砂丘館(サテライト会場周辺) ~水と土の芸術祭2018-PartⅨ~

Byそふぃあ

 ----- Saturday, September 1, 2018 ----------
私も22年間新潟市民でしたが、子どもの頃は行動範囲も限られ、学生時代になるとバス通学、免許を持てば歩くことも少なくなるので、こういうイベントの時、行ってみたかった場所を、徒歩で散策できるのも楽しみの一つでした。

展示会場には駐車場が無いため、最寄りの有料駐車場に停めて歩き出し、カメラに収めてみたかった場所を、ようやく撮影することができました。

異人池とどっぺり坂
▲異人池とどっぺり坂
現在の噴水が設けられた場所から道路を挟んで向かい辺りには、砂丘から湧き出す地下水によってできた、大小2つの池がありました。

今から150年近くも前のこと、町と海の間には砂丘地帯が広がっていました。
港町ゆえ、海外から神父さんが盛んにやって来ては教会を建て、生活水のために教会脇の窪地に井戸を掘ったところ、勢いよく水が噴き出して大きな池になりました。
カトリック教会と池の周りのポプラ並木を水面に映したエキゾチックな風景は画材にもなり、また、市民憩いの釣り場や、冬にはスケート場としても親しまれていました。
池ができてから50年ほど経ったころになると、その水の湧き方も細くなり、次第に池も小さくなってしまいます。
戦中戦後の開発から、役目を終えた池は埋め立てられてしまい、町角には当時を偲ばせる噴水が残されています。

どっぺり坂
▲59段のどっぺり坂
語源の由来はドイツ語の「doppeln(ドッペルン):二重にするという意」

どっぺり坂
その昔、坂の上には旧制新潟高校(1919年)や、その後の新潟大学がありました。
その正面には六花寮という学生寮があり、学生たちが古町などの繁華街に通う近道として、この坂を盛んに利用していました。
学生の身分でそんなところにばかり通って、度が過ぎると落第するぞ!という戒めから、ダブるを意味する言葉をもじって「どっぺり坂」と呼ばれるようになりました。

ちなみに現在ある階段は、及第点の60に1つ足りない59段!。。。と、洒落ています。

どっぺり坂
開港五港のひとつである港町らしく、錨のモチーフが見られます。

砂丘館
どっぺり坂を上ったはす向かいに見えるのが、この度お邪魔する水土会場です。

新潟市を舞台に開催されている「水と土の芸術祭2018」
9回目となる今回は、サテライト会場周辺地である砂丘エリアの、砂丘館をご紹介します。

砂丘館
▲旧日本銀行新潟支店長役宅の砂丘館

大正3年(1914年)、全国で十番目の開設となった日本銀行新潟支店。
当初、支店長役宅は西堀前六番町にありましたが、柾谷小路拡張により現地に移転しています。
第8代から37代目まで、30名もの支店長が居住したこの役宅は、平成11年(1999年)に新潟市に所有権を移し、翌年6月より、芸術・文化施設として一般公開が行われています。

砂丘館
戦前の日銀役宅として現存するのは、昭和2年(1927年)建築の福島・御倉邸と、昭和8年(1933年)建築のこの砂丘館だけだそうです。
「水土」参加作品と同時に楽しめるので、とても嬉しいお宅拝見になりました。

砂丘館
▲家の中央を貫通するようにある中廊下
近代和風建築に特徴的なもので、接客・生活空間と家事作業スペースが明確に区分されています。



砂丘館
(砂17)遠藤利克 作 Trieb―畳・近代遠藤利克 Trieb―畳・近代
砂丘館には、四畳半の茶室風の部屋が三部屋設けられており、その1階四畳半の間いっぱいに、最初の作品はありました。
メイン会場の大かまで、地中からシンボリックな火を立ち上げた作品を展示されていた、同じ作家さんのものです。

同じく火を使った作品ですが、ここにあるのは火で焼かれた畳。
春の野焼きのように、一度焼いてしまうことで再生を意味しているそうです。

遠藤利克 Trieb―畳・近代
日本文化の象徴ともいえる畳を焼くことで、私たちの住む日本を見直し、問い正す意味合いを込め作品になっています。



役宅奥には移築された蔵があり、砂丘館ギャラリーとなっています。
新潟は大火のあった町。
火災に強い土蔵をここに置き、いざという時に金庫として使用する目的だったそうです。

(砂18)池内晶子 作 Knotted Thread
池内晶子 Knotted Thread
重い土蔵の扉の向こう、真っ暗な空間の中に「ポッ!」と一箇所スポットがあたり、真っ白な絹糸の芸術が空中に浮かび上がって見えた時、思わず「うわぁ~!」と声が出ました。

池内晶子 Knotted Thread
角度を変えて見ると、また違った姿が見えてきます。

池内晶子 Knotted Thread
これ全て、絹糸だけで作られた世界です。
何とも繊細で、女性作家さんらしい作品でした。



(砂19)山本糾 作 光・水・電気
山本糾 光・水・電気
蔵の二階部は、写真家さんのモノクロ作品で「新潟の水」を表現する新作が展示されていました。

山本糾 光・水・電気
▲山の下閘門排水機場

山本糾 光・水・電気

山本糾 光・水・電気
まさに、私のルーツと過去と現在。。。
1つ1つの写真が懐かしくて、どれを拝見しても涙が出そうでした。



(砂18/19)山本糾(Magnetic Field)× 池内晶子(Knotted Thread)山本糾(Magnetic Field)× 池内晶子(Knotted Thread)
土蔵にあった作家さん・写真家さん、お二人のコラボ作品です。

よく目を凝らしてみると、山本氏の写真ギリギリのところで、池内氏の85個の結び目を持つ絹糸が一本垂れています。
前作品もこちらも、使われているのは新潟産の絹糸だそうです。

山本糾(Magnetic Field)× 池内晶子(Knotted Thread)
たった一本、空間の磁界に沿って垂らされた絹糸。(磁石は南北を指すので)
そこから発せられた磁気により、動きをつくり出すような砂鉄の画像。

シンプルながら、不思議な世界が生まれていました。



(砂20)青木野枝 作 立山-2018/砂丘館
青木野枝 立山-2018/砂丘館
書院造の二階座敷に広がるのは、(鳥4)の旧栗ノ木排水機場にて、鉄の輪を繋ぎ合わせて「水」を表現していた、鉄を使った作品を生み出す作家さんの二作目です。

青木野枝 立山-2018/砂丘館
丸い素材を置くことで、四角い部屋がさらに強調されるようです。

青木野枝 立山-2018/砂丘館
床の間に置かれているのは、色とりどりに積み上げられた石鹸。
こちらも、四角いケースと丸い石鹸が空間をつくりあげています。

青木野枝 立山-2018/砂丘館
丸い水盤に映し込む、四角い窓枠とこの日の景色。
静寂や詫び錆びをも感じる、和室にも良く合って、心静かになれる落ち着いた作品でした。



一階に戻り、ここでちょっとティーブレイク。
砂丘館には、役宅当時の書斎部に売店、「茶寮六華」と名付けられた喫茶が設けてあり、庭を眺めながらの和室や、格式を感じる応接室などでお茶がいただけます。

砂丘館
玄関近くは接客の間が続くので、壁紙も高級感のある特別なものが使われていました。

砂丘館
我が家は応接室で!

砂丘館
ブルーベリーカシスジュース(400円)と アイスコーヒー(600円)
どちらも、砂丘館オリジナルクッキーをつけてもらった場合のお値段です。

砂丘館
「砂丘館」と名の付いたオリジナルクッキーは、どっぺり坂のすぐ下にあり、異国情緒漂う西大畑の町に良くマッチする店構えの洋菓子店「ヒロ クランツ」特製の焼き菓子。

砂丘館
ヨーロッパで学んだというオーナーが作る焼き菓子は、三者三様の風味と食感。
私は、ホロッ!と崩れて溶けてしまう、焼きメレンゲが美味しかったです。

砂丘館
何処の部屋からも、多様な視点で主庭が眺められるような造りになっています。

砂丘館
応接間の大正ガラスの向こうに見える、クロマツが印象的な主庭にも。。。



(砂21)古川知泉 作 Rain Tree(降り注ぐ恩寵)
古川知泉 Rain Tree(降り注ぐ恩寵)
阿賀野市(旧水原町)出身の生け花作家さんの作品は、雨上がりだった庭に、また雨が降り出したかのような景色が広がるものでした。

古川知泉 Rain Tree(降り注ぐ恩寵)
今年の夏は、極端に雨量の少なかった県内なので、苔の上に降り注ぐような細い糸は、慈雨を連想させます。

古川知泉 Rain Tree(降り注ぐ恩寵)
自然を知り尽くした華道家さんならではの、そこにあって不自然さの無い作品でした。

※砂丘館 観覧無料

古川知泉 Rain Tree(降り注ぐ恩寵)

※水と土の芸術祭2018
開催期間 2018年7月14日(土)~2018年10月8日(月)

水土2018-PartⅠ 鳥屋野潟エリア作品 →
     PartⅡ 屋外展示作品巡り →
     PartⅢ 万代メイン会場・前編 →
     PartⅣ 万代メイン会場・後編 →
     PartⅤ みずつちカフェと橋、私。 →
     PartⅥ 万代エリア(メイン会場周辺)→
     PartⅦ サテライト会場・前編 →
     PartⅧ サテライト会場・後編 →

関連記事

✽ Comments ✽ 0

There are no comments yet.

✽ Leave a reply ✽