新時代に思いを寄せ 平成最後の日に味わう「江口だんご」の長岡醤油赤飯|長岡市
「令和」の時代がはじまり、すでに半月が経とうとしています。
人生二度目の経験となる、元号を跨ごうとしていた平成最後の日。前回には体験したことの無かった、新しい時代「令和元年」を迎えるという高揚感と、この日の夕刻に行われようとしていた「退位礼正殿の儀」を厳粛に受け止め、大きな節目となるこのような日には、日本のお祝い事には欠かせない「お赤飯」をいただくのもまた良いのではないかと考え、長岡にある老舗店を訪ねました。
長岡の赤飯は全国的にも珍しい「赤くない赤飯」ですが、ちゃんとお祝いの席にも出される一品なんですよ。

明治35年創業の老舗菓子舗「江口だんご」

お邪魔したのは、明治35年(1902年)創業の老舗店である江口だんごさん。本店の店舗は二棟の古民家を再生利用し、平成17年(2005年)に完成した趣あるものです。
店舗一階が販売所、二階が喫茶となっていて食事などできますが、この日は一時間待ちの状態で大盛況でした。

ようやく案内された二階の喫茶。再生に利用した古民家は豪雪地帯にあったものなので、頭上近くに極太の梁がみえ、何とも言えぬ迫力を肌で感じられる建物です。

店舗全体が大解放の吹き抜け天井になっています。二階にある喫茶もプライベート感はなく、全ての様子が見渡せる感じの造りです。

場所によっては、二階にある喫茶席から販売所の様子が見下せます。一階販売所横の作業場では、ガラス越しに延々と、笹団子を包む作業風景を見学することができます。GW中で、買い物した商品の受け取りも40分待ちとの案内がありましたが、その手作業を眺めているだけでも、良い時間潰しになりそうでした。
この日も、おやつ時にようやく昼食となった私たち。店内非常に混んでいるようでいて、席に着けば12分もすると順次料理が運ばれてきて助かりました。
長岡赤飯御膳(1,000円)
長岡地域特有の「醤油赤飯」と、越後の郷土料理「のっぺ」が組み合わさったランチメニューです。

先に運ばれてくる「前菜」。こんにゃくは定番の一品。今回は「うるい」が春を演出していました。
赤飯の提供まで、多少待ち時間が必要になります。しかし、あまり待たずに先付けが出されるので胃袋の準備体操にもなり、精神的にも待たされた感なくスムーズに食事が始められるのは、接客の上手さだと思います。

先付けをいただいてしばらくする頃、本膳が運ばれてきます。

ひさごの蓋を開けると、中からは香の物が。汁物椀には「のっぺ」が入っています。

江口だんごの長岡赤飯
これが長岡名物「醤油赤飯」です。江口だんごさんでは「長岡赤飯」と呼び、アツアツの蒸したてで提供してくださるので、少しばかり待ち時間が必要になるメニューです。
一般的な赤飯には「ささげ」や「小豆」が入っていますが、江口だんごさんの醤油赤飯には金時豆が入っているというのも変わっていますよね。長岡の赤飯に醤油が使われているのは、赤飯を炊く時に使う「ささげ」が高価で使えなかったためとか、摂田屋など醸造の町があり、古くから醤油造りが盛んだったからなどといった説があるようです。金時豆はささげの代替品だったのでしょう。
味わいも一般的な赤飯とは違い、少し甘めながらも奥行きがあって食べ飽きないように思います。
新潟市で生まれ育った私は、ずっと一般的な赤飯を食べて育ちました。同じ県内であっても、醤油色の赤飯を食べるのは長岡の人たちだけのようです。さらに言うと、小学生の時に長岡から転校して来た男子の方言が特有で、あれ?「長野」から転校して来たんだっけ?と思うくらいに、同県に住まいながら違う言葉を話していたことが思い出されます。ここにだけ、特有な文化が根付いているのでしょうね。

小鉢は、定番となっている白和え。同じ白和えでも季節によって使われている食材が違い、今回は菜の花入りでした。

甘味は、江口だんごさんご自慢の笹団子半分。きな粉にまぶされてセットされていました。
全てが上品な味わいで、大満足の「長岡赤飯御膳」です。

今どき、箸置きを添えてくれるお店も貴重ですが、江口だんごさんで使われている箸置きはオリジナル品で可愛いのです。お団子類と一緒に、一階の販売所でも売られています。
見るなり、「可愛い!これ欲しい。」と騒いでいた末っ娘…。確か最初に来た小学生の時にも、同じことを言っていましたっけ(笑)大きくなったんだから、自分のお小遣いで買いなさいね!
せっかくここに来たのだから、忘れずこれも食べて行かなきゃ!
お抹茶セット(700円)

餡子・抹茶・胡麻・みたらし・海苔。お店ご自慢の5色だんごと抹茶がセットになっています。

同じ5色だんごで、村上煎茶のセットも同価格です。だけど江口だんごさんに来たのなら、ここは是非、抹茶でお願して欲しい!

何故なら、茶を点てるため専門の従業員さんがいるお店だから。略式ですが、目の前でお点前が拝見できる良いチャンスですよ。
おしまいに
お堅そうな書き出しで始まっておきながら、結局、平成最後の日も美味しかったという単純な話でした(笑)。だけど平成が始まった頃、こんなに大食いな私では無かった。この30年で一体何が(爆)
老舗店はいつ伺っても、安定した美味しさや安心感、懐かしさがあります。それを求め、GW中に帰省して来た人たちでさらに賑わうのでしょう。
赤飯はできたてが美味しいので、待ち時間を考慮し、喫茶でゆったりと食べることをお薦めします。しかし、お団子は店頭渡しで購入し、すぐに食べるのがより美味しいと思います。お餅やお団子などあまり好まなかったはずの私が、江口だんごさんで食べたのがきっかけとなり、GW後半ずっと餅モチ生活になってしまいました。
新しい時代も、正しく美味しいものにたくさん出会えますように。ご馳走様でした。
江口だんご本店
- 住所:新潟県長岡市宮本東方町52-1 ※Google Map
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