【天然炭酸水】奥会津|Dawn太と名水Part64
2017年05月26日
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ずっと気になっていた国内でも珍しい名水の存在
名水巡りをするようになり、ずっと気になっていた、国内でも珍しい水がありました。その存在を知ったのは、もう1年ほど前のこと。ローカル番組の中、お隣の福島県内には、天然の炭酸水が湧き出す場所があると!
すぐにも行ってみたかったのですが、昨年も猛暑が酷く、井戸も渇水状態との情報。
水量が少ない時期は、水の味も変わってしまうそうなので、雪が降って春になり、水量多い時期が来るのを心待ちにしていました。
そう思う矢先に出会ったペットボトル飲料水
上信越自動車道や関越自動車道など、SAやPA内の自動販売機で購入できるこちらのペットボトル商品和みの炭酸水(¥160|500ml)

平成26年(2014年)4月末頃から、NEXCO東日本エリア内で販売されているのもで、販売者はネクセリア東日本㈱。
採水地は、我が家が行ってみたいと思っていたのと同じ奥会津の金山町でした。
和みの炭酸水
市販の炭酸水よりも柔らかな炭酸加減。水の味もすっきりと美味しいので、高速を利用する度、自分用に2~3本ずつ購入しては愛飲していました。- 成分データ:硬度 57mg/L|Na 1.5㎎|Mg 0.53㎎|Ca 1.4㎎|K 0.29㎎
奥会津に湧き出す天然炭酸水 2箇所訪問
ずっと冬季閉鎖中だった国道252号の福島側が5月10日正午に開通したということで、水量も比較的安定したこの春、ようやくお邪魔することができました。滝沢天然炭酸水
まずは、ウチの県に近い側にある「滝沢天然炭酸水」
車を停めると水音がするので、水飲み隊長は川遊びに来たのだと勘違いしたようで、この満面の笑顔!

確かに、水場の横を水が流れてはいるのですが…

目的の水場は、Dawn太のいる右側。この整備されたパイプから流れ出ている方。

導水先は後に紹介する水場と、あまり変わらない場所にあるのかも知れません。
先に一口飲んだちび子が「2日経った炭酸水の味だわ!」と。
導水口までの距離が長いためか、新鮮な超々微炭酸水な感じで、この淡い炭酸加減なのでDawn太も平気で飲めるほどでした。

滝沢の方は炭酸の強さも弱く、水量も少なめと聞いていましたが、パイプから流れる水量は申し分ない感じだったので、本命の水場に期待が持てました。
大塩天然炭酸水
次に向かった水場は、同じ国道252号を、もう5分ばかり走った辺りにあります。金山町の名水「大塩天然炭酸水」

大きな駐車場が確保され、人が交互に来ては天然炭酸水を汲んで行かれます。

炭酸場の裏手に見える山は、戦国時代の大塩中山城址。只見川が天然の外濠だったのかも知れませんね。

大塩天然炭酸水
こちらが、天然の炭酸水が汲める井戸です。- 場所:福島県大沼郡金山町滝沢
- データ:硬度 57mg/L|Na 1.5㎎|Mg 0.53㎎|Ca 1.4㎎|K 0.3㎎
※「天然炭酸の水」成分表より

転落防止用のネットが張られ、柄杓やカップが用意されていました。

地元の方々のご苦労により、全国でも珍しい天然炭酸水は守られています。
利用者も汚さぬよう、最低限のマナーを守って利用しなければ…ですね。

井戸の深さは4m。
早春の頃には、井戸枠ギリギリまで炭酸水が湧いているようですが、5半ばのこの頃になると少し水位も下がっていました。渇水期には、さらに水位が下がってしまい、味も変わってしまうといいます。
先にヤカンの付いた、独自の釣瓶で汲み上げます。

次々に人が汲みに来るので、あまりゆっくり観察できなかったのですが、ポコポコと湧き上がる水の様子も見られます。

無色透明の綺麗な炭酸水です。

カップに注いでも、透明に澄んだ透明な湧き水のよう。
良く見ると、細かい気泡がたくさんついていて、シュワシュワとした炭酸水であることが分かります。

口に含むと、澄んだ水の味とともにやってくる微炭酸。添加した炭酸ガスと違ってビリビリ感もなく、自然のままの炭酸成分が水に浸透しているので、きっと、炭酸が苦手という人にも美味しく飲めると思います。
夏場は水量が落ちるので、鉄分濃いめな味に。
冬場から早春の水量豊富な時期は、市販になっているような微炭酸水に近い味です。

ちび子がペットボトルに詰めて持ち帰った天然炭酸水、再びキャップを開けたのは1週間後でしたが、それだけ時間が経っていても、井戸から汲んで飲んだ時と同じ微炭酸具合で驚きました。
これも、長い時間を掛けて炭酸成分が水に染み込んだ「天然もの」だからかも知れません。
およそ百年ぶりに販売が再開された炭酸水のボトル商品求めて
古くから、大塩の地獄沢に湧き出すガス泉が、薬湯であると評判になっていました。明治十年、この天然炭酸水を白磁の瓶に詰め、旧会津藩士が「太陽の水」と命名して、会津はもとより、近県の薬店に卸し「慢性胃腸病」「糖尿病」「便秘」の妙薬として販売していました。
明治三十六年、日本の飲料の父といわれる倉島謙氏が「岩代天然炭酸鉱泉株式会社」を設立し、この場所に工場を建設。ヨーロッパ最大の天然炭酸鉱泉会社「アポリネス」との提携を行い、ドイツ人技師2人を招き、「芸者印タンサンミネラルウォーター」という商品名にて、ドイツに向けての瓶詰め商品を輸出したといわれています。
国内では「万歳炭酸水」の商標で、銀座に直営店を設け販売されました。
当時、交通が不便で輸送費がかかり過ぎ、その後、休業に至っています。
道の駅 奥会津かねやまで販売されていた「天然炭酸の水」
平成16年(2004年)、およそ百年ぶりに、炭酸水のボトル販売が再開されました。最寄りの道の駅なら購入できるであろうと、お邪魔したのは…

只見川の眺めも素晴らしい 道の駅 奥会津かねやま
幟旗にあるイラストは、金山町の公式キャラクター「かぼまる」。頭は「赤カボチャ」、胸のリボンは「天然炭酸水」になっているのだそうです。

道の駅内の売り場には、冷蔵して1本から購入できるボトル品、たっぷり箱買い商品と揃えて販売されていました。
天然炭酸の水(¥150|350ml)

「G7 伊勢志摩サミット2016」の、卓上水にもなったと書かれていました。
和みの天然水と天然炭酸の水を飲み比べてみて
採水場所は同じ金山町ですが、先に紹介した高速で買える「和みの天然水」と販売元が違い、飲んだ味も若干違うように思いました。実際に飲んだ井戸の炭酸水と同じ味なのは、地元でも販売されている「天然炭酸の水」
一方の「和みの天然水」は、さらに強めに徐鉄されているのでは!?と思われ、微炭酸具合は同程度ながら、さらにクセの無い、万人受けするスッキリ味に仕上がっていると思いました。
天然炭酸水購入は復興にもなる
そして「天然炭酸の水」の購入は、福島只見線の復興にもなる!私たちも向かう途中、只見線の鉄橋が、崩れたままになっている姿を目の当たりにして通り過ぎて来ました。これは、2011年7月に起きた「新潟・福島豪雨」の爪痕に他なりません。
大きな震災もあり、全く復興の目途が立たないまま、今日まで来ていました。やっと、やっと、近年復興されることが決まったようですが、今後も只見線の完全復旧に向け、支援を継続していくと、「天然炭酸の水」製造元の ㈱ハーベスでは仰っています。
私も微力ながら、飲んでお手伝い!
道の駅のご当地ソフトに食指が動く
一緒に写るのは赤カボチャソフトクリーム(¥350)

金山町特産の「赤カボチャ」を茹でて冷凍保存(多分)したものを、提供直前にソフトマシン内のクリーム素材と合わせて絞り出すタイプのもののようでした。
従来のカボチャよりも甘みが強いという赤カボチャ。
素材の持ち味を活かし、甘さ控えめに作られていたので、サッパリと美味しくいただきました。
道の駅に隣接してあった福島県指定重要文化財 旧五十島家住宅

茅葺屋根も印象的な沼沢の五十島吉次氏の住宅は、江戸中期(18世紀半ば以前)に建てられたもので、当時、この地方では標準的な民家(平屋中門造り)です。昭和53年に重要文化財の指定を受け、翌年の54年に沼沢から道の駅奥会津かねやまの敷地に復元移築しました。

平屋中門造りは、秋田地方を中心に、日本海側東北地方一帯に広がる多雪対応型住宅のこと。
黒く煤けた柱や太い梁に、豪雪にも耐えうる造りであることが伺えます。
また、中門に厩と厠を設け、その前に出入り口が取り付けられた形式になっています。
このお宅は、厩を全て中門に収めた「うまや中門」の造りになっているのが特徴的で、その向こうに見えている土間部分が茶の間と中座敷。突き当りの小部屋2つは、右が奥座敷、左が部屋(納戸部屋ともいわれる寝室)。
家全体が土間っぽかったのですが、私は初めて見たのが、この「下炉」。地方によっては「下囲炉裏」とも呼ぶそうで、この地方の農家住宅では、煮炊きにかまどを設置する習慣が少なく、土間に直に炉を切って煮炊きをしていたようです。

この茶の間や中座敷辺りは、板敷きでは無かった可能性も高く、板敷きであったろう奥座敷も床の間が無く、ゴザやムシロを敷いただけの古い時代の形態のようでした。
おしまいに
最後は、随分と話が脱線してしまいましたが、知らない土地に来ると新発見も多い旅になりますね。本来の目的も果たせ、実りの多い奥会津の旅でした。
Sunday, May 14, 2017(Dawn太 2歳2ヶ月|生後811日)
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