春を告げる三国川ダム放流
2018年06月05日
春になったら、是非もう一度訪ねてみたかった三国川ダム。
変わった読みの「さぐりがわ」。その名のとおり、新潟・群馬・福島の三県の山々からの水が集まってできた川で、三国が少し訛って「さぐり」と呼ばれるようになったようです。 

これまでにも、2016年7月 三国川ダムとダムカレー、2017年7月 三国川ダム監査廊見学と、2度にわたって記事にしているので、ダムの詳細などはそちらを見ていただくとして、この度は、三国川ダムの春ならではの様子を!

現地にある石を利用して造られた「ロックフィルダム」なので、周囲の自然に溶け込むようにある巨大な人工物。

そしてもうお気づきでしょうか!?平時は何の変哲もないはずのダムに、非常用洪水吐から放流されているということを!

この地はとても雪深い場所。三国川ダムでは毎年4月から5月上旬頃までの期間限定で、春先以外はほとんど見られない「越流」と呼ばれる放流が行われています。

ダム湖内に大量の融雪水が流れ込み、それによって始まる放流風景は、南魚沼の地に春を告げる風物詩。三国川ダムの非常用洪水吐は、非洪水期の常用洪水吐を兼ねた構造になっているので、融雪水で水位が上昇する春先になると、ダムマニア必見の放流風景が見られるのです。
管理僑を潜りった水は、放水路を下って行きます。

放水路から轟々と水音をたて、魚のうろこ状の模様を織り成して流れ落ちる水は、様々な表情を見せ、まるで生き物のように映し出されて、時間を忘れていつまでも見ていられます。

「まるでスキーのジャンプ台のよう!」と言った人がありましたが、まさにそんな光景に感じました。

現地の臨場感は、短め動画でどうぞ!

天端より上流側を眺めると、春ならではの光景をつくり出している大元が見えてきます。

先ほども述べましたが、三国川ダムの非常用洪水吐は、非洪水期の常用洪水吐を兼ねた構造になっています。大雨になり、ダム湖が一定水位を越えてしまった場合、右側に見えるアーチ状の部分から自然越流により、ダム湖の水が非常用排水吐に流れ込んで放流されます。洪水期には、奥側に見える赤いゲートは閉められたままです。

このゲートは「非洪水時常用排水吐」といい、10月頃から5月末頃までの洪水が起こりにくい時期、降雨や融雪によってダムへの流入量が増えた際に使用されます。つまり、春先に見られる放流スタイルは、洪水時とは異なるかたちでの放流になるわけです。

使用されているロック材は、天端からも見える三角形をした斜面から削り出されたものです。人工物なのに不自然な感じが無いのも、地元の物を使って造ったロックフィルダムだからなのでしょう。

静かに水を湛えるダム湖。利用可能な水量は、東京ドーム約16杯分といわれています。

鴨が2羽、気持ち良さそうに湖面を泳いでいました。

天端周辺には、地元作家さんの作品が点々と置かれています。

標高439.5m地点。

昭和44年(1969年)に大洪水が起こり、死者4名、重傷者9名。建物3,300戸余りが被害に遭うという、大きな被害が起こっています。

これを契機にダム建設が計画され、昭和50年(1975年)に事業が着手し、平成4年(1992年)に18年の歳月をかけて完成。魚野川流域のダムの中では、最も大きな規模になりました。

魚沼地域一帯が守られ、美味しいお米がとれるのも、ダムのお陰ですね。



ダム湖は「しゃくなげ湖」とも呼ばれます。

時期が良く、ダム周辺に自生しているという、アズマシャクナゲ開花の時でした。


直射日光の中の散策は暑く、水辺を見つけてニッコリなお犬さま。

すっかり冷えてもらったあとは

私たちだけで、2度目の監査廊見学に行ってきます。

排水吐からも大量に放水中でしたが、この日はさらに湖内の水が多くなっているということで、▼右上に見える洪水期常用洪水吐と、その左隣に見える利水放流ゲートからも放流していました。丁度田植え期で、田んぼに水が必要な時期でもあるので、せっせと放流していたのでしょう。

三国川ダムでは「専用エレベーター」で、あっという間に地下約100m地点へと降りることができます。監査廊内、常に気温は10℃程度なので、見学には上着が必要です。

▲私たちが立っている床下を青い線の幅で ▼矢印方向に水が流れています。

ここまでの話は、前回見学記事に詳細があるので こちら で確認していただくとして、前回雨のために見学が出来なかった「利水放流ゲート室」が、この度の監査廊のメインです。

ゲート室にいるうちから、轟々という水音が耳に届いて期待大でしたが、頑丈な扉を開けた先には、想像を超えた迫力の光景が広がっていました。


物凄い濁音と水飛沫と共に、水が一気に押し出されて行きます。

壁にある▼この部分から空気を吸い込み、水を押し出しているのです。

写真だと、ただの細くて白い物体のようですので、動画でもどうぞ!
館内を案内して下さった係の人も、「凄い音と風圧なので、長い時間いると、ちょっと体調もおかしくなります。」と。

今回は雪解け放流時期なのに、利水放水の様子まで見学できた事がラッキーなくらいでした。前回の私たちのように、雨季になると水量が多くなって見学できない場合もありますし、全く放水が無い日には、放水管だけを見学するケースもあるそうです。
山間の地なので、係の人も仕事中にいろいろな動物に遭遇するそうですが、放水されていない管の中を歩いてきた熊に遭遇したのが、一番驚いた事件だったと話してくださいました。(通報により猟銃会の方が来られ、熊さんは熊汁になったそうです。)
監査廊の見学は随時可能(放流ゲート室は天候により中止の場合もあり)。今シーズンの洪水吐ゲートからの融雪による放流は、GWいっぱいで終了していると思われますので、また来年春の融雪期を狙ってみてください!
変わった読みの「さぐりがわ」。その名のとおり、新潟・群馬・福島の三県の山々からの水が集まってできた川で、三国が少し訛って「さぐり」と呼ばれるようになったようです。

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三国川ダム 春の自然越流の様子

現地にある石を利用して造られた「ロックフィルダム」なので、周囲の自然に溶け込むようにある巨大な人工物。

そしてもうお気づきでしょうか!?平時は何の変哲もないはずのダムに、非常用洪水吐から放流されているということを!

この地はとても雪深い場所。三国川ダムでは毎年4月から5月上旬頃までの期間限定で、春先以外はほとんど見られない「越流」と呼ばれる放流が行われています。

ダム湖内に大量の融雪水が流れ込み、それによって始まる放流風景は、南魚沼の地に春を告げる風物詩。三国川ダムの非常用洪水吐は、非洪水期の常用洪水吐を兼ねた構造になっているので、融雪水で水位が上昇する春先になると、ダムマニア必見の放流風景が見られるのです。
管理僑を潜りった水は、放水路を下って行きます。

放水路から轟々と水音をたて、魚のうろこ状の模様を織り成して流れ落ちる水は、様々な表情を見せ、まるで生き物のように映し出されて、時間を忘れていつまでも見ていられます。

「まるでスキーのジャンプ台のよう!」と言った人がありましたが、まさにそんな光景に感じました。

現地の臨場感は、短め動画でどうぞ!
▲クリックでYouTube再生
天端からみる春の様子
念願だった春の放流風景を満喫したあとは、天端へ移動。
天端より上流側を眺めると、春ならではの光景をつくり出している大元が見えてきます。

先ほども述べましたが、三国川ダムの非常用洪水吐は、非洪水期の常用洪水吐を兼ねた構造になっています。大雨になり、ダム湖が一定水位を越えてしまった場合、右側に見えるアーチ状の部分から自然越流により、ダム湖の水が非常用排水吐に流れ込んで放流されます。洪水期には、奥側に見える赤いゲートは閉められたままです。

このゲートは「非洪水時常用排水吐」といい、10月頃から5月末頃までの洪水が起こりにくい時期、降雨や融雪によってダムへの流入量が増えた際に使用されます。つまり、春先に見られる放流スタイルは、洪水時とは異なるかたちでの放流になるわけです。

使用されているロック材は、天端からも見える三角形をした斜面から削り出されたものです。人工物なのに不自然な感じが無いのも、地元の物を使って造ったロックフィルダムだからなのでしょう。

静かに水を湛えるダム湖。利用可能な水量は、東京ドーム約16杯分といわれています。

鴨が2羽、気持ち良さそうに湖面を泳いでいました。

天端周辺には、地元作家さんの作品が点々と置かれています。

標高439.5m地点。

昭和44年(1969年)に大洪水が起こり、死者4名、重傷者9名。建物3,300戸余りが被害に遭うという、大きな被害が起こっています。

これを契機にダム建設が計画され、昭和50年(1975年)に事業が着手し、平成4年(1992年)に18年の歳月をかけて完成。魚野川流域のダムの中では、最も大きな規模になりました。

魚沼地域一帯が守られ、美味しいお米がとれるのも、ダムのお陰ですね。



ダム湖は「しゃくなげ湖」とも呼ばれます。

時期が良く、ダム周辺に自生しているという、アズマシャクナゲ開花の時でした。


直射日光の中の散策は暑く、水辺を見つけてニッコリなお犬さま。

すっかり冷えてもらったあとは

私たちだけで、2度目の監査廊見学に行ってきます。

三国川ダム 監査廊見学
まずは前回同様の館内説明があり、一旦外に出て、この日の放流状況などを説明されました。
排水吐からも大量に放水中でしたが、この日はさらに湖内の水が多くなっているということで、▼右上に見える洪水期常用洪水吐と、その左隣に見える利水放流ゲートからも放流していました。丁度田植え期で、田んぼに水が必要な時期でもあるので、せっせと放流していたのでしょう。

三国川ダムでは「専用エレベーター」で、あっという間に地下約100m地点へと降りることができます。監査廊内、常に気温は10℃程度なので、見学には上着が必要です。
常用洪水吐ゲート室
こちらは、前回も見学した「常用洪水吐ゲート室」
▲私たちが立っている床下を青い線の幅で ▼矢印方向に水が流れています。

ここまでの話は、前回見学記事に詳細があるので こちら で確認していただくとして、前回雨のために見学が出来なかった「利水放流ゲート室」が、この度の監査廊のメインです。
利水放流ゲート室
0.5m3/s程度の放水時が、安全圏として通常見学できるようです。春の放流時にも関わらず、この日は6㎝ほどゲートが開けられていました。
ゲート室にいるうちから、轟々という水音が耳に届いて期待大でしたが、頑丈な扉を開けた先には、想像を超えた迫力の光景が広がっていました。


物凄い濁音と水飛沫と共に、水が一気に押し出されて行きます。

壁にある▼この部分から空気を吸い込み、水を押し出しているのです。

写真だと、ただの細くて白い物体のようですので、動画でもどうぞ!
▲クリックでYouTube再生
館内を案内して下さった係の人も、「凄い音と風圧なので、長い時間いると、ちょっと体調もおかしくなります。」と。

今回は雪解け放流時期なのに、利水放水の様子まで見学できた事がラッキーなくらいでした。前回の私たちのように、雨季になると水量が多くなって見学できない場合もありますし、全く放水が無い日には、放水管だけを見学するケースもあるそうです。
山間の地なので、係の人も仕事中にいろいろな動物に遭遇するそうですが、放水されていない管の中を歩いてきた熊に遭遇したのが、一番驚いた事件だったと話してくださいました。(通報により猟銃会の方が来られ、熊さんは熊汁になったそうです。)
おしまいに
地域に開かれた三国川ダム。この度も新しい発見がたくさんあり、とても有意義な時間を過ごせました。監査廊の見学は随時可能(放流ゲート室は天候により中止の場合もあり)。今シーズンの洪水吐ゲートからの融雪による放流は、GWいっぱいで終了していると思われますので、また来年春の融雪期を狙ってみてください!
4月中は道路除雪がされていない場合もありますので、情報収集してから行かれてください。
Saturday May 5, 2018|Dawn太 生後1,164日 関連する記事