都野神社にある小林源太郎の彫刻|長岡市与板
2014年07月03日
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先に御朱印記事として登場した都野神社。この度は小林源太郎が本殿に残したという、その彫刻を取り上げてみたいと思います。

楽山亭でもお馴染みの、回船問屋・大坂屋(三浦家)をはじめ、多くの豪商の奉賛を受け再建された社殿ですが、その際、彫刻を一身に負い完成したのが、当時代の名匠・熊谷宿の小林源太郎でした。源太郎を懇望して招くことができたのは、大坂屋などの力によるものでありますが、豪商の中の一人である丸津の備前屋・中川正甫は、源太郎を3年も与板に留めて彫刻をさせた施行者で、その時に源太郎自身が明細に記録したという「八幡宮御本社彫物仕用」も残されていて、本殿彫刻と共に貴重なものとして保存されています。
文化財に指定の源太郎彫刻は本殿にあるといいますが、拝殿向拝の彫刻も見事でした。

向拝蟇股には「子引き亀」の彫刻

波間には、少なくても5匹の亀が彫り込まれていて、うち数匹は長く尾を引く蓑亀。そしてその他に、さらに耳の付いた玄武らしい1匹の霊獣が見られます。
神社には、防火や火伏のまじないの彫刻が施されている場合もあり、波や亀もそのうちの1つです。しかし火伏せの意味だけでなく、水の守護を祀った社でもあるので、同じ水の神・玄武が彫り込まれたのかと、個人的に想像しながら拝見しました。



現在は保護のため、覆屋根が設けられていますので、そこから垣間見るように彫刻鑑賞です。

源太郎の力作である向拝、そのお楽しみは最後に取っておいて!
三間社流造、正面千鳥波風、唐波風。総欅造り。桧皮葺の屋根が時代を感じさせます。

屋根に「組平井筒」の紋が見られます。以前に頂戴した御朱印にもみられるように、神紋は宗像大社の御神木である「楢」があしらわれているのですが、また別の紋がみられ、無知な私にはちょっと不思議な感じがしました。

波間には、菊やカエデという秋のモチーフが多く見られます。
また、神社にある獅子狛犬のように、本殿に向かって右面は口を開けた「阿」、向かって左面には口を閉じた「吽」の動物たちの構図になっていました。

人が彫られたのはここだけ。脇障子には物語を感じます。

【千鳥波風】


【蟇股】上段には「上り下りの鯉」


彫り物ではよく見掛ける獅子と牡丹の構図。精巧な花びらに可愛い子獅子が印象的。


そしていよいよ、メインともいうべき向拝部分です。

三面ある向拝蟇股の左右には雲と麒麟。

その下には波と千鳥があしらわれています。

中央蟇股には、源太郎の最高傑作ともいわれる「子引龍」が見事です。


唐波風部分には鳳凰

源太郎が、3年の歳月を掛け作り上げた傑作。圧巻です。
是非、望遠鏡や望遠レンズ持参で、細部までしっかりとご覧になることをオススメいたします。

--- Sunday, June 15, 2014 ---
与板郷の総鎮守「都野神社」
都野神社は式内社に推いされ、八幡宮とも呼ばれる与板郷の総鎮守です。天保7年(1836年)の大火で社殿を焼失し、現本殿は天保11年(1840年)に再建、拝殿・幣殿は嘉永元年(1848年)に再建されたものです。
楽山亭でもお馴染みの、回船問屋・大坂屋(三浦家)をはじめ、多くの豪商の奉賛を受け再建された社殿ですが、その際、彫刻を一身に負い完成したのが、当時代の名匠・熊谷宿の小林源太郎でした。源太郎を懇望して招くことができたのは、大坂屋などの力によるものでありますが、豪商の中の一人である丸津の備前屋・中川正甫は、源太郎を3年も与板に留めて彫刻をさせた施行者で、その時に源太郎自身が明細に記録したという「八幡宮御本社彫物仕用」も残されていて、本殿彫刻と共に貴重なものとして保存されています。
文化財に指定の源太郎彫刻は本殿にあるといいますが、拝殿向拝の彫刻も見事でした。

向拝蟇股には「子引き亀」の彫刻

波間には、少なくても5匹の亀が彫り込まれていて、うち数匹は長く尾を引く蓑亀。そしてその他に、さらに耳の付いた玄武らしい1匹の霊獣が見られます。
神社には、防火や火伏のまじないの彫刻が施されている場合もあり、波や亀もそのうちの1つです。しかし火伏せの意味だけでなく、水の守護を祀った社でもあるので、同じ水の神・玄武が彫り込まれたのかと、個人的に想像しながら拝見しました。


都野神社本殿
拝殿と共に再建された幣殿脇を抜けると、その奥には天保11年(1840年)再建の荘厳な本殿が見えてきます。
現在は保護のため、覆屋根が設けられていますので、そこから垣間見るように彫刻鑑賞です。

源太郎の力作である向拝、そのお楽しみは最後に取っておいて!
三間社流造、正面千鳥波風、唐波風。総欅造り。桧皮葺の屋根が時代を感じさせます。

屋根に「組平井筒」の紋が見られます。以前に頂戴した御朱印にもみられるように、神紋は宗像大社の御神木である「楢」があしらわれているのですが、また別の紋がみられ、無知な私にはちょっと不思議な感じがしました。

都野神社本殿にみられる源太郎作品
本殿側面には、大きく三段にわって蟇股彫刻がみられ、その間の板面や梁などにも細かな彫刻が無数に施されています。波間には、菊やカエデという秋のモチーフが多く見られます。
また、神社にある獅子狛犬のように、本殿に向かって右面は口を開けた「阿」、向かって左面には口を閉じた「吽」の動物たちの構図になっていました。

人が彫られたのはここだけ。脇障子には物語を感じます。

【千鳥波風】


【蟇股】上段には「上り下りの鯉」


彫り物ではよく見掛ける獅子と牡丹の構図。精巧な花びらに可愛い子獅子が印象的。


そしていよいよ、メインともいうべき向拝部分です。

三面ある向拝蟇股の左右には雲と麒麟。

その下には波と千鳥があしらわれています。

中央蟇股には、源太郎の最高傑作ともいわれる「子引龍」が見事です。


唐波風部分には鳳凰

源太郎が、3年の歳月を掛け作り上げた傑作。圧巻です。
是非、望遠鏡や望遠レンズ持参で、細部までしっかりとご覧になることをオススメいたします。

--- Sunday, June 15, 2014 ---
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