早出川ダム|五泉市
2018年11月21日
久しぶりにお天気に恵まれた日曜日。紅葉には少し間に合いませんでしたが、開放的な景色を求め、山奥へと向かいました。

早出川の改修事業は、中小河川修復事業として昭和7年(1932年)より下流延長約10㎞にわたり施工され昭和11年(1936年)に完成していますが、以後は改修工事が行われることなく、疎通流量も毎分800立方m程度のままでした。しかし昭和33年(1958年)以降、36年、41年、42年と、相次いで起こった集中豪雨によって流域が甚大な被害を受けたため、早出川の治水計画が再検討され、ここに早出川ダムが建設されることとなりました。
工期は昭和46年(1971年)から昭和55年(1980年)までの10年間。ダム建設にかかった事業費は113億円です。


竣工当時の県知事であった君健男氏揮毫のダム碑

天端は徒歩のみ通行可能になっています

天端には、50m毎に葉っぱが描かれていました。イチョウの葉がこの地らしい!
早出川ダムの計画高水流量毎秒970万立方mのうち、毎秒610万立方mの洪水調節を行い、五泉市・新潟市への洪水防除を行っています。

早出川ダムは、越流設備に2門のクレストゲート、放流設備に2門のコンジットゲートを備えています。
前日は雨だったこともあり、常用洪水吐き(コンジットゲート)から、ゴウゴウと放流されていました。
通常、毎秒300立方m程度が下流に放流されています。

天端を歩き始めて150m付近、この辺りに非常用洪水吐設備があります。

ゲート室のような突起物が無く、フラットでスッキリしていました。

非常用洪水吐真上より
4月1日~9月20日までの灌漑期には、早出川沿いの水田1,492.3haに対し160万立方mの灌漑用水の補給を行い、農業経営の安定化を図っています。

そこで必要となるのが、漏水を防ぐために取り付けられた「水密ゴム」と呼ばれるものです。
簡単にいうと、皆さんも良く知るところの「ゴムパッキン」の大型版ですね。
水密ゴムは、ゴムの断面の形状から「P型ゴム」「L型ゴム」「ケーソン型ゴム」など様々あります。
早出川ダムのクレストゲートには「L型水密ゴム」、コンジットゲートでは「ケーソン型水密ゴム」が採用されています。
コンジットゲートの「ケーソン型水密ゴム」は、建設当時としてはまだ珍しかった圧着方式の「ダブルケーソン型止水ゴム」を開発して採用してあり、ほかのダムでは殆どみられない特殊なものになっています。この方式により、操作時間が短縮されるという利点につながります。
※県サイトに詳しい解説が載っています、興味のある方は こちらをご参照ください。
下に見える施設は田川内発電所(たこうじはつでんしょ)です。
貯留した流水を利用し、最大毎秒12立方mを取水して田川内発電所へと導入し、最大7,100kwの発電を行っています。

▲天端の長さは240m!
そろそろ県内は冬モードに突入することもあり、危険が予報される各所で、立ち入り禁止箇所が設けられていました。

▲標高192.5mよりの眺め
季節が良いと、発電所前付近へも通行可能らしいのですが、そちらも立ち入りが禁止されており、堤体の全容を見上げることはできませんでした。

▲冬枯れの山々が映る名もなきダム湖

天端を戻ります。
右奥(右岸側)に見えているのは、早出川ダム管理所です。ダム周辺には船窪山、長峰山の2つの雨量観測所があり、緊急の際には、12の警報局がアナウンスや警報で市民に伝えるシステムが整っています。

▲早出川ダム取水設備を上流部より望む
朱塗りの表面取水ゲートが印象的ですが、さらに左側に予備ゲート、クレストゲートが並んでいます。表面取水ゲートは、昭和54年(1979年)10月(株)丸誠重工場製。
早出川ダム管理所でダムカードを配布しています。

早出川ダム Ver1.2 (2015.11)
ダムの右岸側には、小さな公園と駐車場が完備されています。

▲公園内にある早出川ダムの竣工記念碑
こちらも当時の県知事であった君健男氏による揮毫です。

ダムの上流部・下流部に1箇所ずつ、今流行りの(⁉)顔出しパネルが置かれています。
世界に一つだけのオリジナルダムカード風に記念撮影ができます。

公園内に散り残った黄葉が綺麗でした。
ダムの周辺地には、岩肌が衣のひだのように見える「衣岩」や、清らかな流れの「夫婦滝」「不動滝」など、見所が点々とあります。こちらも紅葉時期には、さぞ綺麗だったことでしょう。
Sunday, November 18, 2018|Dawn太 生後1,364日
早出川ダム
阿賀野川水系早出川の上流に位置する早出川ダムは、「洪水調節」「特定かんがい用水」「水力発電」を目的に建設された、新潟県が管理する多目的ダムです。
早出川ダム概要
その源を、標高1,257.4mの矢筈岳(やはずだけ)に発する早出川。渓谷を流下し、杉川・仙見川を合わて五泉市・新潟市を流れ、やがて阿賀野川へと合流する、流路延長44.8㎞の一級河川です。早出川の改修事業は、中小河川修復事業として昭和7年(1932年)より下流延長約10㎞にわたり施工され昭和11年(1936年)に完成していますが、以後は改修工事が行われることなく、疎通流量も毎分800立方m程度のままでした。しかし昭和33年(1958年)以降、36年、41年、42年と、相次いで起こった集中豪雨によって流域が甚大な被害を受けたため、早出川の治水計画が再検討され、ここに早出川ダムが建設されることとなりました。
工期は昭和46年(1971年)から昭和55年(1980年)までの10年間。ダム建設にかかった事業費は113億円です。

DAM-DATA
早出川ダム(昭和54年|1979年5月竣工)
- 場所:五泉市小面谷
- 河川:阿賀野川水系早出川
- 形式:重力式コンクリートダム
- 規模:堤高 82.5m|堤頂長 240m|総貯水容量 1,490万立方m

竣工当時の県知事であった君健男氏揮毫のダム碑

天端は徒歩のみ通行可能になっています

散策開始~♪
天端には、50m毎に葉っぱが描かれていました。イチョウの葉がこの地らしい!
1.排水調節

早出川ダムの計画高水流量毎秒970万立方mのうち、毎秒610万立方mの洪水調節を行い、五泉市・新潟市への洪水防除を行っています。

早出川ダムは、越流設備に2門のクレストゲート、放流設備に2門のコンジットゲートを備えています。
前日は雨だったこともあり、常用洪水吐き(コンジットゲート)から、ゴウゴウと放流されていました。
通常、毎秒300立方m程度が下流に放流されています。

天端を歩き始めて150m付近、この辺りに非常用洪水吐設備があります。

ゲート室のような突起物が無く、フラットでスッキリしていました。

非常用洪水吐真上より
2.特定かんがい用水

4月1日~9月20日までの灌漑期には、早出川沿いの水田1,492.3haに対し160万立方mの灌漑用水の補給を行い、農業経営の安定化を図っています。

早出川ダム豆知識
ゲート全閉時は水を下流側に漏らすことなく、完全に遮水しなければならないのがゲートの役目。そこで必要となるのが、漏水を防ぐために取り付けられた「水密ゴム」と呼ばれるものです。
簡単にいうと、皆さんも良く知るところの「ゴムパッキン」の大型版ですね。
水密ゴムは、ゴムの断面の形状から「P型ゴム」「L型ゴム」「ケーソン型ゴム」など様々あります。
早出川ダムのクレストゲートには「L型水密ゴム」、コンジットゲートでは「ケーソン型水密ゴム」が採用されています。
コンジットゲートの「ケーソン型水密ゴム」は、建設当時としてはまだ珍しかった圧着方式の「ダブルケーソン型止水ゴム」を開発して採用してあり、ほかのダムでは殆どみられない特殊なものになっています。この方式により、操作時間が短縮されるという利点につながります。
※県サイトに詳しい解説が載っています、興味のある方は こちらをご参照ください。
3.水力発電

下に見える施設は田川内発電所(たこうじはつでんしょ)です。
貯留した流水を利用し、最大毎秒12立方mを取水して田川内発電所へと導入し、最大7,100kwの発電を行っています。

▲天端の長さは240m!
そろそろ県内は冬モードに突入することもあり、危険が予報される各所で、立ち入り禁止箇所が設けられていました。

▲標高192.5mよりの眺め
季節が良いと、発電所前付近へも通行可能らしいのですが、そちらも立ち入りが禁止されており、堤体の全容を見上げることはできませんでした。

▲冬枯れの山々が映る名もなきダム湖

天端を戻ります。
右奥(右岸側)に見えているのは、早出川ダム管理所です。ダム周辺には船窪山、長峰山の2つの雨量観測所があり、緊急の際には、12の警報局がアナウンスや警報で市民に伝えるシステムが整っています。

▲早出川ダム取水設備を上流部より望む
朱塗りの表面取水ゲートが印象的ですが、さらに左側に予備ゲート、クレストゲートが並んでいます。表面取水ゲートは、昭和54年(1979年)10月(株)丸誠重工場製。
ダムカード

早出川ダム管理所でダムカードを配布しています。

早出川ダム Ver1.2 (2015.11)
ダム周辺の様子

ダムの右岸側には、小さな公園と駐車場が完備されています。

▲公園内にある早出川ダムの竣工記念碑
こちらも当時の県知事であった君健男氏による揮毫です。

ダムの上流部・下流部に1箇所ずつ、今流行りの(⁉)顔出しパネルが置かれています。
世界に一つだけのオリジナルダムカード風に記念撮影ができます。

公園内に散り残った黄葉が綺麗でした。
おまけの「夫婦滝」

ダムの周辺地には、岩肌が衣のひだのように見える「衣岩」や、清らかな流れの「夫婦滝」「不動滝」など、見所が点々とあります。こちらも紅葉時期には、さぞ綺麗だったことでしょう。
Sunday, November 18, 2018|Dawn太 生後1,364日
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