牛方宿 ~千国街道・塩の道③~

Byそふぃあ

----- Saturday, August 25, 2018 ----------

塩の道に現存する 唯一の牛方宿

牛方宿
▲県宝 旧千國家住宅

この沓掛の牛方宿(千國正幸家旧宅)は、江戸時代の千国街道(糸魚川街道・塩の道)沿いの輸送に携わった、牛方(うしかた)や歩荷(ぼっか)が寝泊まりした宿です。
明治20年頃に新しく国道が開かれると、街道は次第に役目を終え、今では唯一、この建物だけが塩の道の貴重な証となっています。

この牛方宿は十九世紀初期の建築で、間口六間(約11m)、奥行十間(約18m)。
当時の民家としては柱の太さや本数、仕組みなどが極めて質の高いもの。幾度か改修が行われているようですが、当初と大きな変化のない貴重なものとして、平成9年(1997年)に小谷村有形文化財に指定。元治元年(1864年)の建物周辺配置を含む「千國又兵衛家相図」が残されており、これをもとに整備修復事業を実施した後の平成21年(2009年)に、長野県宝に指定されています。

当初の間取りをみると、座敷の入口に畳敷きの玄関があること、土間がかなり広いことが特徴で、母屋の西側に大きな牛小屋があり、往時の往来の多さを物語っているようです。

牛方宿
歩荷とは荷物を背負って運ぶ人たちのこと。
雪が降り始めてからの半年間は歩荷たちの出番で、通常一人一俵(47㎏)の塩を背負い、数人で雪の山を越えました。
雪の無い季節は牛方により、牛一頭の背に二俵ずつ積み、一人前の牛方になると、一人で一度に6頭あまりの牛を追いながら山越えしました。
平地では活躍してくれる馬も、山道となると踏ん張りが効かず、山犬や狼に襲われた時も逃げていまうとか。立ち向かってくれる牛は、牛方にとっても頼もしい相棒だったはずです。

街道に面した馬屋口から土間に入ると、左手側には牛や馬など五~六頭を泊めた馬屋があります。
その反対側の右手側土間には中二階があり、そこが牛方の寝床。
牛方は険しい山道を共にした牛たちを、ここから確認しながら休んだそうです。

牛方宿
▲台所に置かれた生活用具
牛につけた熊鈴や、歩荷が使った荷杖棒(にずんぼう)などが見えます。

牛方宿
千國勝太郎氏の時代は線香の製造・販売業を営んでいたらしく、茶の間には当時の看板が置かれていました。

牛方宿
母から娘へと受け継がれる、小谷の女性の仕事であった機織り。
こちらのお宅では、古布を裂いて再生する、ボロ織の展示がありました。

 牛方宿

牛方宿
▲次の座敷(10帖)
こちらのお宅にも、押絵雛や猫つぐらが展示されていました。
我が県にも同じように「つぐら」はあって、「ちぐら」と発音します。

牛方宿
▲上座敷(10帖)
客のおもてなしに使われたであろう屏風が展示されていました。

牛方宿
客間からの眺め

牛方宿
右にあるのが土蔵、左に泉水と水車、奥に塩倉が見えます。

牛方宿
明治29年(1896年)の文章で「牛、米ぬかと薪の代五厘、牛方は七銭、但し賄は別」というものが、大網地区に残っているそうです。
一人で六頭もの牛を連れて泊まるので、牛方とは別料金で、牛の宿泊料も徴収されたようです。

牛方宿
▲土蔵
内部は「塩の道ギャラリー」として再利用され、公開されています。

牛方宿
土蔵正面のコテ絵

牛方宿
土蔵裏手側

牛方宿
お屋敷の中からも見えた牛方水車。
宿から5分ほどの距離にも、牛方や牛馬の水飲み場であった弘法の清水があります。

牛方宿
▲塩倉

この塩倉は牛方宿とともに、旧街道に現存する唯一の建物で、千国街道の信州側入口に位置する大網にあったものを、平成19年(2007年)現在地に移築・復元しています。
築年数は不明ですが、階下大戸と袖壁が和釘止になっていることから、幕末に建てられたものと考えられています。

間口二間一尺(約4m)、奥行三間(約5.5m)、半地下式の建物で、上階は塩の保管、下階は牛を繋いだといわれ、建設当初、屋根は茅葺の寄棟で、壁は土壁だったことが確認されています。
建物は塩による金属の腐食を防ぐため、板壁を使い、小さな鼻栓で板を固定しているのが特徴です。

今でも梅雨時になると、下階の天井から塩気が噴き出すそうです。

牛方宿
塩倉から少し行ったところに、道祖神と「塩の道」の案内板

牛方宿
▲千国街道(塩の道)

手綱をつけ、一度に六頭もの牛を追うので、狭い道では牛たちが怖がって歩かないため、九尺(約2.7m)もの幅が確保され、歩きやすいように整備されています。

牛方宿
▲千国街道上から望む牛方宿

牛方宿
牛小屋や鞍置き場。。。往時は牛方宿の向かいにも、28坪にもなって関連家屋がありました。

牛方宿
駐車場脇のトイレには「熊出没」の注意喚起。。。確かにここなら、出てもおかしくないです。
本当に山深い場所にあり、牛方の苦労が偲ばれました。

牛方宿
牛方宿(旧千國家住宅)
時間 9:00~16:30
休館 火曜日(祝日の場合は翌日) / 冬季(11下旬~4月下旬)
料金 一般300円 / 中学生以下無料

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