諏訪神社に残る小林源太郎の彫刻|津南
2014年08月17日
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津南町岡集落に鎮座する諏訪神社
全国名水百選にもなっている竜ヶ窪への西側、津南のひまわり畑から僅かばかり車で走った先にある岡集落。その入り口、少し小高い場所に鎮座する諏訪神社にお邪魔しました。

脇障子には、諏訪神社の社紋である「梶の葉」を模したものが大きくはめ込まれ、とても印象的でした。

神社の創建などについては一切不明なのですが、ここの社殿には石川雲蝶と並び証された江戸時代の名工・小林(熊谷)源太郎の彫刻が施されています。

近隣に残る源太郎の作品と比べてみて、その作風に類似点が多いことからも、古くから彫刻は、源太郎作と言い伝えられてきました。しかし、平成15年(2003年)から行われた調査において、社殿屋根裏から棟札が見つかっており、そこには大工、木挽、彫刻職人の名が明記されていて「彫工 熊谷源太郎」の文字があったことから、岡集落が源太郎を招き入れ、彫刻を作成していたことが史実として判明しました。
あわせて、同神社氏子総代の自宅からは、源太郎が制作費を受け取ったという直筆の「代金受領証」も見つかっていて、「嘉永元年五月十六日 武州熊谷宿 小林源太郎」と記されており、資料の裏付けがある源太郎作品は県内でも珍しく、彫刻、棟札、受領証の三つが、平成17年4月に町の指定文化財になっています。
雲蝶作品には、はっきりと銘が刻まれたもの、中には遊び心で彫刻の人物が読んでいる巻物に銘が刻まれいたりしますが、源太郎作品には銘の無いものも多く、県内に残された作品も多いはずなのに、いまだに発掘されていない作品も多いのだと思うと、とても残念で勿体無いことだと思います。
岡 諏訪神社にみる源太郎作品

諏訪神社向拝は得意とする龍を中心に、源太郎ワールドが満載でした。

向拝蟇股には、上下段に渡って龍が施されていました。

メインの向拝蟇股には、お得意の子引き龍が!

この龍の表情、まさに源太郎作品です。

拝懸魚の鳳凰もお馴染みのスタイル、表情です。釘が見えるのが痛々しい。

そして、獅子と獏をあしらった木鼻が柱を飾ります。



波の中には亀…でなく、ここでは千鳥が舞っていました。


亀はいませんでしたが、両手狭の中に玄武が彫り込まれていました。



おしまいに

手水鉢にも津南の綺麗な水が流れ込んでいるのでしょう。雨上がりでしっとりしていたこともあり、とても厳かな雰囲気を持つ神社でした。
--- Saturday, August 9, 2014 ---
参考:木原尚 著「越後の名匠 石川雲蝶」
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