【城ノ腰の清水】三条市|Dawn太と名水Part73
三条市吉ヶ平地内にある新潟県の名水「城ノ腰の清水」を訪ねました。
実はこちらの名水地、至る新潟県道183号鞍掛八木向線(葎谷地内)が6月頃まで冬期閉鎖となるため、知らずに出掛けた4月中旬の段階で一度断念しています。せっかく下田まで来ていることもあり、その日は予定変更で、県道183号入ってすぐにある嵐渓荘の真木の清水を訪ねたという経緯があります。
昭和45年をもって無くなってしまった吉ヶ平の集落。その生活を支えた清水、秋になってようやく訪ねることができました。

現在68か所ある新潟県の名水
新潟県では昭和60年頃より、地域で親しまれている湧水などを新潟県の名水として選定し、水環境の保全を推進しています。
平成18年度には、県の名水の中でも特に優れていると認めた杜々の森湧水(長岡市)、龍ヶ窪の水(津南町)、宇棚の清水(妙高市)、大出口泉水(上越市)、吉祥清水(村上市)の5か所を新潟県の「輝く名水」として認定。さらに平成30年度には新たに、この度の城ノ腰の清水を含んだ5か所を加え、現在68か所が県の名水として選定されています。
城ノ腰の清水湧く吉ヶ平

三条市街地から車で1時間弱の距離にある吉ヶ平。五十嵐川の支流・守門川の上流に位置し、その昔、源氏の落人が移り住み、明治末期まで旧街道「八十里越」の玄関口として栄え、昭和45年に800年の歴史を閉じた集落です。今でも山中には源氏の名を刻む墓石などを見ることができます。
現在の吉ヶ平は、かつて吉ヶ平分校があった場所が2015年9月に吉ヶ平自然体感の郷となり、吉ヶ平山荘、釣堀、キャンプ場、ビオトープなどの施設が設けられています。守門岳の登山や古より続く八十里越の歴史ロマンを感じるベースキャンプとして、また自然豊かな雨生ヶ池、大池などへのハイキングの拠点にもなっています。
写真中央部に見える茶色い建物が、2016年に建て替えられた吉ヶ平山荘です。実はそれ以前の2008年に秋の雨生ヶ池を散策したブログ記事が残ります。当時の記事にも吉ヶ平山荘の名は出てきますが、その当時は廃校になった校舎がそのまま使われていたと記憶しており、周辺地もこんな風に整備されてはおらず、現地に着いた当初は全く初めての場所に来たような気分でした。

神秘なる池にて♪
下田が育む千年悠水の源泉はどこ?という疑問から始まった次なる山歩き下田の道の駅にて、初めて食べたひこざぇんでお腹を満たし、食後に飲んだコーヒーに使われていた千年悠水にさらなる疑問を抱いてしまった私...
新たに「新潟県の名水」に選定された城ノ腰の清水

吉ヶ平山荘が建つ広場より一段高い場所に、城ノ腰の清水への案内があります。
ここが守門岳の登山口であり、Dawn太の後ろに見える茶色い箱に登山届を入れるようになっていました。目的の清水は、キャンプ場、ビオトープの矢印に沿って行くとすぐあります。

平成30年度(2018年9月10日)新たに「新潟県の名水」に選定された城ノ腰の清水です。水量豊富な湧水を誰もが利用できるよう、登山道入口近くに水場が整備されています。
城ノ腰の清水は吉ヶ平自然体感の郷でも利用されている湧水で、その水源は守門岳に至る登山道ドンデ平の山間にあります。かつて八十里越の起点であった吉ヶ平集落において、集落が存在していた昭和45年まで全世帯の生活用水となっていたのも、この城ノ腰の清水です。
私たちが到着した時、男性二人がここで喉を潤し、長椅子に座って休憩をとっているところでした。
湧水巡りをしているとマナーの悪い人に出くわすこともありますが、この時の男性たちはとても紳士的で、「旨い水ですよ、どうぞ飲んでください。」と仰って場所を譲ってくださいました。

平成30年度「新潟県の名水」選定
- 場所:三条市吉ヶ平
- データ:水量 毎分23L|硬度 18|PH 7.5

とても冷たく、少し甘味を感じるような湧水でした。
八十里越は、吉ヶ平から御所平・鞍掛山の難所を経て福島県南会津郡叶津に至る八里(およそ32km)の道のりのことです。峠道は極めて過酷で、八里の道がその10倍にも感じることから八十里越の名があります。
八十里越の宿場町として吉ヶ平が賑わった時代、城ノ腰の清水は険しい峠を越えてきた多くの旅人の喉をうるおし、疲れを癒した甘露であったことでしょう。
城ノ腰の清水周辺の様子など
吉ヶ平は奥早出粟守門県立自然公園の一部に含まれています。新潟県下に13ヶ所ある県立自然公園の中で最大の34,155haという面積を誇り、主峰守門岳のゆるやかな北西斜面とはまた違った急なU字型の旧火口壁を望めるなど、自然豊かな地域です。
城ノ腰の清水周辺で出会った風景など、少し切りとってみました。
炭焼き小屋

城ノ腰の清水とキャンプ場の間に今時珍しい炭焼き窯があり、炭焼き職人さんたちがお仕事の真っ最中でした。
完成した炭は吉ヶ平自然体感の郷で使用されるほか、販売もされているようです。週末になると炭焼き体験もできるとか。
守門川

吉ヶ平自然体感の郷のすぐ脇を流れる守門川。嵐渓荘付近で見る守門川とはまた違った、上流部らしい景色が広がります。

近年になって完成した砂防堰堤が印象的です。
この守門川第一号堰堤から下流の第七号堰堤までの区間、吉ヶ平フィッシングパークが管理する釣り場となっており、キャッチ&リリースで川釣りをたのしむこともできます。

Dawn太がいるのは守門川に架かる樽井橋です。ここから坂道を登って700mほど行くと馬頭跡の石標があり、二股になった道を左に行けば雨生ヶ池へ、右に行けば八十里越の鞍掛峠に至る道になります。(上記ブログカードに石標の写真があります。興味のある方はご覧になってみてください。)
吉ヶ平の秋

樽井橋のすぐ脇に、真っ白な花が見頃なそば畑が広がっていました。

大自然の中にある山間のそば畑では、自然と蝶が集まって受粉してくれるのですね。最近では見たことないくらいのたくさんの蝶に、吉ヶ平のそば畑で出会うことができました。

そして、秋といったら栗も!山栗なので少し実は小ぶりですが、見上げるような大木にたくさんの栗が成っていました。
パピーの頃に痛い思いをしてからイガ栗に挑むことの無くなっていたDawn太が、飼い主が蹴り出すイガイガに挑んでいる姿も久しぶりでした(笑)

おしまいに
名水を求めて十数年ぶりに訪ねた吉ヶ平の地。大自然の中にいると思うと、ついつい愛犬を連れての散策時間も長くなってしまいます。本題以外でも楽しめる場所でした。
これからの紅葉シーズンも美しい景色が広がる地域です。しかし、昨年・今年と熊の餌になる木の実が全くの不作だそうで、県内各地で熊が出没し人間を襲うという被害が出ています。吉ヶ平は標高400mほどの山間地なので、熊が活動する時間帯を避け、熊鈴を携帯するなど対策を行って楽しんでください。
そして冒頭でも申し上げましたが、吉ヶ平自然体感の郷へ向かう新潟県道183号鞍掛八木向線は、吉ヶ平側の5kmほどに冬季閉鎖区間が設けられています。例年閉鎖になるのは、11月中旬から翌年6月頃まで。至る道は車一台がやっと通れる細い舗装道路になっていますので、行き帰りも安全運転でお願いします。
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