をむかえた田園の光景が広がっていました。荒川の水で育つ岩船産コシヒカリは、魚沼産、佐渡産とともに、新潟県産コシヒカリの三大産地の一つです。

橋のたもとには荒川の案内看板もあるのですが、背の高い草が生い茂って殆ど見えず残念でした。
荒川頭首工

山間から平野部に流れ出た荒川の川幅も広く水量も多い場所が、丸山大橋からさらに下流にある荒川頭首工付近ではないかと思います。
荒川沿岸土地改良区が管理する荒川頭首工は灌漑用水のための施設で、頭首工で荒川の水を堰き止めて水位を高くし、荒川地区と神林地区の農地に農業用水を供給しています。また、荒川の水は胎内市の一部の上水道としても利用されています。
荒川下流部

荒川は鮎釣りのメッカでもあり、自然遡上してくる鮎のほかに稚魚の放流も行っています。

雨の日でしたが、腰まで水に浸かり、熱心に鮎釣りをする漁師さんたちの姿がありました。

これは鮭漁に使われる舟でしょうか。鮎同様、荒川には秋になると鮭も遡上してきます。

9月下旬では鮭漁にはまだまだ早いはずですが、丁度小舟を操り、川に出る漁師さんに出くわすことができてラッキーでした。

静かで長閑な風景に出会いました。今頃は荒川の鮭漁も始まっている頃でしょうか。

上流部は雨のために濁って見えましたが、水面に近づくと透明度の高いことに驚きました。

Dawn太もちょっと入水。下流部はとっても浅いのですね。

水飲み隊長・Dawn太にとっての荒川は、美味しいよりも楽しいところだったようです。
おしまいに
新潟県内では唯一県の名水に選定されている清流荒川を、県内側の上流部から下流まで追ってみました。生憎の雨で荒川の水は濁り、清流の持ち味が発揮できない写真ばかりですが、山間を蛇行しながら平野で広がり流れる様子を実際に捉えながらの名水旅は、そこに湧く名水を訪ねる旅とはまた一味違い、新たな発見もあって楽しかったです。
地域に守られ、育てられ、活用されている荒川。そろそろ始まる紅葉シーズン、鮭漁シーズンを迎え、荒川周辺は今年の秋も人気スポットとなっていることでしょう。
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